神奈川県公立高校入試問題分析と解説と感想2019(平成31年度) 夢の社会編


前回の国語に引き続き、今回の入試問題分析2019は社会です!


平成最後の社会の問題とは?なんて言ってみるとちょっと格好いいですね。


昨年一気に難化した社会ですが、今年は一体どうだったのでしょう。ちょっと詳しく見ていきましょう。解答は一番下に貼っておきますね。


それではまず全体の傾向から。



全体の傾向



端的に言います。これは、


昨年と変わらず難しい


おそらく今年も合格者平均点は一番低いのではないでしょうか。


何とかオフのような、「これは大丈夫でしょ」という問題もたしかにありましたが、ほとんどの問題は生半可な知識じゃ対抗できないレベルかと。


そして、たとえ知識が入っていても、その知識を使いこなさなければ正解ができない難問が続きます。大人の皆様、ぜひ下記の解説を見ながらちょっと一緒に解いてみてください。



生徒達の声



「国際的な印象」→世界史が増えた印象。


「大航海時代って感じ」→解いてみて意味がわかりました。


「最初がバスコ=ダ=ガマじゃなくてマゼランでよかった」→??名前のインパクトらしい。


「マルコとポーロって一緒?」→=が気になったらしい。


「クーリングオフってそれ以外何が入るの?」→他の答えを書いた人の答えが知りたい。


「日本語が難しい」→うんうん。


「一日の最後にこれはキツイ」→気持ちはわかる。



配点



問1 各3点 計18点

問2 (ウ)の(ⅳ)2点 他3点 計17点

問3 (イ)あ、い両方できて3点 (ウ)3点 (カ)6点 他各2点 計18点

問4 (オ)(ⅰ)く、け両方できて3点 (ⅱ)2点 他各3点 計17点

問5 各3点 計18点

問6 (イ)え、お両方できて3点 他各3点 計12点


ここはほぼ昨年と変わりなしですね。配点が違う問題の大問の中での位置などが昨年と比べ多少変わっていますが、ほとんど気にならないでしょう。


それでは、大問ごとのチェックに参りましょう。今回は解説にも力を入れてみました。その分、余計なことをつぶやく割合は減っているはずです。おそらく。




大問ごと調べ



大問ひとつずつ区切ってみていきます。小問ごとに解説を加えてあります。



問1 世界地理


まずは世界地理。世界一周から始まる浪漫あふれる入試問題となりました。


問1の(ア)は、マゼランの世界一周航路のお話。「東から西」というヒントを元に確認すれば楽ちんですね。(ⅱ)に関しては、日付変更線の知識と理解が必要でした。そこから明日が始まるわけですからね。


ちなみに、マゼランさんは、大航海時代のポルトガル人の探検家です。1522年に、彼の率いていたスペインの遠征隊が、初めて世界一周を成し遂げました。ただ、彼はその旅の道中で命を失ってしまいます。その意思を引き継いだ乗組員達が、世界一周を達成するのです。なんというドラマ。以下が、その航路になります。


(イ)は、アフリカ中心のお話。


(ⅰ)は、本初子午線(ロンドンを通る)を絡めた経線と緯線の話。上の地図で確認すると一目瞭然ですね。


(ⅱ)は、輸出について。帝国書籍版の地理の教科書71ページに記載があります。ちなみに、原油は最も多く利用されているエネルギー源。加工して、ガソリンや灯油、アスファルトができます。量が多いのも納得。


(ウ)は、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスについての雨温図と農業の様子の問題。「東京と同じ温暖湿潤気候」というヒントで、夏は多雨だなということと南半球ということが掴めれば雨温図はクリア。パンパ=アルゼンチンは知っていれば瞬殺。


ちなみに、パンパはアルゼンチンの農業の中心地で、小麦の95%がここで作られ、世界有数の牧畜地域でもあり、アルゼンチンの人口の1/3がここに集中しているとも言われています。


(エ)は、A北京(中国)、Bハノイ(ベトナム)のお話。AやBが韓国やタイじゃないことがわかれば、これはイージー。あ、割合の計算が難しいか。


知識だけを問うのではなく、ちょっとした「考えること」が必要な問題ばかりでしたね。昨年の社会の傾向を踏襲している感があります。


時差が出ないのは意外でしたが、おそらく来年はまた復活するんじゃないかな。おそらくね。



問2 日本地理


続いての問2のメインテーマは、福岡県。ソフトバンクホークスが2年連続日本一になったからでしょうか(多分関係ない。というか、2年連続日本一が決まる前にもう問題は作られている?)。


(ア)は、表の読み取りです。しかし、ここでも、またまた割合。数学より出てますね。輸入国と産出国の判別は、知識が必要です。中国やアメリカ、インドが石炭産出国としては有名で、輸出向けの実績は、オーストラリアやインドネシアが伸ばしていることを知っておきましょう。ちなみに、中国は生産量もすごいですが、消費量もピカイチで、めっちゃ輸入もしています。日本は世界最大の石炭輸入国です。


(イ)は、再生可能エネルギーについて。関西電力さんの説明がわかりやすいので、引っ張ってきました。

再生可能エネルギーとは、石油や石炭、天然ガスといった有限な資源である化石エネルギーとは違い、太陽光や風力、地熱といった地球資源の一部など自然界に常に存在するエネルギーのこと。その大きな特徴は、「枯渇しない」「どこにでも存在する」「CO2を排出しない(増加させない)」の3点。


(ウ)は、学問の神様が祀られる大宰府について。これも鉄板の地形図の問題です。(ⅰ)の問題を解くには、少し歴史の知識も必要でしたね。そうそう、大宰府は7世紀後半からあって、飛鳥時代には防人が置かれたんでしたよね。白村江の戦いとセットで覚えると良い知識。一応歴史プリントを貼っておきます。



問3 近世までの歴史


問3のテーマは、交通や交易。これから新学習指導要領で世界史に今までよりも少し重きがおかれることもあって、世界史推しな印象がするのは僕の気のせいでしょうか。うん、多分気のせいです。


(ア)は、早速世界史との連携。ただ、AとBやaとbの時代差があってわかりやすかったかな。一応時代を昔順に表記しておくと、インダス文明(紀元前2600〜紀元前1800)→奴国の王が金印もらう、イエスがキリスト教布教、ローマ帝国(西暦元年ごろ)→ムハンマド、イスラム教(622年)となります。毎回思うけどムハンマドって名前すごいよね。


(イ)は律令について。律令とは、「律=刑法」「令=行政法」のことで、主に飛鳥時代後期〜平安時代の法律のこと。「公地公民」(戸籍作成で朝廷の支配下におく)→「班田収授の法」(戸籍元に国の土地を配分)→「三世一身の法」(うまくいかず新しく拓いた土地の私有を認める)の流れを確認しておきましょう。


(ウ)は、再び世界史とくっついています。マゼランに引き続き、マルコ=ポーロやバスコ=ダ=ガマも登場。旅人ブームかな。そして、バスコ=ダ=ガマって名前もすごいよね。


これも一応並べておくと、1は1582年で天正遣欧少年使節のお話。戦国時代のことですね。2は錦絵が江戸時代だからその後3は1275年に元に着いたイタリア人の商人のお話。フビライ・ハンと元がヒントになります。4は奈良時代のお話で756年頃5のバスコ=ダ=ガマはポルトガルの航海者でインドへの航路を発見した人です。1492年インドだと思ってアメリカ発見のコロンブスより後の1498年


つまり、4→3→5→1→2となって、答えが1ですね。ちなみに、気になっていると思うので再度お伝えですが、マゼランの世界一周は1522年です。


(エ)は建武の新政を行った後醍醐天皇の住まいの前に立てらてた立て札の内容。皮肉というやつですね。


(オ)は、勘合貿易についての問題。国内の政治が不安定だったことと、金属の精製技術がないことに起因する貨幣の価値が下がることを防ぐため、銅を輸出し銅銭を輸入したと言われています。ちょっと難しいかな。


(カ)も少し面倒くさい資料の読み取り。見た瞬間に「うわ」となる人も多いのではないでしょうか。よく読めば、難易度は高くないはず。「徳政令」は、借金を帳消しにする制度だからね。よく貧乏神が持ってきます(桃鉄)。


ちなみに、(カ)の(う)には別解もあり。


さぁ、いよいよ後半戦。



問4 近代の歴史


問4は、アジアに影響を与えたできごとがメインテーマ。カードが出てきます。


(ア)は、清の負けっぷりを見て、幕府がビビったというお話です。それまで異国船打払令を出していた強気の幕府ですが、水や燃料を渡すようになりました。


(イ)は、イギリスへの不満が爆発したインドの大反乱に関わる問題。ヒントから読み取れたらグッジョブ。


(ウ)は、日清戦争・日露戦争にまつわる並び替え問題。そういえば、「いっぱい食うよ日清焼そばジュージュー(1894日清戦争、10年後日露戦争、10年後第一次世界大戦)」の覚え方ってマイナーなんですかね。うん、お腹減ってきましたね。食欲を気にしながら、並べてみましょう。


(b)1894年甲午農民戦争→日清戦争→(a)1895年三国干渉→日露戦争→(c)ポーツマス条約


(エ)は、第一次世界大戦参戦について。第二次世界大戦時と混同しないように注意ですね。


(オ)は国際連合についての問題です。


まずは(ⅰ)の補足。1952年サンフランシスコ平和条約を結んだ日本ですが、冷戦の影響などですぐには国際連合に入れず、ソ連と仲良くなってから、1956年に加盟しました。


次に(ⅱ)をやっぱり並べてみましょう。


国際連合の発足が1945年。1の日中戦争は1937年スタート。2の国際連盟脱退は1933年で、もちろん国際連合の前。3は1941年。4は、1950年。というわけで、4が答えとなります。第二次世界大戦から冷戦の流れが抑えられていればできましたかね。


いやー、それにしても、これを暗記で解こうとすると大変ですね。歴史をちゃんと物語として追えていると答えやすいのかなと思います。


この歴史の用語を使わないスタイルの問題は今後も続いていきそうですね。


最後に、そうは言っても必要な知識や年号を語呂で覚えられる年表を貼っておきます。データで欲しい方はメール下さい。もちろん、これで単語と年号だけ覚えるのではなくて、流れを追う一つの資料としてご活用いただければ幸いです。


さぁ、ここから後半戦。公民ゾーンです。目がシパシパしています。食欲と眠気だったら、最終的には眠気が勝つとわかりました。



問5 現代社会・政治


問5は、生徒会での会議内容がテーマ。主人公のKさん、すごいっす。


(ア)は、憲法のお話。正解は選びやすいと思うけど、間違えやすいbについて補足。審議したのは枢密院なのでこの選択肢は☓。dはわかるよね?


(イ)は、人権について。ある生徒があまりにも人権が苦手で「人権が出たら事件だ!」ってずっと言っていましたが、あんまり面白くありませんね。違う違う、感想が言いたいんじゃなくて、二問も出てしまって大事件ですねって言いたかったんです。


(i)は、日本国憲法には記載されていない新しい人権のお話。環境権や知る権利、プライバシーの権利のことですね。裁判を受ける権利などの請求権はちゃんと憲法に記載があります。そして、情報公開法の相手は国の行政機関です。誰にでも知る権利使っちゃいけません。


(ii)こちらは、刑事事件のお話。令状は裁判官が出します。検察審査会は民意を反映させることが目的ですから、無作為に選ばれた日本国民11人によって構成されます。サッカーチームと同じ人数。


(ウ)は、財政について。


まずは(i)から。財政とは、税金を管理し、必要な資金を支出する経済活動のことです。その役割は大きく分けて3つ。「社会資本の整備・公共サービス」「所得の再分配(累進課税制度・社会保障)」「景気の調整」。国債の売買を通じて通貨の量を調節するのは日銀による金融政策のお話です。漢字が多くてすみません。


(ii)はグラフの読み取り。高齢化社会という背景を踏まえて考えればわかりやすいかと思います。参考までにグラフの出典元の財務省のウェブサイトを貼っておきますね。


(エ)は、民主主義について。(か)を補足すると、A案10人、B案5人、C案5人、D案5人みたいな事案があるということです。ね、多くなるとは限らないでしょ。


さぁ、いよいよラスト。やっと見えた(問題はこれで終わりです)の文字。ここまでお疲れ様でした。



問6 国際社会・経済


問6のテーマは、またまたKさんの「国際社会が抱える課題」の発表メモについて。こやつ、一体何者でござるか。


(ア)の(i)は為替相場のお話。ドル高円安の話をドル高ユーロ安に置き換えて考える問題。落ち着いて考えれば難しくはないんですが、戸惑う人も多かったのではないでしょうか。選択肢も多いのでこりゃ最低正答率もありえるかもしれません。ドル高ですから、ドルのニーズは高まり、みんなユーロをドルに変えようとしたということです。また、円安ならぬユーロ安ですから、ユーロの価値が下がり、輸出には有利となることがわかります。輸入や輸出は外国のお金で行いますからね。


(ア)の(ii)は、日本の輸出額と輸入額のお話。(輸出額)ー(輸入額)がプラスであれば貿易黒字です。商品の販売と仕入れと考えればわかりやすいでしょう。


(イ)は、今回一番簡単な問題かも。ただ、大人にとっては常識的なクレジットカードの仕組みも、子どもは使ったこともないので「?」かもしれません。入試にも出るくらいですから、きちんと教えないとね。


ファイナル問題である(ウ)は環境問題。環境問題、最後にくると思ってましたよ。京都議定書と間違えた人が多いと思いますが、京都議定書の正式名称は「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書」で、1997年の採択です。気候変動枠組条約に基づいているものなんですね。



さて、これにて社会の問題分析と解説は終了です。


これが当日の順番的に最後に待ち受ける神奈川県高校入試、えぐいですね。


ただ、昨年同様に問題自体はより実践的になっている感があって、個人的には好みです。考える楽しみもありますしね。


世界一周から始まり、世界大戦からの国際連合、そして世界が一つになって解決しなければならない環境問題で締めくくり。平成最後にふさわしい、まるでオリンピックのような魅力ある思考の競演が続く、夢の社会問題でした。


なんてそこそこ上手く言えたところで終わりにします。





…あ、解答貼り忘れていました!夢だけにこのまま消えてしまうところでしたね(別に上手くない)





本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。

みんな本当にお疲れ様と、心から言える。




ちなみに、来年度以降の受験生達に言えることとしては、「もうただの暗記じゃ通用しないよ」ということ。


知識があるのは前提で、それを使いこなせなければいけません。普段の授業から、その点を意識して学びを得ることを心掛けましょう。そして、得た学びをすぐに使ってみましょう。地理でも歴史でも公民でも、誰かに説明したりするの、オススメですよ。しっかりと「なぜ?」がわかっていないと、説明できませんからね。


「なぜ?」が掴めるこんな本たちもオススメです。

「第二の家」ブログ|藤沢市の個別指導塾のお話

塾という場所が好きです。生徒の成長する姿を見るのが好きです。生徒や保護者と未来の話をするのが好きです。合格や目標を達成して一緒に喜ぶのが好きです。講師と語り合うのが好きです。教材とにらめっこするのも好きです。新しい人と出会うのも好きです。藤沢の街が好きです。ブログも、好きです。

勉強犬

「第二の家」学習アドバイザー。
世界中に「第二の家」=「子どもたちの居場所であり未来を生きる力を育てる場所」を作ろうと画策中。元広告営業犬。学生時代は個別指導塾の講師。大手個別指導塾の教室長(神奈川No,1の教室に!)・エリアマネージャーを経て、2015年ネット上で「第二の家」HOME個別指導塾を開設。2019年藤沢にHOME個別指導塾リアル教室を開校。

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