国語の3文字書き抜き問題で「しるし」という答えを書いて間違えた小学生の生徒がいて、僕は何の気なしに呟いた。
「しるしってミスチルみたいだな」
僕としてはほんの軽い冗談のつもりだったのだけれど、それに対して想像を超えた答えが返ってきた。
「そんなに散ってないよ。これ一つだけだよ」
どうやらミスチルを「ミス散る」と捉えたらしい。あらま。
まさかMr.Childrenを知らないのかい?それは人生を損してるよ、と言いかけたけど、授業中だったからやめました。
後々聞いてみると「名前は知ってる」とのこと。そうか、考えてみればMr.Childrenのボーカル桜井さんも今や48歳。おっさんである。小学生が知らないのも無理はなかろう。
でも、勿体無い。うん、勿体無い。というわけで、本日は圧倒的な熱量でミスターチルドレンにスポットを当ててみたい。生徒の多くはついてこれないかもしれないが、それでもなんとなくでも最後まで読んでほしい。何なら宿題である(嘘です)。
Mr.Children略してミスチル。彼らは本当に多くのことを僕らに教えてくれる。変わり続ける街の片隅で夢の破片が生まれてくることとか、明日は誰にもわからないこととか。
ミスチル初心者へ向けた『Mr.Children』についての基礎知識
まず、彼らを知らないという方のために、簡単に説明をしておこう。知っている人にとっては何を今更という情報である。爽快に読み飛ばしていただきたい。
Mr.Childrenとは、1992年にデビューした4人組のモンスターバンド。1993年に『CROSS ROAD』で125万枚を売り上げてから、常にシーンの最先端(この表現が古い)を走ってきた神バンドである。
100万枚以上のCD売上、つまりミリオンセラーは、シングルのみで10作品にも及ぶ。ダブルミリオンに至っては2作品で日本記録保持者だ。もちろん奏でられる音楽も素晴らしいし、歌詞も素敵。
たまに歌を聞いたファン以外の人が「何を歌ってるのかわからない」って言うけど、だからこそ歌詞カードを読むのが楽しみになるんじゃないか。過去に何度歌詞カードを読んで震えたか。
ご紹介代わりに、僕の好きな歌詞をいくつか挙げていこうと思う。まずは『Worlds end』の2番。
「飲み込んで吐き出すだけの 単純作業繰り返す 自動販売機みたいに この街にボーっと突っ立って そこにあることで誰かが 特別喜ぶでもない でも僕が放つ明かりで 君の足元を照らしてみせるよ きっと」
自動販売機でこんなに感動的な歌詞が書けるとは。神か。次に永遠の応援歌『I'll be』から、そっと背中を押す一文。ちなみに、この歌はアルバム版もシングル版もどっちもいい。
「いつも心にしてたアイマスクを外してやればいい 不安や迷いと無二の親友になれればいい」
ここから怒涛のサビへつながる流れはすごくいい。生きてる証を時代に打ち付けている感がある。
そして最後に、誰もがご存知(じゃなかったんだけど)、至高の名曲『終わりなき旅』から心震わす魂の言葉。シンプルだけど力強い響き。ちょっときつい時に聞くと泣きそうになる。
「高ければ高い壁のほうが登った時気持ちいいもんな」
「誰の真似もすんな 君は君でいい 生きるためのレシピなんてない ないさ」
全部読み方によっては変哲もないたった一行の文だけど、完璧にミスチルドンピシャ世代の僕には、読むだけでぐっと胸にくるものがあります。
さぁ、本日は彼らから大いに学びましょう。
ミスチルに学ぶ名もなき勉強術 ①見せ方
Mr.Childrenの作詞作曲を手がけるのはボーカルの桜井さん。
桜井さんは大のサッカー好きとしても知られている。私生活のほとんどはサッカーをしているというぐらい、めっちゃ好きらしい。元プロの方ともチームを組んで試合をするほど。
「サッカーしてないで音楽作りなさい!」なんて言われることもあるのだろうか。まぁ、今や大御所だからそんなことはないと思うけど、そこは天下のミスチル。ちゃんと結果で「やることやってるよ」と示している。
前述の通り、過去に売上が100万枚を越えたシングルは10枚。『CROSS ROAD』が120万枚、『innocent world』が190万枚、『Tomorrow never knows』が驚異の280万枚、『everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-』が120万枚、『【es】 ~Theme of es~』が160万枚、『シーソーゲーム ~勇敢な恋の歌~』が180万枚、『名もなき詩』が230万枚、『花 -Mémento-Mori-』が150万枚、『Everything (It's you)』が120万枚、『終わりなき旅』が100万枚、万枚って言いすぎてアゴが痛いね。まるでミリオンセラーのバーゲンセールだ。
これではたとえ上司が居たとしても何も言うことはできないだろう。生徒諸君。ここからは大いに学べる。
お母さんに「勉強しろ」って言われるのが嫌だという方、先生に「勉強してるの?」と訊かれるのが面倒臭いというあなた、それを黙らせる方法は簡単だ。ミスチルに倣うなら、テストで良い点数を取ってくればいい。
つまり、「やることやりたきゃ結果を出せ」ということだ。実にわかりやすい。
特に「頑張り」というものはなかなか伝わりにくいものだが、数字を通せばその「頑張り」は何も言わずとも、いとも簡単に伝わってくれる。
「いっぱい売れた」ではイメージがつきにくいが、「100万枚」と言えば伝わりやすいだろう。それと一緒だ。「頑張った」よりも「100点取れた」の方が響きやすい。
響けば君の望む結果はすぐに手に入るだろう。狙ってみる価値はある。
それにね、勉強はね、いや勉強以外だってね、誰かに言われてやるより、自分から進んでやったほうが楽しいよ。『勉強の楽しみ方』にも書いたけどさ、たったちょっとの工夫で、勉強だって楽しくなるんだからね。
四の五の言われないために、まずは結果で見せようぜ。背中で語るだけでは伝わらない。語る背中のそこに、「数字」を貼っておくのだ。
ミスチルに学ぶ名もなき勉強術 ②好きなものを活かす
ただし、桜井さんのすごいところはその実績だけではない。
彼はなんと、その好きなサッカーを活かして曲も書いている。同じくサッカーを愛するGAKU-MCとウカスカジーというユニットを組み、ワールドカップの応援ソングを発表しているのだ。『勝利の笑みを君と』は名曲。
さらに、桜井さんは積極的に色んなミュージシャンの方と交流を図っている。エレファントカシマシやRADWIMPS、ONE OK ROCKなどとも対バンをしている。豪華だね。
そしてそして、私の大好きなサザンオールスターズの桑田さんとは、一緒に曲も出している。まさに奇跡のコラボで歌うその曲名は『奇跡の地球』。もう奇跡感がすごい。とんでもない。
そう、この柔軟性も桜井さんの魅力の一つだ。自身がトップを走るアーティストでありながら「BUMP OF CHICKEN大好きですよ。メンバーに入れてほしいぐらい」なんて言ったりする。
偉ぶったりする感じが全くない。いいと思ったらいい。若手にもリスペクトを忘れずに、吸収し、糧にして、また新しい最高の曲を作る。
はい、ここ、勉強にも活かしましょう。いいと思った勉強法は貪欲に取り入れるがいい。古いのでも新しいのでも、君の感性に引っかかったなら、それはチャンスだ。成長のチャンス。
「閉ざされたドアの向こうに 新しい何かが待っていて きっと きっとって 僕を動かしてる」
その通り。そのワクワクする何かが、君を前へ前へ動かしてくれるはずだ。もっといい方向へ。もっとキラキラする未来へ。
そしてもちろん話はこれだけでは終わらない。
ミスチルに学ぶ名もなき勉強術 ③ピンチをチャンスへ
そんなミスチルにも苦難の時は訪れる。
CDが売れなくなる時代の到来だ。勉強に例えるなら、急に試験範囲が変わった感じ。天下のミスチルも、2000年頃を皮切りに、ミリオンが途切れてしまう。ピンチだ。
でも、彼らはこんな風に歌う。
「夢見てた未来は それほど離れちゃいない また一歩 次の一歩 足音を踏み鳴らせ」
2014年発売の『足音 〜Be Strong』の一節だ。そして、言葉はこう続いていく。
「時には灯りのない 寂しい夜が来たって この足音を聞いてる 誰かがきっといる」
辛い場面も、苦しい状況も、少し見方を変えれば、そこに希望の光が差す。ピンチがずっと続くわけないよ、なんて声が聞こえてくる。加えて、そんな辛さや苦しみは、ちゃんといつかの幸せや喜びにつながっている。そんな事実を、初期の名曲『星になれたら』ではこう歌う。
「長く助走をとった方がより遠くに飛べるって聞いた そのうちきっと大きな声で笑える日が来るから」
ファンに人気の『one two three』ではこうだ。
「暗闇で振り回す両手も やがて上昇気流を生むんだ」
だから、前を向いて歩いていこう。なりふり構わず手を動かしてみよう。そしたら、ね、そしたら、どうなるかな。
その答えは『彩り』が教えてくれる。
「なんてことのない作業が 回り回り回り回って 今僕の目の前の人の笑い顔を作ってゆく」
それだけじゃない。
「僕のした単純作業が この世界を回り回って まだ出会ったこともない人の 笑い声を作ってゆく」
そう、君の大切な人の笑顔や、どこかの誰かの喜びにつながるよ。
勉強法のとっておきはね、誰かのために頑張ることだ。自分のためだけに頑張るよりも、何倍もパワーが出る。手が動く。力強く一歩を踏み出せる。
もちろん身近な人のために頑張る、がわかりやすいけれど、まだ出会ったこともない人のHAPPYのために頑張れたりしたら、なんていうかもう無敵だ。
自分だけじゃなくて、誰かのために問題を解く。難しい問題であればあるほど君への負荷は増えるけれど、その分君を含めた誰かがHAPPYになると思えばいい。
え?そんなの難しいよって?弱気になるな。そんなあなたを勇気づける歌詞を『prelude』から贈ってこの勉強術については終わりにしよう。
「信じていれば夢は叶うだなんて口が裂けても言えない だけど信じてなければ成し得ないことが きっと何処かで僕らの訪れを待っている」
君のことを待っている人がいるよ、もしかしたら案外すぐ近くにさ。
そしてここ最近、Mr.ChildrenはCD苦境の時代を乗り越え、新しい武器を手に入れた。
新曲ではCDは発売せず、もっと気軽に、うんとスムーズに、そして素早くリスナーの手に届く、「音楽配信」を使って音楽を、心揺さぶる歌詞を、最高のメロディを、きっと何処かで待っているファンの皆様に届けている。
まとめ
ここまで褒めに褒め、ミスチルがやってきたことを勉強に活かせるように話を進めてきたけれど、そもそも結果が出せて、楽しんでいて、それが誰かの為にもちゃんとなっていて、しかも情報に敏感で柔軟に変化できるなんて、最強じゃないか。
「特別でしょ」と誰かが言う。そうだ、ミスチルは確かに特別だ。でも、そんな彼らはこう歌う。
「あるがままの心で生きられぬ弱さを 誰かのせいにして過ごしている 知らぬ間に築いていた自分らしさの檻の中で もがいているなら 僕だってそうなんだ」
そりゃ最初から誰もがミスチルみたいにうまくいくわけないけど、まずは真似して歌ってみてもいいんじゃない。
桜井さんはライブでよくこの歌詞を観客に歌わせる。そこには、たとえ歌詞やメロディや音程は一緒でも、一人ひとりが放つ違う曲がいくつも生まれる。
一人ひとり違う。そう、同じことしてたって、上手に真似てみたって、君が歌うなら、それは君だけの歌になるんだ。
同じようにさ、君がやるなら、君が手を動かすなら、それは他の誰でもない、君だけの勉強術になる。一緒になんなくたってさ、君なりに一生懸命やってみたなら、それでいいじゃんか。
そうだ、だから、『名もなき詩』。
そう、だから、『名もなき勉強術』。名前は君がつけるんだよ。
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本日は触れなかったけど、ラブソングだってそりゃあもう素晴らしいんだから。
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