人間は適応力の高い生き物です。
与えられた環境に、素早く順応します。それが我々の最大の武器でもあると思うのですが、そのことが邪魔をする場面もよくあります。
そのうちの一つが今回のテーマでもある「やってもらうとやらなくなる」という現象です。
これはよく大人と子どもとの間で起こります。例えば、保護者の方が子どもの先回りをして動いてしまうと、子どもはだんだんとそのことをやらなくなってしまうのです。
例を挙げるとすれば、「明日の準備をすること」。準備って子どもは全然しなかったり最初は下手くそだったりで保護者の方がやってしまうことって結構あるんですよね。でも、それを続けると子どもはいつの間にか準備をしなくなります。
「提出物を出すこと」もそうですね。ランドセルや鞄の中からなかなかプリントを出せない子どもって多いです。でも、そこで保護者の方が代わりに出してしまうと、だんだん子どもは提出物に無頓着になって、結局保護者の方の負担が増えることになります。
「考えること」もそうです。考えることって、「まずこのことについて考えよう」とか「アンテナ立てておこう」っていうところからスタートなんですが、誰かがそれをやってくれると、どんどんそんな面倒くさいことやらなくなるわけです。
私は塾の先生という立場ですが、「教えすぎ」に注意しています。勉強って自分で「わかること」「できること」が重要なんですが、「わからせてもらう」経験や「できるようにならせてもらう」経験が増えると、あんまり自分で考えなくなるんですよね。
それが続いて、読まなくなる、解かなくなる姿勢が身に付いてしまうと、悲劇です。誰かがそばにいないと勉強できなくなってしまいます。勉強ってずっと必要なものですから、これは本当にまずいです。
「始めること」も、一緒です。何かを始めること、誰かがその機会を奪ってしまうと、自分じゃ動き出せない人になってしまいます。
「失敗を分析して次に活かすこと」も同じです。失敗した時に誰かから責められることが続くと、自分で次に活かそうとすることを放棄するようになっていきます。本当は、その失敗に責任も何もない誰かじゃなくて、自分で活かさないといけないんですけどね。
まぁ、これって勉強だけではなくて、仕事とか家事とかだって同じですよね。大人の皆さんも(私含め)、よくわかることだと思います。
じゃあどうすればいいのか。
この言葉、聞いたことありますかね。ご存知、山本五十六さんの名言です。
やってみせ、言って聞かせて、
させてみせ、
ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、
任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、
信頼せねば、人は実らず。
まずやるべきことは、この名言の最初の部分、「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒める」ってことですね。見本を見せて、やり方を伝えて、やらせてみる。そして、その結果がどうであれ、やったことを承認する。
保護者の立場だともちろん心配なんですが、失敗させることも大切なんだと思います。痛い目見てわかることもあると思うんですよね。
自分でやればすべて良い経験になりますから、ぜひその機会を増やしてあげてください。いつからでも今からでも、それってできることですしね。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
保護者の方(かた)ですよ。ほうじゃないですよ。
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