「先生、これわかんない」
先日、そんな言葉を半ばふてくされ気味に言った生徒と話をしました。
その生徒が向き合っていた問題は、先週には自力で解けるようになった問題です。ノートにもその時の説明と解法が載っています。宿題でも確認済みでした。
「この問題さ、どこまで読んでわかんないと思った?」
その一言の時点で、生徒も「やっちまった」ってな顔をしています。つまりは「できない」ではなくて「やっていなかった」だけなんですね。
「やりたくない」フィルターを通せば、どんな問題も「難しい」「できない」「超難問」にその姿形を変えます。
逆に「やってみよう」フィルターを通せば、どんな難問も、レベルアップのための魅力的な材料になります。たとえその問題がその時にはできなかったとしても、向き合った経験が成長の糧になるものです。
今回の生徒は、「面倒臭い」が理由でできた「やりたくない」フィルターでしたが、実はこのフィルター、色んな理由でいきなり創られます。厄介なやつです。
僕の観測経験上、生徒が自信なかったり、自己効力感が弱かったり、間違えるのを嫌がっていたり、気持ちが落ち込んでいたり、疲れていて楽をしたいときなんかにできるみたいです。
本当の「できない」は、とっても大事なものです。それが最大最高の成長チャンスになるからです。何でも「できない」ことが「できる」ようになることを成長と呼びます。
そんな最大最高のチャンスを、貴い「できない」という瞬間を、「やりたくない」フィルターで紛らわしてしまうのはあまりに勿体ないです。
本来なら、時間も体力も精神力も、偽物の「できない」ではなくて、本物の「できない」に注ぎ込みたいですからね。
そんなことをもうちょっとシンプルにその生徒にも伝えました。
今日は折角なので、彼にもお伝えしたその「やりたくない」フィルターの取り外し方について書いていきます。
「やりたくない」フィルターの外し方
そこにも記しましたが、まず「やりたくない」フィルターを創らないために重要なのは「健康」です。何を当たり前のことを!と驚きでしょうが、当たり前こそが大事です。
誰でも疲れている時は勉強に身が入りません。特に勉強が苦手な子はそうでしょう。でもね、体調管理って完全な自己責任。他の誰のせいでもなく、自分のせいですから、逆に言えば自分が気を付けることで苦しまずに済みます。
それを解決するには「早寝早起き朝ごはん」だったり「スマホの扱い方」だったり「適切な生活リズム」だったりします。
もしも今これを読んでいるのが我が子の勉強に悩む保護者の方であれば、まずはその部分だけ気を付けさせてみてくださいね。とにかく夜ちゃんと寝かせましょう。
次に「やりたくない」フィルターを創り出す要因となるのが、「感情」です。人間は感情の生き物。これまた誰でも嫌なことがあったときには何にも手がつかなくなるものです。
「やりたくない」フィルターがこの「感情」が原因でできてしまっている場合は、ソフトなケアが必要です。
保護者様や指導者の立場であれば、「何かあったの?」と話を聞いてあげることで、「感情」を落ち着かせて立ち向かう姿勢をつくることができます。あるいは、激や喝を飛ばして元気にさせることもあるでしょう。
似たような原因ですが、根深いものとして、「自信不足」や「自己効力感不足」もあります。うまくいかないと思っているから手が止まってしまうパターンですね。
これは特に「勉強が苦手だ」と自分で言う生徒に多いです。勝負の前から気持ちで負けているということですね。問題に相対した時、「できない」と決めつけて考えることを放棄してしまうわけです。「読んでるじゃなくてただ見てる」状態ですね。
この理由から創られる「やりたくない」フィルターを外すのは、長期戦になることが多いです。まずは「やればできる」ということ、「自分だって戦える」ということをわからせなければなりません。
一番簡単なそれをわからせる方法は、成功体験を積ませること。そうすることで「わかる」「お、わかる」「できる」「きっと次もできる」という風に心がレベルアップしていきます。
さぁ、最後の「やりたくない」フィルターを創る原因として、「間違えるのが嫌だから」を挙げておきましょう。
教室でも散々「間違えるのは悪いことじゃないんだよ」と伝えているにもかかわらず、まだ「間違えるのを極度に嫌がっているな」という生徒もチラホラ見受けられます。
そういう生徒は丸付けなんかをさせると間違っている答えを消して答えを記入したりするんですよね。間違えを隠そうとするわけです。
もちろん適度な「間違いを嫌う気持ち」は必要です。でも、それが理由で手が止まってしまうぐらいのそんな気持ちはいりません。
プライドなのか、性格なのか、経験によるものなのかわかりませんが、こと練習中に関しては「失敗を嫌がる気持ち」は抑えて「正解してやるぜ」という気持ちを強く持つようにしましょう。
本番で失敗しないために、今失敗しておくのです。失敗しない人は何もしない人。何もしなければ、もちろんあなたの成績や学力が上がっていくことはありません。
他にも「やりたくない」フィルターの源は無限大にありそうですが、「勉強ができない」という生徒が創るフィルターの原因は、こういったところが多いのではないでしょうか。
あのね、自分自身にも向けて書くけれど、本当に「できない」ことってそんなにない。「できない」って勝手に思って、勝手に「やっていない」だけ。自分を見くびるな。自分の可能性を忘れないようにしましょう。
素晴らしいあなたの、明日がもっと素晴らしくなるように、「やりたくない」フィルターなんてつまらないフィルターは捨ててしまって、もっとずっとキラキラしたフィルターで世界を見てみましょう。
そこには、君にできることが限りなく広がっている。尽きることなんてない。失敗しても大丈夫だし、そばにはきっと味方も居る。さぁ、いっちょ本腰入れてやってみませんか。
おわりに
冒頭に戻りましょう。
「先生、これわかんない」
そんな言葉が生徒から出てきた時、僕の中でほんのちょっとだけワクワクする気持ちが巻き起こります。
はたして本当に「できない」のか、それともただ美しくないフィルターを通してみているだけなのか、ちょっとその生徒と話せばすぐに答えがわかります。
それが本当の「できない」だった時、またこの生徒に成長のチャンスが訪れる。そんなワクワクです。
ですから、「先生、これわかんない」と言われた僕は、ワクワクしながらあなたの元へ向かうでしょう。どうかその瞬間が、お互いに楽しくなる時間でありますように。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
勉強ができないと言う前に、やっていないだけじゃないか?と自問自答してみて、「そんなはずはない!」と自信満々で言えたら、それはとびきりの成長チャンスだ。
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