生徒と進路の面談をすると、「なりたいものがない」という子がたまにいます。
もちろん、それ自体は悪いことでもなんでもありません。誰でも小中学生からやりたいことが決まるわけではありませんからね。
ただ、未来の道標として、「こうなりたい」というものがあった方が、将来について考えやすいのは事実です。もちろん、その「こうなりたい」が途中で変わっても問題はありません。
怖いのは、「なりたいものがない」状態がズルズルと続くことです。例を出してみましょう。
「子ども」は、可能性に溢れていて、目の前には沢山の「なりたいもの」候補があります。だけど、情報が足りないがゆえに、なかなか「なりたいもの」が決められません。現代は価値観多様化の時代。選択肢はそれこそ無数にありますからね。
その「子ども」がやっと「大人」になりました。すると今度は、見える世界が広がるかわりに、能力や資格などを気にして「なりたいもの」を「どうせ無理だろう」とか「今からじゃ遅い」と頭から外してしまいます。
基本的には、未来に行けば行くほど、選択肢は狭まっていきます。例えば、お医者さんや獣医さんがいい例です。資格取得などの関係で「大卒・学部卒」が必要になる(優遇になる)お仕事は他にも沢山あります。
「なりたいもの」があれば、その「なりたいもの」から逆算して、大学や高校、中学校など進路を絞ることもできます。選びやすくなるわけですね。日々の勉強のモチベーションにもなります。
ですから、「なりたいもの」はなるべく早く見つかったほうがいい。それは「職業」ではなくて「生き方」や「ライフスタイル」でももちろん良いのです。ただ、本日はわかりやすいので「職業」についてで話を進めていきましょう。
「そんなこと言うけど、見つからないんだからしょうがないじゃないか」
こういう方も居ますよね。でも、ここで大事なのは「なるべく」です。見つからなかったら見つからなかったで別にいいのです。回り道や遠回りが無駄なわけでは決してありません。
長々と前置きでしたが、本日の本題は「なりたいもの」の見つけ方。その為のある質問がテーマです。それを試してみて、見つからなかった場合はしょうがない。また、その時の考え方を後ほどお伝えします。
「なりたいもの」が見つからないあなたへ。とりあえず胸に手を当てて、考えてみてください。
進路をイメージするための神様からの質問
「なりたいものが見つからない」という生徒には、よくこんな質問をします。
「じゃあ、神様があなたの前に現れて、『能力など関係なく明日から好きなお仕事に就かせてあげよう』と言ったら、何を選ぶ?」
能力や時間などの枷が外れて、想像の遊びも手伝って、答える難易度がぐんと下がるのか、ここで答えを出してくれる生徒は非常に多いです。
ちょっと雑な言い方をすれば、ここで出る答えは嘘や思いつきでもいいのです。大事なのは、簡単に「なりたいものが見つからない」と言うのではなくて、考えること。そのきっかけを作ってあげること。そして、「それでいいよ」と肯定をしてあげることです。
「歌手」「サッカー選手」「大工」「宇宙飛行士」「お医者さん」「大統領」「心理カウンセラー」「裁判官」「パン屋さん」「散歩屋さん」「ユーチューバー」。彼らからは実に多彩な答えが出てきます。
そんな夢を話す時、子どもたちの中には、少し怖がっている子もいます。「お前には無理だ」とか馬鹿にされることを恐れている子が。
でも、我々大人たちは知っていますよね。子どもたちには無限の可能性があること。小学生や中学生の段階では、その可能性の上限や下限が、まだ誰にも決して見えないことを。
だから私たちは、まずは出てきたその「なりたいもの」を一緒に大切にしてあげましょう。「いいじゃん」と笑顔でその答えを受け入れて、「どうやったらなれるのかな」とワクワクしながら一緒に道すじを考えてみましょう。
それができるのか、できないのか、難しいのか、無理なのか。それを決めるのは私たちではなくて、本人たちです。だから、まずはその「なりたいもの」の「なり方」を教えてあげましょう。
「野球選手なら、ドラフトで指名されなくちゃいけないから〜〜〜」
「お医者さんなら、医学部を出なくちゃいけないから〜〜〜」
「歌手なら、どうするんだ?ちょっと調べてみようか。ここにはこんなふうに書いてあるよ〜〜〜」
逆算してみると、「じゃあ進路はこの部活が強いところがいいかな」や「この高校にはこんなコースがあるみたいだね」とか「医学部の合格実績はここがこんな感じだ」など色々と見えてくるかと思います。
見えてきたその道が、あなたの進路候補です。一本目の道が見えると、他の道がふわっと浮き上がって見えてくることもあります。
え?それでも全然見つからない?わかりました。でしたら、そんな方用のとっておきの考え方をお伝えしておきましょう。
名付けて「選択肢を増やす!」(そのままやん)
何も決まっていない進路選びのポイントは「選択肢を増やす」
進路を決める時、神様の質問を使っても、他にも色々試しても、一向に方向性の決まらない生徒もやっぱりいます。
そんな時は裏技です。そしてその裏技はとってもシンプルです。
「なりたいもの」が決まっていないのなら、「なりたいもの」が見つかった時に、その「なりたいもの」をちゃんと選べるように、選択肢を確保または増やしておくことです。
それはちゃんと勉強や進路ともつながっていて、基本的には「評定の基準や偏差値が高い学校」ほど選択肢は数多くなります。ちなみに、「専門科」よりは「普通科」です。
ここでのポイントは「なりたいものが見つからない」を、「頑張らなくてもいい」理由にはしないことです。
「なりたいものが見つからない」は、「だから頑張らなくていい」ではなくて、「だったら選択肢を広げておこう」。それはすなわち自分自身を成長させる期間です。いつかの自分が何になりたいと思ってもいいように。
例えるなら、昔のRPGで次の行き先がわからないときにひたすらレベル上げをするわけですが、そんな感じです(わかりにくい)。
人生はたった一度きり。限られた時間をどう使うかはもちろんあなた次第ですが、こういった考え方が、少しでも参考なれば幸いです。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
未来はいつだって自由だ。足枷を外して、天空を見上げよう。
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