70点を100点にするよりも、20点を50点にする方が難しい理由


先日、僕の好きなブロガーのしんざきさんのこんな記事を見つけました。


書いてあること、僕も同意です。


当塾には、いろんな学力の子が通っていますが、個人的な実感値、70点の子を100点(を狙えるよう)にするよりも、20点の子を50点(狙えるよう)にする方が、ハードなイメージがあります。


ハードというのは、時間がかかりやすいという意味です。


それにはいくつか理由があります。なぜ、70点の子を100点(を狙えるよう)にするよりも、20点の子を50点(狙えるよう)にする方がハードなのか。大きなものを3つご紹介しましょう。



頑張ることが難しい


まず、しんざきさんが書かれているように、「頑張る」ことが難しいところからのスタートだということ。これについては昔こんな記事を書きました。


勉強が苦手な子たちは、学校などで毎日毎日わからないことを聞き流すトレーニングを続けているので、そのうち「わからない」ことに慣れてしまって、仙人みたいになっちゃうという話でしたね。


なんでも365日5時間以上やれば上手になるものです。彼らは学校の授業という修行時間を使って、「無」になる練習をそれだけしているのです。かなりレベルアップしています。


それを覆すには相当な時間が必要です。しかもすぐに修正に取り掛かれるわけではありません。そこに時間を費やすには、本人の日々の生活リズムや習慣や心持ちを変えていかねばなりません。必要な場合には、その子の周りの環境も。そこまでしてやっと成長への道を踏み出せるのです。


それに、気持ちだけ踏み出しても行動できるかは別問題です。そもそも彼らは頑張り方がわからないんです。


頑張り方って単純です。勉強すればいいんです。でも、それが難しいんです。


勉強って「やる→間違いを見つける→直す繰り返す」の太字の部分なので、ちゃんとやろうとするとどうしても時間がかかるんですよね。時間がかかるってことはその分パワーがかかるということ。彼らがそれをやろうとしても、勉強の体力的に、そこまでのパワーを発揮することが困難な場合が多いです。


だから、勉強風の勉強「エア勉強」で誤魔化していることが多いんですね。そこも修正せねばなりません。


さらに踏み出した後も困難は続きます。



続けることが難しい


次の難しい理由は、「続けることが難しいから」です。彼らには「続けてうまくいった」成功体験が多くありません。ですから、すぐに誘惑に流されたり、誰かの言葉や環境に左右されたりして、すぐに手が止まってしまいます。


ドラマでもよく、不良が改心しようとすると、昔の悪い仲間や悪行が足を引っ張りにやってきますよね。あれです。そこを乗り越えるにも、相当な覚悟とパワーが必要です。ただ、まだ駆け出し始めた彼らには、その覚悟やパワーが圧倒的に不足していることが多いです。


誰かや何かから影響を受けて、せっかく一瞬やる気になっても、人間の元に戻ろうとする機能(=ホメオスタシス)が頑張って元に戻ろうとしますから、寝て起きたらそのやる気は消えていることが多いです。


それに、彼らの成果はなかなか目に見えにくいですから、「承認」パワーも不足しがちです。70点の子が80点とったら褒められますが、20点の子が30点とっても周りからあんまり褒められません。テストというのは本来だんだん難しくなりますから、これって実は結構頑張ったってことなんですけど、無視されがちですよね。


トイレに行かなくなった、座っていられるようになった、ノートの書き方が変わった、姿勢が良くなった、前向きな言葉が増えた。まだなかなか結果が出ない子達には、こんな風に良くなった行動を見つけてあげて、一つずつ承認してあげることが必要です。これって、周りにとっても相当難しいことですよね。


こんなに多くの障害がある中で、成果を出すためにコツコツ勉強することは容易ではありません。



内容的に難しい


これも記事の中にありますが、今の内容がわかっていない原因は、前の内容にあることが多いです。成長のためには、それを見つけ出して、頭の中に入れて、使いこなせるようにしなければなりません。これは学力の高低問わず必要なことで、100点を目指す上でも50点を目指す上でもやらなければならないことです。


問題は、50点を目指す子達は、この戻ってやらなければならない内容が非常に多いということです。中学3年生でも、小学2年生ぐらいまで戻らなければならない場合も多いです。例えば九九とかですね。


これを見つけ出して、直して、次のところも確かめて、また直してと素直にやっていると、学校はどんどん先へ進むので、いつまで経っても点数を上げることはできません。ある程度の割り切りと、ちょうど良いショートカットが必要なのですが、その判断は非常に難しいです。



まとめ


以上が、70点の子を100点(を狙えるよう)にするよりも、20点の子を50点(狙えるよう)にする方がハードだと考える理由です。


最後に、おまけとして、成長についてのグラフのお話をしましょう。あくまで僕のイメージなので、違うと思ったら無視をしてください。


以下、絵とグラフが汚くて恐縮ですが、僕の考える実力の成長具合はこんな感じで推移していきます。


どんな子でも、多くの場合成長というのはすぐには訪れません。しばらく停滞します。その停滞を乗り越えると、ある時ふっと点数が伸びるのです。


そして、停滞している間も、実力というのは上下します。スポーツ選手だって、いつもベストを出せるわけじゃないですよね。


ただ、グラフを見ていただけるとわかる通り、その幅は実力が上がれば上がるほど小さくなります。つまり、同じ1点を上げるでも、元から上位にいる子の方が上げやすいわけです。0→1、99→100を比べてみるとわかりやすいですよね。


これも、70点の子を100点(を狙えるよう)にするよりも、20点の子を50点(狙えるよう)にする方がハードな理由につながりますね。


さて、ここまで20点の子が50点をとることが難しい理由を述べてきましたが、重要なことは、それは「難しい」だけで、「不可能」というわけではないことです。実際に、彼らをグングン成長させている塾さんを僕もいくつか知っています。


理由がわかれば、解決策も見つかる。もちろんその道のりって人によって違いますが、まずは変わろうとした時のスタートのスタートの参考になれば幸いです。


20点から50点を見つけたら、周りの大人はいっぱい褒めてあげてくださいね。


本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。

つい長くなってしまいました。

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塾という場所が好きです。生徒の成長する姿を見るのが好きです。生徒や保護者と未来の話をするのが好きです。合格や目標を達成して一緒に喜ぶのが好きです。講師と語り合うのが好きです。教材とにらめっこするのも好きです。新しい人と出会うのも好きです。藤沢の街が好きです。ブログも、好きです。

勉強犬

「第二の家」学習アドバイザー。
世界中に「第二の家」=「子どもたちの居場所であり未来を生きる力を育てる場所」を作ろうと画策中。元広告営業犬。学生時代は個別指導塾の講師。大手個別指導塾の教室長(神奈川No,1の教室に!)・エリアマネージャーを経て、2015年ネット上で「第二の家」HOME個別指導塾を開設。2019年藤沢にHOME個別指導塾リアル教室を開校。