「先生、できました。丸付けしますね」
その生徒は自習中ということで、丸付けをさせてみると、その言葉通り全問正解。よくある塾の風景ですが、先日の一コマにはあきらかな違和感がありました。
丸付けされたプリントとノートを確認すると、「その生徒の実力だと今その問題は難しんじゃないの」という問題も軽々クリアしています。これはおかしい。
まじまじと自分がやったものを見られた時点で生徒も覚悟していたようです。「あ、そこ本当は間違えてました」なんて素直に吐きました。
そこからお説教兼諭しタイムが始まりました。ちなみに、嘘の丸付けが行われた教材は提出が必要なものではありません。ですから、ズルしてもなんの得もないものです。
「早く帰りたい」「楽したい」「頭を使いたくない」「いいとこ見せたい」
今回のこの事件は、生徒の中にあるそんな気持ちが「成長したい」という気持ちに勝ってしまった結果でしょう。
改めて、伝えました。
あのね、別に自分に嘘をつかなくたっていいんだよ。
そもそも自習だから、早く帰りたいなら帰ればいい。そもそも勉強するのが嫌なら来なくてもいい。でも、君はここに来たね。それは偉い。折角来たなら、成長したいよね。行きたい高校があるんだからさ。
頭を使うって大変だよね。でも、その負荷が君を成長させる。できていないものをできているように見せかけても、結局それができないままなら、それはまるで無駄な時間になっちゃうよ。負荷をかけなきゃ、成長はしない。これはみんな一緒だよ。練習しなきゃうまくならない。
いいとこ見せたいって思う気持ちはね、よくわかる。でも、一問一問の正答率なんかで、僕らは君を判断しないよ。僕らはね、君の正解が見たいんじゃない。君の成長が見たいんだ。そのために、間違えることだってとっても大切なんだよ。
僕らはね、君の成長を、一緒に応援する指導者であり、仲間です。だから、できることもできないことも、ありのまま教えてほしい。できないことを隠すな。そして、そのままにするな。間違いやわからない問題に出会った時、それこそが最大の成長ポイントなんだから。
君がその壁を乗り越えるために必要なことは、何度でもいくらでも伝えるからさ。だって、一緒に目標を達成したいからさ。
そんな想いがうまく伝わっていなかったり、忘れられたりしてしまうと、こういうことが起こります。僕らも反省しなくちゃなりません。
「そうは言っても結果だけで一喜一憂したりしていないか」「何度言ってもうまくいかない生徒へ対しての対応は適切か」「ちゃんと想いを伝え続けているか」自問自答です。
勉強ってさ、できないことをできるようにしたり、できることをもっと上手にできるようにしたりすること。
だから、苦しんだり負荷がかかったり失敗したり落ち込んだりすることって必ずある。それがなくちゃ、勉強って言わないんじゃないかな。
ちゃんと挑戦しよう。ちゃんと失敗しよう。そして、正々堂々それと向き合って、考えて、これから未来の糧にしよう。
大人も子どもも、勉強は必要です。
お互い頑張ろうぜ。子どものうちから楽する方法ばかり覚えるなよ。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
本気で立つ打席の数が多いほど、人は成長すると糸井さんも言っていました。
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