定期テストが返ってきたら、振り返りシートを使ってテストの振り返りと解き直しをさせます。目標や学力によって実施しない子もいますがそれはまた別のお話。
振り返りシートは「ラフ(中学生用)」と「クラシック(高校生用)」があるのですが、どちらも指示に従っていくだけでテストの振り返りができるようになっています。
それを添削し、個別振り返りをしていきます。いくらプリント見て書けるとはいっても「細かく書け」と言って細かく書けたら塾の先生はいりませんからね。
本日はそんなテスト分析前後の個別の物語をショートショート(短く)で2つご紹介します。ショートショートって宣言しておかないとついつい長くなってしまうので、タイトルは自分への戒めです。
それでは早速参りましょう。あ、すべて一例なので、「この勉強法や解決策が一番だ!」と胸を張るつもりはさらさらありません。課題は一緒でも解決策が人によって違うなんていうのは当たり前ですからね。
課題が近いお子様の参考になってくれたりしたら嬉しいです。
気持ちの課題と能力の課題
今回の主人公は、冒頭の写真の振り返りノートを記した子です。
性格的にはしっかりしている子で、テストの点数も毎回平均を越えてきてくれる子ではあるのですが、突き抜けるには今一歩という生徒でした。
「今回は中3生だし箇条書きではなくて文章で書いてみようか」と担当講師からの振り返りシートに関する指示。すると、彼女が今一歩突き抜けられない理由が浮き彫りになりました。
かねてより「凡ミスが多いんです」と本人はよく言っていました。ただ、一概に凡ミスと言っても理由は様々で、その原因を突き止めることが再発防止には一番効果的です。
今回新しく見つかった「凡ミスの原因」は、気持ちの部分と能力の部分一つずつ。「なぜ間違えた?」などの欄から読み取れる、文章のぎこちなさがヒントでした。
その部分読んでいただくとわかりますが、日本語や文法的な部分のあやしさはもちろん、書きっぱなしの文章という感じじゃないですか?多分読み直しなどしてないですよね。
本人に聞いてみれば、「早く書こうとか、早く読もうとかしちゃう」とのことでした。あと、面倒臭がっちゃうとも。数学以外の科目でも最後まで指示を読まずに間違えている問題がありました。
そういった気持ち部分と併せて、国語力についての課題も見てのとおりです。今回の「国語力」とは、「相手の求めているものを的確に返す力」のことで、この力が弱いと文章表現はもちろん、問題の意図を読み取れなかったり、コミュニケーションがずれたりします。インプットにもアウトプットにも影響する重要な力です。
課題がわかれば、解決策を考えるのは簡単。まずは気持ち面です。本人と面談をして、「スピードよりも正確さ」の重要性を改めて伝えました。実際のスピードが決して遅いわけではないので、あくまで気持ちの部分での納得感を持ってもらいました。そして、結果面倒臭がって間違えたほうが面倒臭くなることも理解してもらいました。
併せて「プチ音読」&「手を動かす」という作戦も伝えました。問題文を小さな小さな声もしくは心の中で「音読」をするとともに、線を引くなど手を動かすことで読み漏れなどを減らすテクニックです。テクニックが重要というよりは、その意識が重要です。
そして、もう一つの能力面の課題である国語力。これを身につければ自然に上記の「早く的確に読む」ことも可能になってきます。ここは個別のトレーニングを設定しました。
読解練習については「基礎からの国語」というオリジナル教材と、「新中学問題集」の内容ピックアップして練習スタート。文章を書く練習についてはまだ未実施ですが、ここから先日の教材研究会で学んだ「簡易版三題噺(3つの言葉を使って簡単な記述をする)」で語彙を増やすとともに文章記述に慣れてもらおうと思います。
2つの取組みの効果かはわかりませんが、先日担当の講師から「小テストなど満点が続いていますよ。本人も解き方がわかってきたんじゃないですか」と報告が。この調子で、突き抜けてもらおうと思います。
褒めることの大切さ
続いての主人公は、高校2年生の女の子。
話は前回のテストの振り返りに遡ります。例によって、シートを書いてもらい、分析をしていたら、「それまでに頑張りたいこと」の最後に「親に認めさせる」という文言が。
そこに親のこと書いてあるの珍しいんですよね。よく聞くと、「あんまり褒めてもらえないから、次はぎゃふんと言わせるのが目標」とのことでした。まぁ、動機はさておき、やる気なのは良いことです。
そして今回のテスト。苦手の化学は自己最高の80点超え!平均は少し高めでしたが、胸を張れる結果だと思います。親に報告しておいで、と見送りました。
次の日、わかりやすすぎるぐらいにうなだれて来た彼女。どうやら報告がうまくいかなかったようです。どうしたんでしょう。
「平均は何点なの?って訊かれて60点いかないぐらいって答えたら、まぁそれならね、って言われた」と。
なるほど。ちょうど翌週にお母様と面談だったので、お母様にも話を聞かせていただきました。
「ついつい褒めずにそういう風に言っちゃうですよね。頑張ってほしくてハッパかけるような感じなんですけど、よくないですよね。お姉ちゃんにも今のは良くないと言われました」とのこと。お母様もだいぶ反省されていました。
家族のコミュニケーションですから、良いも悪いも僕は判断ができませんが、彼女が親に認めてほしいと思っていることは確かです、とお伝えしました。
誰でも、大好きな人からは「頑張ってるね」って思われたいですもんね。
兎にも角にも、お母様だって反省されていたので話は早い。翌週現れた彼女はいつも通り元気でした。お母様ともうまく話せた様子。「良い点取れたからご褒美」作戦で話はまとまったそうです。
勉強は大変。大人だって、ただただ頑張るというのはきついものですよね。頑張るには、心のエネルギーが大事。
褒めるというのは、ただそれだけでそんな心のエネルギーを充電できる、お金も技術もいらない、魔法みたいなコミュニケーションです。
「頑張ってるじゃん」
その一言が、今日もどこかで誰かを支えるかもしれません。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
ショートショートじゃなかったの?と聞くのはご遠慮くださいませ。
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