毎年、11月以降に中3受験生が駆け込むようにやってくることがあります。
塾としては、時期が時期ですから、入塾をお断りすることもあります。
しかし、本人にやる気さえあれば、こちらも気合を入れて精一杯応援することもあります。
過去に入試対策で一番遅いタイミングでやってきたのはなんと入試一週間前。
双子でしたが、燃えるように勉強した一方は合格し、
結局だらけてしまったもう一人は結果が伴いませんでした。
本日はそんな過去の歴史を踏まえて、ここからの入試攻略法を記しておきます。
邪道にはなりますが、参考になれば幸いです。
まず気持ちが大事
長距離のマラソンを短距離のペースで走りきろうというのですから、本人にそれなりの気持ちが必要です。気持ちというより、【覚悟】でしょうか。「必死」になる【覚悟】です。大丈夫、「必死」と言いながら死んだ人は未だかつて見たことがありません。
覚悟とは、なんとしてもやる、絶対合格する、その為に何でもやる、という気持ちです。やる気やテンションのように日々日々流動するものではありません。足を痛めたとしても絶対にゴールまで辿り着くという気持ち。勉強でいえば、毎日苦しくても鬼のような量の課題をこなす気持ち、です。それが【覚悟】。
大逆転をするには、まずはこの【覚悟】を作ることがポイントです。この時期焦って塾に来る生徒の中には「親が私立は絶対駄目って言うから」「親が公立行けって言うから」とまだ他責(主語が親)の考えを持っている子もいます。まずはそこから正さなければなりません。高校へ行くのは生徒本人です。親や友人のためだけでなく、自分のために頑張る。「必死」になる。その【覚悟】を固めるのです。マインドセットというやつですね。
その際に必要なのは、本人なりの目標校に行きたい理由や、定時制・通信制では嫌な理由です。「その為に!」の「その」を見つけるのです。それが【覚悟】の源になります。
小さくとも、その【覚悟】の源が見つかったら走り出してみましょう。最初のうちは不安定な【覚悟】が、走っていきながら各所で見つける「お、できるかも」「お、わかる」等の成功体験に出会うことで、だんだんと強化されていきます。【覚悟】が強く大きくなっていくのです。親や指導者はその過程を厳しく、そして温かく見守ってあげましょう。
【覚悟】の源を手に入れたなら、次は方法論が大事です。
方法論と準備
【覚悟】ができたら、次に必要なのは具体的な方法論です。ここでの方法論は「入試で点数を取る」という目的のものですから、本来の「一生ものの学力をつける」という観点のお話からは少しずれます。ずれますが、時間がありません。目的達成のために、こちらも必死になっております。書いてあるテクニック重視の内容に「これでいいのかな?」なんて思う方もいらっしゃるかもしれませんが、あくまで参考材料として、ご了承いただければと思います。
まず最初にするのは【チェック】です。本人が「何がわかっていて何がわかっていないのか」のチェック。模試や過去問、復習用の教材で今の立ち位置を確認するのです。ゴールが定まっても、今居る位置で行き方は変わってきますから、このチェックは重要です。今居る位置情報を知るために、【評定】【現在の偏差値】はもちろん【各々の科目のできていないところ】の情報を出来る限り集めましょう。
この記事を書くにあたって、今回は過去の生徒の一人をピックアップしました。今回の物語の主人公は、Uくん。昔の生徒で、当時3年生の9月に入塾してきた子です。彼の最終的な内申の合計は60。10月時点での偏差値は32。そんな各科目ほぼ何もわかっていなかったUくんの事例を元に、話を進めていきましょう。
神奈川県は評定:学力検査:面接:(あるところは特色検査)で合否を判定します(一次選考)。各比率は各高校で変わってきます(4:4:2や3:5:2など)。評定とは、二年生の内申+三年生の内申(✕2)で計算される数字のことで、135点満点です。ずっとオール3で内申合計が81という数字ですから、Uくんの評定(内申の合計)が60ということは授業態度や提出物の出が悪かったことが伺えますね。
U君の大逆転記
U君の目標校は、深沢高校(偏差値50前後)という高校でした。どうしても高校には自転車で通いたいというU君の熱い思いを叶えるべく、藤沢駅から近い学校をピックアップして志望校を決めました。保護者様は最初から半ば諦めていて「落ちたら定時制でも通信でもいいです」といった感じでした。私立併願は金銭的理由でなし。
当時の彼の模試の偏差値は32。普通にやっていたのではこれを偏差値50まで上げるのは難しそうです。肝心の本人の覚悟を11月頭の面談で確認すると、「死ぬ気で頑張ります」とのこと。「そうは言うじゃん。でも今までそれができなくてこうなっているわけでしょ」と意地悪な私。塾に来た夏以前の話も知っていますが、提出物すら出せていない状態。死ぬ気で頑張った形跡はありません。
黙っている彼に追い打ちです。「みんな無理だって言うよ。それでも死ぬ気で頑張れるの?」
うつむいてしまった彼に、それでも私は追撃の手を緩めません。「嫌ならやんないほうがいいよ」
そこで、それまで黙っていた彼がポツリ本音を言ったのです。「見返したい」
小さい声でしたが、一粒こぼれ落ちた涙が、それが本音だと教えてくれました。
「そうか」と私は語気を緩めて、顔を上げた彼の目を見据えてもう一度確認をしました。
「いつも言っている通りさ、勉強ってね、本当なら自分で考えてやってほしいもの。そのフォローをするのが塾の役目。でも、今回はそれじゃ時間がない。だから、今回はこっちで道を作る。そこを、どんなに苦しくてもどんなにつらくても、走って欲しい。できるか?絶対に逃げないか?」
そんな私の問いに、涙を浮かべながら頷いた彼。
ならば、私も腹をくくるしかありません。
というわけで、ここから決死の大作戦が始まったわけです。
当時の彼の評定は先程も書いた通り合計で60前後。
1次選考では学力検査で500点満点中400点を取らないと行けない計算ですから、
早々にそれを諦め、二次選考へ的を絞りました。点数としては250〜300点を目指したわけです。
250点ということは、5教科のテストですから、各科目50点以上が必要になります。10月の模試の各々の得点から40点アップが必要な科目もありました。入試まで、最短距離での指導が必要です。これぞ個別指導の腕の見せ所ですね。
ちなみに、使用した教材はほとんど塾用教材です。情報化社会の中でいくら市販の教材が良くなってきたとはいえ、やはりまだまだ塾用の教材とは大きな差があるのが現状だと私は感じています。塾に入っていない方は近隣の塾で教材だけ買ってもいいかもしれません。そのぐらい教材は重要です。
それでは各科目の進め方に参りましょう!と思いましたが、ここまででだいぶ長くなってしまいましたので、続きはまた明日。Uくんの通った道を具体的にお伝えするとともに、最新の入試情報も交えてお送り致します。涙あり笑いあり、まぁどっちもないかもしれませんが勉強はめっちゃありです。乞うご期待。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
いつだって大逆転は人の想いから始まる。
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