TSUTAYAでおすすめドラマ映画のランキング一位だったので、
軽い気持ちで見たんです、最初はね。
映画『BEGIN AGAIN』、邦題は『はじまりのうた』。
そして感想をあえて一言で言うならば、「素晴らしかった」!
簡単なあらすじは公式HPから抜粋です。
ミュージシャンのデイヴとグレタは、二人で作った曲が映画主題歌に抜擢されてメジャーデビューが決定。初めて、ニューヨークにやってきた。しかし、スターとして忙しくなるデイヴとすれ違いの日々が続くなか、彼の浮気が発覚。夢のような状況から一転、行き場の無い孤独へと突き落とされてしまったグレタは行くあてのないまま街をさまよい、旧友のスティーヴの家へ転がり込む。スティーヴは失意の彼女をそのまま放っておけず、自分が登壇する小さなバーのライヴに連れて行き、そこでグレタをステージに誘う。浮かない表情のままステージに上がり一曲披露するが、歌は全く受けなかった。ところが、目を輝かせたホームレス風の男、ダンが近づいてきて彼女の歌を絶賛し始める。男は自分が音楽プロデューサーだと明かし、一緒にアルバムを作ろうと持ちかけるのだが…
音楽が好きな人はもちろん、
ちょっと嫌なことがあって落ち込んじゃった人や、失恋した人、
それに、進むべき道を迷っている人が居たら、ぜひ観て欲しい映画です。
私たちはいつからでも始められる!BEGIN AGAIN!
さぁ、ここからは大人の感想文!
プチネタバレもありますが、たとえネタバレしても、
この映画の素晴らしさが消えることはないので、
感想読んで観たくなったらぜひレンタルを!
(もちろんここまでで観る気になったら下記読まずにレンタルDVD屋へ)
ここから感想です。
今回もやっぱり勝手に考察しておりますので、
「うーん、私と意見が違うなぁ」と思っても、
今回は歌って許して下さいね。
今回のテーマは「はじまりとおわりの物語」。
登場人物各々の「はじまり」はもちろん、「おわり」にも注目のこの映画。
そして、そこから学べるもう一つの「はじまりとおわり」とは?
さぁ、早速参りましょう。
まずはキャストから。
主演はキーラ・ナイトレイ。ミュージシャンのグレタ役です。
『パイレーツ・オブ・カリビアン』『ラブ・アクチュアリー』にも出演のトップスター。
歌もとっても上手でビックリしました。強くて可愛い女性、ピッタリの役でしたね。
全編もちろん良かったですが、特にラストシーンは秀逸です。
心折れて田舎へ帰ろう…からの復活劇!そして、世界を変える最後の決断。
圧倒的な歌と演技でした。
続いて、落ちぶれた名プロデューサー、ダン役のマーク・ラファロ。
『アベンジャーズ』のハルクです。まさか音楽も得意だったとは。
家族と離れ、自分が立ち上げた会社からも見捨てられ、
ホームレスのような身なりになった凄腕プロデューサー役でしたが、
最初出てきた時は「ほんと汚いオヤジだなー」って感じだったのに、
後半はもうこれでもかっていうぐらい格好良い見せ場の連続でしたね。
そして、大人気ロックバンドMAROON5のアダム・レヴィーンがグレタの元彼のデイブ役。
当たり前ですが歌がうまい!うますぎる!
さすがグラミー賞三度の怪物バンドを率いる男!
楽曲提供もしていて、おかげさまでこの映画、すごいいい歌ばかりの映画です。
歌がいいとやっぱりいい映画になる、のマイルールを、
今回もきっちり守っていただきました。ライブシーンはもう圧巻。
そうです、これは音楽の映画です。
商業主義とか売れ線とか日本でもよくある音楽業界の闇や、
音楽の本当の価値って?みたいな真面目なテーマを扱いながら、
冴え渡る感情表現の巧みさと全編に渡るコメディタッチで、そして素晴らしい歌で、
楽しくノリノリ、そして時に切なくうるうるしながら観ることのできるこの映画。
まさしくダンが宙に浮かべたこの名言然り。
音楽の魔法だ 平凡な風景が意味のあるものに変わる
そうです。この映画を観ている僕らは、魔法にかかるのです。
しかもそこで素晴らしい音楽に重なるのは、決して平凡な風景ではなくて、
多くのとっても素敵なシーンの数々。
これはね、意味があるどころじゃなくて、意味がありすぎで困りものですよ。
例えば例えば、
主演の二人の距離が徐々に近づいていくのを、
皆まで言わない演出で飾るので、観ているこっちは焦らされまくりです。
特に、二人がイヤフォンを2つに分けて同じ音楽を聞きながら、
夜のニューヨークを散歩する場面は、
「あ、思いが通じ合っているな」と言葉がなくてもわかる素敵なシーン。
それはもちろん恋愛感情とは少しだけ違うかもしれない(しそうかもしれない)けれど、
なんだかとーっても良い雰囲気なのです。まさに美女と野獣なのですが。
あ、あとポイント!登場人物がみんなちゃんといい人!
そういう映画は見た後の爽快感が違いますよね。気持ちいい!
そして、そんな素敵な登場人物たちの各々の過ちや失敗からの
「BEGIN AGAIN」、これが必見です。
終盤、グレタとダンが、各々大切なものに気付いて、
自分が行くべき特別な道へその足を踏み出すのと同様、
みーんな映画の中で大きな一歩を踏み出します。
なかなか友達を作れないダンの娘がグレタの一言で変わっていったり、
スターになってモテモテのデイブがある電話をきっかけに本当の想いに気付いたり、
ダンの奥様が見失っていた想いをもう一度見つけたり、
みーんな映画の「はじまり」と「おわり」では、持っている荷物が違う感じ。
それはつまり、新しい旅をスタートさせたということです。
その中で唯一変わらないままのスティーブ(めっちゃ良い奴)がめっちゃ面白い。安心感。
そして、5度のグラミー賞を誇るシーロー・グリーン演じるトラブルガムが、
過去にダンに「BEGIN」させてもらった借りを返すのですが、その粋な恩返しも見ものです。
あ、まだまだ魅力的な登場人物が居ますよ。
グレタとダン達はニューヨークの各所を舞台に、
オリジナルのミュージックビデオを撮っていくことになるのですが、
その為に集めたバンドメンバー達もまた最高です。
最初の寄せ集め感から、だんだんと仲間たちに絆が生まれてくる様子は、
音楽の素晴らしさも相まって、きらり輝く感動ポイント。みんな楽しそうなんだよなー。
そんな諸々の素敵ポイントを抑えて、
僕がこの映画で一番好きなシーンは、
あるバーでの(お客さんが誰も聞いてくれていない)グレタの演奏に、
ダンがアレンジという名の魔法をかけていくシーン。
ギター一本の彼女の歌に、ドラム、ベース、ピアノとどんどん楽器が加わって、
より素晴らしい歌になっていく様子は、思わず鳥肌が立ってしまいました。
ああ、音楽ってすごいなって、素直に心から思えた瞬間でした。
最後に、彼女が作った歌に注目してみましょう。
(この歌、MAROON5で聞くのも最高!)
この歌、グレタが誕生日プレゼントでデイブにプレゼントをするのですが、
大スターになった彼はこの曲のアレンジをだいぶ変えてしまいます。
いわゆる売れ線になったそのアレンジverを聞いてグレタは、
「曲の良さが死んでるわ」と反発をし、
彼は今度のライブで元のverを歌うことを約束します。
さぁ、そしてライブ会場。
グレタはそこで目の当たりにします。
自分がプレゼントした曲が、
彼によって満員のホールで歌われていて、多くのファンたちが熱狂している場面を。
その観客と彼の姿を見て、グレタは本当に大切にしたいこととは何かに気付くのです。
ここが映画のハイライト。そこでグレタはある決断をする。
過去はもちろん大事。ルールも、決まりも、暗黙の了解みたいなやつももちろん全部大事。
でも、
それらに縛られてはいけない。
だって、私の人生はたった一度きりだから。
そして、それは僕らにとっても同じはずですね。
どんなにお金を稼いでも、
どんなに富と名声を得ても、
どんなに何かを手に入れたって、
私たち自身はたった100年ぐらいでこの世界とお別れをしなくちゃいけない。
何も持っていけない。何も残せない、とは少し違うけれど、
自分の手やリュックの中には何も残らない。
だったら、今、
大切にすべきものとは一体何なんだろう。
私達の「はじまり」はいつで、
どの「おわり」に向けて足を踏み出せばいいのだろう。
考えても考えても考えても考えても答えは出ないかもしれないけれど、
答えを出すのに必要なのは考えることじゃなくて、
もしかしたら、たった一つの勇気だけなのかも。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
背中をぽん、と押してくれる映画。そして、エンドロールが爽快です!落ちもついてたねw
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