「オーデュボンの祈り」から、伊坂さんの作品は好きでずっと読ませていただいております。陽気なギャングや死神の精度が好きですね。
そんな伊坂さんの新作が出たので早速購入しました。
タイトルは『ペッパーズ・ゴースト』。タイトルの意味は、劇場などで使用される視覚トリックのことで、「ないものをあるように見せる技術」ということ。何やら意味深です。
あらすじはこちら。
少しだけ不思議な力を持つ、中学校の国語教師・檀(だん)と、女子生徒の書いている風変わりな小説原稿。 生徒の些細な校則違反をきっかけに、檀先生は思わぬ出来事に巻き込まれていく。 伊坂作品の魅力が惜しげもなくすべて詰めこまれた、作家生活20年超の集大成!
個人的好みでいえば、中ぐらいだったのだけれど、そこは伊坂作品。ページを捲る手が止まらなくなる感じは健在で、一晩で読み切ってしまいました。面白かった。
主人公がどんどん大きな事件に巻き込まれていく感じは、『ゴールデンスランバー』を思い出しました。また読みたくなってきちゃいました。
会話や比喩の面白さは流石です。登場人物たちも魅力的で、わかりやすいのがいいですね。まさにエンターテイメントですが、伊坂作品になれてきた自分にとっては驚きが少なかったことが中ぐらいの要因でした。
伊坂作品の愉しみ処として、各々の物語同士が絡まり繋がっていく過程があるのですが、今回のそれは非常にわかりやすいので、伊坂さんの本を初めて読むという方にも楽しみやすいのではないでしょうか。生徒にも薦めてみます。
総じて満足。今回も素敵な作品をありがとうございました。
それにしても、よくよく考えてみれば、小説ってまさに「ないものをあるように見せる技術」ですよね。
ちょっと先の未来を読める先生も、少し風変わりな殺し屋も、現実にはいないでしょう。でも、どこかにいそうな気にさせる、そんなペッパーズ・ゴースト的なお話。
気軽に読み始めて、どっぷりハマって、どうぞ思いっきり泣き笑いしてみてください。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
ニーチェも読みたくなりました。
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