サピエンス全史という本をご存知でしょうか。
名前を聞いたことがある方も多いと思います。全世界で1600万部を誇る超ベストセラーであり、我々ホモ・サピエンスがどんな力を持って生き抜いてきたのかを描く大ボリュームの超大作です。正直、厚すぎて、周りくどくて、何回か読むのやめました。
まず持つの重い。そして話が長い。きつい。所々眠い。
しかし、そんな多くの困難を乗り越え読み切ったその本の内容は、うん、悔しいことに超面白いんです。でも、長いし読みにくいからなかなか生徒たちにお勧めできないなぁと思っていました。
それが、今回!なんとその厚くて重くて読むの大変な本が漫画になったということで、早速本屋に行って買ってきました。
下記、本についての説明です。動画での説明はこちらをご覧ください。
文章で知りたい!という方はぜひ下記を読み進めてみてください。そこに隠された秘密とは…
サピエンス全史漫画版
以前に、こんな表を作りました。
宇宙ざっくり超年表。小中学生に歴史の面白さを伝えたくて作ったのですが、実はこれって、サピエンス全史の影響も大きかったんですよね(多分)。
なぜなら、サピエンス全史は僕らが知っている歴史のお話はほとんどサイドストーリーといった感じで、メインのお話はそれよりもずっと昔、僕らが始まった頃の物語なんです。そんな物語滅多に無いですよね。この年表の超古代がボリューム濃いのはその影響かもしれません。
今回の漫画版のメインももちろん相当昔です。ちょっと年表でここまでっていうのを記してみましょう。
赤い線までが1巻のメインです。ね、とてつもなく昔でしょ。驚きですよね。
なお、ここで早速悲報をお伝えせねばなりません。心して聞いてください。
残念ながら、漫画版も超厚いです。そして、重いです。なのに、上下巻を漫画にするのには4巻が必要ということで、まさかの巻数が増えます!え、漫画版って簡単になるんじゃないの?
ちょっと厚さを見てみましょうか。あの名作『坊っちゃん』と比較。
坊っちゃん三人分ぐらいは必要ですね。
ただ、言ったって漫画です。相当読みやすくなっているはずです。期待しながら目を通していくと、だんだんといつかのあの感じが蘇ってきました。厚い、重い、眠い。おい。
イラストのおかげで読みやすくはなっているんですが、情報が多すぎて処理に困るんです。それに、海外漫画風なんで左から右に読んでいくんですね。慣れないと読みづらいです。おかげで、読み終わる前に『鬼滅の刃』に浮気してしまいました。だって最終巻出たんだもん。
ただ、改めて内容は超面白いです。サピエンス全史を読んだ際に目から鱗が落ちまくったのに、いつの間にかまたくっついたのか、またガンガン落ちていきました。ええ、ええ、つまり忘れていたんですね。
改めて僕が面白いと思ったことを記しておきましょう。
僕らが生き残った理由
こんな風な絵、見たことありますか?
これ、進化の過程を描いていると思われる方も多いと思うのですが、実はちょっと違うんです。
上の絵にある通り、ここに描かれている生物たちは、生きている時代が被っていたこともあったんですね。
僕らの名前はホモ・サピエンスと言いますが、これは「賢いヒト」を意味します。つまり、過去には「そうじゃない」ヒトも沢山いたということなんです。
例えば、ホモ・エレクトス。「直立のヒト」を意味します。初めて火を使い、狩猟道具を作った人類と言われています。あと、ネアンデルタール人は有名ですよね。彼らの脳は僕らよりも大きく、筋骨は隆々。ケンカしたら余裕で負けます。
でも、生き残ったのは僕らだった。
それがなぜか、気になりませんか。
ここからはネタバレになっちゃうので、本のリンクを貼って少し間を開けます。ちょっとでも「内容が気になる」と思ったあなたは、ぜひ本書を手に取ってみてくださいね。重いですよ。
それでは、説明していきましょう。はたしてひ弱な僕らは、どうやって世界征服を成し遂げたのでしょうか。
世界征服の秘密
作者のユヴァル・ノア・ハラリ氏はその理由をこう述べています。
「認知革命が起こったのです」
実は我々の祖先はアフリカから中東に進出する際に、一度(おそらく)ネアンデルタール人らにボコボコにされて逃げ帰っているそうです。それが3万年後には他の人類を追い出し、5万年後には海を渡って世界進出を果たすことになります。
これには、コミュニケーション能力と大勢で共同作業をする能力が劇的に向上したことが理由として挙げられるそうですが、一体どういうことでしょう。
「え、ハチやアリやネアンデルタール人だって協力はするでしょ」と思いましたか?そうですね、彼らもたしかに協力はします。しかし、我々の祖先の優れていたところは、無数の他人と様々な形で協力ができたことなのです。
現代の僕らに置き換えて考えてみましょう。僕らはたとえ家族ではなくても、役割を分担したり、得意不得意を活かして協力し何かを成し遂げたり、その場で小さなチームを作ったりすることができます。これができる生物はこの地球上には他にいません。
それをするにはコミュニケーションが必要です。ただ、コミュニケーション自体は、僕らの専売特許というわけではありません。ミツバチだって鳥にだってできることです。では何が優れているのでしょうか。
それがひ弱で脳みそも小さい我々が生き残ることのできた最大の理由です。昨日も、今日も、そしてきっと明日も私たちは当たり前にそれをしながら暮らしていくことでしょう。
勿体ぶりすぎましたね。我々が生き残れた理由、それは嘘がつけたからなのです。言い換えれば、フィクション(虚構)を作り出せることだと、この本の中で説明がされています。
「サピエンスが世界を支配しているのは、自分で生み出した虚構を信じるなんて動物が他にいないから」
同じ虚構を信じれば、同じ規則に従うことができます。神話や宗教や法律やお金がそれですね。それがあると、千人単位や万人単位でも、全然知らない人とスピーディーに協力し合えるわけです。
ある動物は「おい、敵が来たぞ」といったコミュニケーションしかできませんが、僕らは「もしも敵が来たらどうする?」という会話ができます。
チンパンジーは「今仲間を助ければこの後や天国でいいことになって返ってくる」と言っても信じて動くことはできませんが、僕らはそれを信じてすぐに動くことができます。
好きなものが同じ集団で集まればすぐに打ち解けて相手を信頼し情報の交換ができます。危ないところには迷信を設けて注意喚起したり、コミュニティの中で象徴を作って結束したりすることもできます。
こんな風に、虚構が持つ力は凄まじいのです。
これが、僕らが生き残ることができた最大の理由です。
そんな僕らが、その力をどう活かし、多くの困難や歴史を乗り越えてきたのか。それは是非漫画の中で確認してみてくださいね。
本書を長い長いと批判しながら、この記事自体も長くなってしまいました。そろそろ失礼します。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
途中のエピソードが面白いんだけど長いのです。
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