昔、宿題をやっていないのに「やった」と嘘をついてしまう女の子がいました。
最初は「怒られたくない」「楽したい」という気持ちから嘘をつくんだと思って、その度しこたま注意をしていたんですが、あんまり悪びれた様子もなかったので、違う仮説を立ててみました。
それが「半分自分のため、半分相手のため」理論。半分はたしかに自分が怒られないために嘘をつくんですが、もう半分は相手のことやためを思って嘘をつくんですね。まぁ、正確には「相手のことを思っているフリをして」が近いでしょうか。
どういうことかもう少し詳しく説明しましょう。
「宿題やった?」と問われて、「やってない」と言うと、相手が嫌な顔をしたり、不快な気持ちになったりしますよね。これを避けるために「やった」と嘘をつくわけです。もちろん巡り巡って自分のためなんですが、誰かのせいにできるから罪悪感がちょっとだけ薄れるのかなと。
大人向けに説明するとすれば、パートナーがいるあなたが、異性がいる飲み会に参加したときに、「(飲み会には)異性はいなかった」と言うようなものでしょうか。下心ではなく、相手のためを思った風の嘘です。ちょっと違うかな。うん、刺さらなければ忘れてください。
嘘をつくその子は優しい子でした。その行動にも根底に優しさがあるのでしょう。ただそれは間違った優しさですので、正さなければなりません。それは結局誰のためにもなってないよと。
ただ、これって癖がついちゃうとなかなか直らないんですよね。
やっている間にだんだん楽を覚えて、いつの間にか半分半分理論も消えて無くなって、息をするように嘘をつくようになります。しかし、嘘をつく相手は周りの大人ですから、すぐバレます。怒られます。そんな時だけ都合よく優しさを思い出したり、「時間がなかった」などと責任転嫁をしたり、とにかく自分を被害者側へと持ってくるんですね。自分に負けることの繰り返しなので、どんどん弱くなっていきます。僕も強い人間じゃないのでよくわかります。
そしてどんどん深みにハマっていきます。これはカンニングや嘘の丸つけにもつながります。日常の行動にも。
では、どうしたらいいのでしょうか。
対処法って、その時の状況や人によっても違うと思うのですが、その女の子は「嘘をつけない状況」を徹底的に作り続けました。
宿題は出しませんでした。テストは厳しい監視の中、点数だけで頑張りを判断。「嘘をつけない」状況を作り出したのです。勉強量は増え、成績は上がりました。
ただ、これがベストの方法だとは思いません。自分自身で気付かねば、いつかまた追い込まれたときには同じことを繰り返してしまうでしょう。人間って弱い生き物だからね。
やはり何度も何度もこちらが本気で注意をしながら、本人が気付くのを待つしかないのでしょう。今まで、そんな嘘をついてしまう子たちが、大きなきっかけに出会って変わるところをたくさん見てきました。でも、それ以上に何度も何度も裏切られてきました。
「裏切られるのが仕事だよ」
このお仕事を始めた頃、尊敬する先輩にそう言われたのを思い出します。でもね、やっぱりね、裏切られるのって、結構辛いんですよね。
何処かにいる、嘘をついてしまうあなたへ。
どうか、あなたが嘘をつくことで、傷つく誰かがいることを知ってください。
宿題ができるできないの前に、正直でいるという人として大切なことを忘れないでください。
今すぐその悪習から解き放たれることを、祈っております。
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自分に勝つのが、まず自分がやるべき大切なこと。
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