何事も、先回りは重要である。
そんな当たり前のことを改めて実感する出来事があった。
それは「ちょっとまずいな」という勉強法をしている生徒に、「こうした方がいいよ」と伝えたときだ。
暗記が作業になっているとき。小テストの直しが惰性になっているとき。丸付けが大雑把なとき。ノートをきれいに書くことが手段でなく目的になっているとき。
そんなときに僕は生徒に声をかけるのだが、ここで少しだけ「ある先回り」をしておくと、その言葉の刺さり方が大きく変わってくる。心に響いていると実感できるようになるのだ。
その「ある先回り」とは、その子に伝えたいことを前もってプリントにしたり掲示したりしておくこと。ただ指摘しただけだとなんだか後出し感が拭えないが、指摘をした後こんな文句と一緒にそのプリントや掲示物を見せると響き方が変わってくる。
「今言ったこと、ここにも書いてあるでしょ」
「本当だ」と生徒が目を輝かせれば成功。併せて理由を伝えれば、驚くべきスピードで行動が変わる(こともある)。
人間って不思議なもんで、直接言われるよりも、間接的に聞かさせるほうがその情報を信じやすいのだとか。傍聞きで聞いた話のほうが信憑性が高いと勘違いするもんな。だから噂話って広がるんだろう。
人間って不思議だけど、そっちのが響くなら活用した方がいいよね。
伝えたいことがある生徒の座席に、あえて先回りしてその伝えたいことを貼ったり置いたり忍ばせたりしておくと、その効果は絶大だ。
ということは、そこで伝えることは前もってどこかに記しておかねばならない。
というわけで、本日は『勉強モンスター図鑑』に続くダメダメ勉強法について記す機会を設けました。
ちなみにダメ勉強法といえばさくら個別指導学院の國立先生のこの記事たち。参考になります。
前置きが長くなってしまったけれど、今日のテーマは『ノートのとりかた』です。ちょっと辛辣に書くけど愛を込めて書くので許してね。ただし、もちろん個人差があることを先にお伝えしておく。
題して【勉強がうまくいかない子のへんてこノート術】である。
勉強がうまくいかないノート術1 ノートがお花畑
ノートを開くと、一面に広がるお花畑。色とりどりのカラフルな光景が眼前に広がる。
ご承知の通り、もちろん本当にお花が咲いているわけではない。比喩である。ノートを開いてそこが本当にお花畑だとしたら、その生徒にはすぐにそのスキルが活かせる別の場所を紹介する。
ノートがお花畑というのは、カラフルになりすぎているということだ。そんな子のノートをめくると、どのページも色違いのペンを5、6本以上使ってそれはそれは豪勢に仕上がっている。
そんな子に伝えたい。ノートはアートではない。ちょっと言葉は似ているけど別物だ。
「何よ、ノートをどう取ろうが私の勝手でしょ」
確かにその通りだが、こと勉強においてはそのノートは不利に働くことのほうが多い。時間もかかるし、疲れるし、「勉強した気」にもなってしまう。頭には何一つ入っていなかったとしても。
もしもそういうノートのとりかたをしているあなたが、なかなか勉強がうまくいかないと悩んでいるのなら、使うペンを減らしてみるといい。ノートが早く書き上がるし、楽だし、コストもかからないし、空いた時間を使って知識を頭に入れることもできる。結果テストの点や成績や学力も上がって万々歳だ。
一応科学的な補足をすれば、人間の脳は情報が多いと省略をしようとしてしまうらしい。色とりどりのノートはたしかに魅力的だが、脳が処理をするには少し情報過多かもしれない。
そんな素敵なノートが書けるあなたなら、そのエネルギーの方向を少し変えればいいだけだから、きっとすぐに目標だって達成できるようになるよ。
勉強がうまくいかないノート術2 警察官がいない
こちらもたとえである。警察官がいない、つまりはルールがないということだ。
例えばそんな子の数学のノートを覗いてみよう。実際にあった事件がモデルになっています。
「お、このページでは2行を使って文字を書いているな。見やすくていいね。ちゃんと問題ごとにも隙間があって見やすい見やすい。いいじゃん、いいじゃん」
しかし、ページをめくると驚天動地の事態が待っている。
「お、お?隙間がない…」広がるのは隙間のない世界。文字も小さくなっている。一体何が起こってしまったのだろう。きっと何かの間違いだろう。慌てる心を落ち着かせてページをめくる。
混乱は続いていた。引かれてある線は無視で、なんと字体が斜め。あちこちに点在する計算跡。誰かに襲撃でもされたのだろうか。
崩壊した秩序を嘆きながらめくったページは、なぜかボールペンで書いてある。あらま。
こうなってしまっては、成績アップも絶望的だ。だってきっと見返しもしないから。
こういうノートを持つ子が「それ習ってない」なんて言い出したら、ぜひ一緒に彼のノートの世界へ冒険に出よう。そこに宝物が眠っていると気付いたとき、世界に秩序がもたらされるかもしれない。
ルールを統一しよう。そしてそのルールはなるべくシンプルにしよう。それが武器になるノートの入り口だ。最初はきついかもしれないけれど、慣れてきたらパワーを使わずともできるようになる。そうなったら目標達成は近いぞ。
こんな生徒が目の前にいた場合は、徹底的にノートの書き方を指導します。何度も何度も何度もうるさく言います。だってそれは能力じゃないから。どんな人でもできるようになることだから。
勉強がうまくいかないノート術3 過去と未来を大事にしない
「俺は過去を振り返らない」
何かの主人公にいそうですが、こと勉強においては馬鹿者です。振り返れ。
さすがに馬鹿者とは言わないが、こういう気のある生徒は、安易に間違いを消したり、途中式を書かなかったり、大事なポイントを何も考えず抜いたりする。また、ノートをうつすことが作業みたいになって頭を使おうとしない。
楽をしようとするのだ。そこに財宝が眠っていることも知らずに。
例えば自分の間違えた記録なんて、自分の学力を上げる最大のチャンスポイントである。何ができていないのか、理解できていないのか、それを見たらわかるのだから、それを克服すれば点数や学力が上がるというわけだ。このチャンスを逃す手はない。
また、ノートをうつすときに頭を使えば、一石二鳥だ。記憶とは繰り返しで強化されるものである。その一回目と同時に、記録まで残せるのだから、有意義な時間にした方がいい。ここで頭を使わない子は、ノートをとることが目的になっている子で、その先の未来が見えていない。
想像力を駆使しよう。イメージを広げよう。何のためにノートをとるのか、考えよう。答えは既に知っているはずだ。いつか何処かで誰かが君に教えてくれたはずだ。わからないなら私が再び君に教えよう。メールをくれ。
理想を言えば、「未来の自分はこんなことに困りそうだな。よーし、いっちょこれを残しておいてやるか」や「間違いを残しておけば注意ポイントが分かるよね。テスト前にここだけ見直せば素早く振り返りができる!」なんて想像力を働かせてノートをとれると良い。
過去と未来を大事にしよう。どちらも君にとって大切な人生だ。生きてきた証を、素晴らしい未来のための糧にしよう。きっと君の味方の誰もがそれを望んでいるよ。
そして、ノートはさ、君の分身だ。それだけじゃない。君の親友であり、恋人であり、味方にもなる。良いときも悪いときも常にそこにいてくれる。困ったときは手を差し伸べてくれる。
大事にしなくちゃね。
勉強がうまくいかないノート術4 なくす
「ノート?どっか行った」
どっか行くわけがない。訂正するのだ。「本当に申し訳がないのだけれど、私がどこかに行かせてしまった」だろう。何でも無機物のせいにしたら終わりだ。
前述した言葉を引用しよう。
過去と未来を大事にしよう。どちらも君にとって大切な人生だ。生きてきた証を、素晴らしい未来のための糧にしよう。きっと君の味方の誰もがそれを望んでいるよ。
そして、ノートはさ、君の分身だ。それだけじゃない。君の親友であり、恋人であり、味方にもなる。良いときも悪いときも常にそこにいてくれる。困ったときは手を差し伸べてくれる。
大事にしなくちゃね。
安易にノートをなくし、ヘラヘラしている君は、安易に親友や恋人や味方を裏切り、平気でいるような奴だ。はたしてそんな人間が成績アップできるだろうか。いや、成績アップしたとしても、私は許さない。
塾はね、学力や成績を上げる場ではあるけれど、それだけじゃない。君の人間的な成長を見守る場でもあるからね、見過ごす訳にはいかない。
きっちり指導するので、覚悟しておいてほしい。大事なことだからさ。
もちろん、不慮の事故でノートをなくしてしまう場合もあるだろう。出会いがあれば別れがあるのも世の常だ。そんなときは、最大限の感謝の気持ちで見送ってあげてほしい。
まだまだ続けたいが、これ以上ヒートアップすると危険なので、ここらで一旦終わりとしたい。
最後に、こんな質問をしよう。大事な質問だ。心して答えてほしい。
「ノートは君にとって必要か?」
ノーとは言うな。うん、駄洒落である。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
次回、更なるノートの闇があなたを待ち受ける!お楽しみに!
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