今年の花粉症がひどい。マスクをしていても我慢できないぐらい。そんな中、『トイ・ストーリー3』のピクサー最新作『リメンバー・ミー』を観てきました。
「え?花粉症のくだり必要?」と思ったあなた、その情報が活きてくるのはここからです。
物語の中盤から後半にかけて、僕のマスクはぐしょぐしょでした。でもそれは決して、花粉症の魔の手によるものではありませんでした。
僕のマスクを濡らしたのは、溢れてくる大量の涙です。もう止まらない。奇しくも映画館でこんなに泣いたのは、『トイ・ストーリー3』以来でした。
「リメンバー・ミー」が、「え?花粉?そんなの僕を観てれば忘れるよ」なんて言うかどうかは不明ですが、そう言ってくれたかの如く、僕に見事に忘却の魔法をかけてくれました。
今年の花粉症に勝った映画。こう言えば、この映画の凄さは伝わるでしょうか。
え?伝わらない?仕方ない。では、説明しましょう。
あ、『トイ・ストーリー』シリーズはこれね。
『リメンバー・ミー』は今すぐ生徒に見せたい映画!(ネタバレなし)
この素晴らしい映画のあらすじはこんな感じ。
主人公は、ミュージシャンを夢見る、ギターの天才少年ミゲル。しかし、厳格な《家族の掟》によって、ギターを弾くどころか音楽を聴くことすら禁じられていた…。ある日、ミゲルは古い家族写真をきっかけに、自分のひいひいおじいちゃんが伝説のミュージシャン、デラクルスではないかと推測。彼のお墓に忍び込み美しいギターを手にした、その瞬間──先祖たちが暮らす“死者の国”に迷い込んでしまった! そこは、夢のように美しく、ガイコツたちが楽しく暮らすテーマパークのような世界。しかし、日の出までに元の世界に帰らないと、ミゲルの体は消え、永遠に家族と会えなくなってしまう…。唯一の頼りは、家族に会いたいと願う、陽気だけど孤独なガイコツのヘクター。だが、彼にも「生きている家族に忘れられると、死者の国からも存在が消える」という運命が待ち受けていた…。絶体絶命のふたりと家族をつなぐ唯一の鍵は、ミゲルが大好きな曲、“リメンバー・ミー”。不思議な力を秘めたこの曲が、時を超えていま奇跡を巻き起こす!
まずすごいのは、なんてったって映像。その美しさには終始驚きっぱなしです。
死者の国の美しさはもちろん、そこへ続くマリーゴールドの橋とか、水に濡れたパーカーの感じとか、質感の表現がすごい。あと、楽器の震えとかガイコツやワンちゃんや奇妙な精霊(アレブリヘ)たちの動きとか、もう見てるだけでも楽しい!
ストーリーはシンプルで王道。しかも、想像通りの王の中の王って感じ。わかってるけど泣いちゃう。知っているけど感動しちゃう。さすがピクサーです。
最後の最後、エンドクレジットの最後までお見逃しなきよう。「この物語を見た後にそれは反則でしょう」って感じのサプライズが待っています。どちらかというと大人向けかな。
作中に込められているメッセージも、「これを大切にしてれば戦争って起きないな」なんて思える素敵なもの。夢と家族、どっちも大切にすることってできるの?そんな問いへの、ディズニーなりの回答が、あなたに会えるのを楽しみにしています。生徒たちに見てほしい素晴らしい作品です。
会いたくなったらすぐに会えるように、家族と一緒に見に行くといいね。
うーん、今年一番の映画は『グレイテストショーマン』かと思っていたけど、甲乙つけがたい。アカデミー賞の主題歌賞は『リメンバー・ミー』が獲った様子ですが、劇中での扱われ方を見ると「確かに」という感じ。
やっぱり音楽が良い映画に外れはありません。ここからはネタバレ全開で書きたいこと書きます!
『リメンバー・ミー』の映画感想文(ネタバレあり)
『歌はなんのためにあるのか』
伝えなきゃ、伝わらないことがある。
僕らは元々、違う人間で、どんなに愛し合ったとしても、血がつながっていたとしても、すべてが同じというわけではないから。
想っていることを、信じていることを、大切にしていることを、願っていることを、ちゃんと伝えよう。生きているうちに。つながっているうちに。
映画『リメンバー・ミー』を見て、そんなことを思った。
それにしても圧巻の出来栄えだった。何より驚いたのは、オスカル&フェリペの双子がイメルダ(音楽禁止のルールを作ったミゲルの高祖母)の兄弟だったこと。割と古株!冗談です。
音楽や映像、シンプルだけど力強いストーリー、そのすべてに驚いた。お気に入りはダンテかな。やっぱり犬は犬に甘い。
あ、ダンテが精霊(アレブリヘ)になったのも驚いたけど、精霊仲間のトラみたいなペピータが、現世だと猫だったのにも驚いた、一番はこっちかな。
ちなみに、ヘクターがご先祖様設定は割と早くに気付いてしまった。そういう人は多いと思う。デラクルスのヒゲから悪役臭が出ていたのと、忘れられて消えそうになっているというところでなんとなく。ギターを持って歌った時に確信した。
でも、それがわかっても、感動になんら支障はなかった。
ココばあちゃんがとっても素敵な味を出している。ミゲルが歌い聞かせる場面、あそこで歌われたら、こちらは泣く以外の選択肢を持ち合わせていない。
ミゲルがココに歌を聞かせようとしている場面で、それを止めようとするおばあちゃんを制止したのが、お父さんだったのもよかった。みんないい人なんだよなぁ。
そういや天井に突き刺さった靴が多いことからも、なんだか賑やかな良い家族感が伝わった。登場人物がいい人ばかりって、やっぱり見ていて安心するなぁ。気持ちいい映画だった。
気持ちいいと言えば。この物語唯一といってもいい悪役、デラクルスの悪行が、あっちの世界でもこっちの世界でも暴かれたのは痛快だった。
ココばあちゃん、音楽から離れた生活を送っていたから、ヘクターからの手紙は大事に持っていたけど、デラクルスの盗作のことにも気付けなかったんだね。
それをミゲルがつないだことを考えると、改めて感動してしまう。
見えないけど、声は届かないけど、近くにいる。それが家族ってものだ。そして、それはちゃんと夢を叶えるのと同時に手に入れられる。
どちらかを捨てるんじゃなくて、どちらかをないがしろにするんじゃなくて、どっちも大切にできる。それが主人公ミゲルの出した答えだった。素晴らしかった。
幾度も響く「リメンバー・ミー」。あれはきっとお別れの歌じゃない。愛する誰かが疲れた時、寂しい時、悲しい時、弱っている時、僕を思い出してねっていう愛の歌だ。愛する人へ捧げる応援歌だ。
言葉はたった一瞬で消えてしまうけれど、メロディに乗せれば、少しだけ長くなるし、響きやすいし、広がりやすいから。言葉よりもちょっとだけ、誰かの何処かに残りやすいんだと思う。
でも、同時に、この映画を見て、改めて当たり前のことを思い知った。どんなに愛に溢れていても、どんなに幸運を願っていても、今を生きる人に、死者からの言葉は、伝えられない。
だから。
伝えなきゃ、伝わらないことがある。
僕らは元々、違う人間で、どんなに愛し合ったとしても、血がつながっていたとしても、すべてが同じというわけではないから。
想っていることを、信じているものを、大切にしていることを、願っていることを、ちゃんと伝えよう。生きているうちに。つながっているうちに。
でも、直接言葉にするのは、恥ずかしいからさ、人はそんな大切な想いを歌に乗せるんだ。
心を込めて、歌うんだ。
時間は、限られているから。
大切なあなたの中に、ほんの少しだけでも長く残り続けるために。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
いつか必ず来るお別れの前に、いつか必ず来るはじまりの話をしよう。
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