「うわっ、これ難しい」
ほぼ反射的にそんな言葉を発する生徒には大体こう言います。
「難しいと思った瞬間に難しくなるぞ」
例えば「一次関数」のスタートなんかは教科書でも説明が多くて一見難しそうに見えます。
でも、実際グラフを書いてみるととっても簡単なんです(実際に説明したほとんどの子ができます)。
それを知った上でスタートに戻ると、多くの生徒が一次関数を理解できます。
意識一つで大きく結果が変わるのです。
人間は感情の生き物ですから、「難しい」「嫌だ」と感じたものに対しては、
考える力が弱くなります。
逆に、たとえ嘘でも「簡単だ」「これできそう」と思うことで、
脳内物質が分泌され、その問題に立ち向かいやすくなります。
また、「これ難しい」「これ無理」と考えることを放棄せずに、
「できそう」と思えば物理的なチャレンジの機会が増えますので、
その時成功するか失敗するかはさておき、とりあえず考える時間と経験値が増えていくわけですね。
これをやる子とやらない子では、後々大きな差ができてきます。
ですから指導する側は、この「できそう」感を生徒たちに持たせることが大切になってきます。
特に勉強が苦手な生徒達はこの「できそう」感をなかなか持てていないことが多いですから、
簡単な文章題であっても、読まなかったり読み間違いをしたりします。
そこで適切な対応をすることで、生徒本人たちの「できそう」感が伸びていきます。
例を見てみましょう。
「どれどれ、おっ、この問題わからなかった?」
「うん」
「問題は読んでみた?」
「なんとなく」
「そっか。じゃあ今度は一緒に読んでみよう。声を出して読んでみて」
「(問題を音読)」
「いいじゃん。問題が何を答えてほしいかはわかったかな?俺に教えてみて」
「(何を訊いているか説明)」→できなければ随時こちらからヒント。
「いいじゃん。わかってるじゃん。じゃあどう計算すればいい?」
「(説明)」→合ってても間違っても考えたことを承認。
「おー素晴らしい!な、やってみたら簡単だろ?自信持ってやれば◯◯なら大丈夫だよ」
これが「できそう」感を引き出す授業の一例です。
線が引いてあるところがポイントで、
ここで、できないことや間違いを責めないことが大切です。
そこで万が一責めてしまうと、生徒本人は間違いはいけないことと認識し、「できそう」感が萎んでしまいます。
そうなればどんどんチャレンジの機会は失われてしまいます。
指導する側は、相手が間違えたときや失敗したときも、
なるべく良い点を見つけて「できそう」感を引き出すことを心掛けましょう。
また、今やっている問題のレベルが、あまりにも生徒本人のレベルと合っていない場合は、
一旦教材ややる問題を変えて、本人に合うレベルの問題で「できそう」感を引き出した後で、
元の問題に取り組ませると、途端にできたりします。考えようという意識が高まっているからです。
スモールステップというやつですね。
この「できそう」感が高まれば、
難問に立ち向かうことが楽しくなってきます。
そうなれば成績も、実力も、自然に成長していきます。
やれると思ってやったほうができる。
それは、真理です。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
その「できそう」感を格好良く言えば、セルフ・エフィカシーと呼びます。
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