君たちはどう生きるか。
原作となった本を読んだ時にも思いましたが、なんかこう、ドキリとさせられるタイトルですよね。なかなか答えが出せない壮大な問いかけです。
そしてもちろん、その答えはすぐには出さなくていいのだと思います。ずーっと考え続けなきゃならない命題。それが、「君たちはどう生きるか」なのかもしれません。
なんて、少し哲学的に始めてみました。そんなことを考えさせられる映画を観てきたのです。
そうです。宮﨑(いつの間にか私と同じ立の﨑になったんですね)駿監督の『君たちはどう生きるか』を今更観てきました。
ネタバレなしの感想は、「観てよかった」です。
賛否両論のある作品だということはよくわかります。でもきっとそれも想定内なのでしょう。
「面白かった」も「面白くなかった」も「良かった」も「退屈だった」もすべて正解。あなたの中にあるその想いをちゃんと大切にしてね。「いつだって答えは自分で探すんだよ」とメッセージを投げかけている、文学小説のような映画なんだろうと思います。
だから、まだの方はぜひとりあえず観てみてください。それしか言えません(笑)
以下はネタバレあり感想です。ずっと情報をシャットアウトしてきて、映画を見終わった後も何も仕入れていない状態で書く完全なる個人の意見になりますので、よく考えたらそりゃ間違いなんてこともあるかもしれません。そしたらすみません。でも、大事なのは自分の頭で考えることですからね。
良かったらぜひあなたの感想も聞かせてください。
君たちはどう生きるかネタバレあり感想
絶対に平和で安心な夢のような世界。
そこで死ぬまで幸せに暮らせるけど、どうする?
戦争が起き、死が身近で、夢も友達も楽しみも喜びもない残酷な世界に戻る?
そんな風に神様に問われたら、あなたならどうするでしょう。悩んじゃいますよね。
それでも主人公は、その世界へ戻ることを選択します。明日がどうなるのか、この先何が起こるのか、何一つわからないけれど、だからこそ自由な世界へ。
きっとそこから主人公の新しい「自分の頭で考える」物語がスタートするのでしょう。その勇気ある決断に、心打たれました。そして、もう一つの決断にも。
入試問題などで出てくる小説文の中には「機転がある」とよく言われます。主人公が、ある出来事を経て成長したり変化したりするポイントですね。
今回の映画の中でその機転となるのが、主人公が吉野源三郎さんの『君たちはどう生きるか』を読むところです。小説の内容(あの手紙のシーンですかね)なのか自分(母親を亡くした苦しい状況)と照らし合わせてなのかはわかりませんが、涙する場面ですね。
ここを境に主人公の心は成長し、いわば「人を助ける」モードに変貌します。複雑な想いのあった新しいお母さんを救う冒険に出るのです。
足を踏み入れた過去や未来が入り混じる不思議な世界の中で、主人公は多くの経験をしていきます。もしも主人公のモデルが宮﨑駿監督なのだとしたら、この世界は心象世界のメタファーでしょうか。監督が産み出した作品達の元となっている場所なのかもしれません。空飛ぶあの子達(可愛いやつ。名前を忘れてしまった)が一つ一つのアイディアみたいな。
そうそう、いろんな世界へと続く多くの扉もありましたね。となると、あの扉の向こうには、トトロやもののけ姫やナウシカやルパンやハウルやポニョの世界が広がっているのかも。そんな妄想をちょこっとだけして一瞬物語からはぐれかけました。
紆余曲折を経て、新しいお母さんとも和解し、青サギとの友情を深めて、主人公は最後の選択の場面に辿り着きます。
絶対に平和で安心な夢のような世界。
そこで死ぬまで幸せに暮らせるけど、どうする?
戦争が起き、死が身近で、夢も友達も楽しみも喜びもない残酷な世界に戻る?
そんな風に神様に問われたら、あなたならどうするでしょう。悩んじゃいますよね。
それでも主人公は、その世界へ戻ることを選択します。明日がどうなるのか、この先何が起こるのか、何一つわからないけれど、だからこそ自由な世界へ。
そして、その勇気ある選択を見て、もう一つの選択をした人がいました。そうです、ヒミことお母さんです。
現実世界に戻ったら自分は死んでしまう。この先何が起こるかはわかっている。だけど、それでも、彼女は戻る選択をしました。理由は明快でした。
「眞人を産めるなんて幸せじゃない」
エンディングのドタバタの中で割とさらっと描かれたシーンでしたが、グッときましたね。私が一番感動した場面でした。
今またそのシーンを思い返してみて、『いま、会いにいきます』という小説を思い出しました。高校生の頃にハマった小説です。初めて何かを読んでボロボロ泣いたという記憶があります。私事ですが、その小説の影響を受けて創作活動を始めて、いくつか賞に応募したりもしました(実は作品が載った本が教室にもあるんです)。
そんな風にきっと、物語って、楽しいや嬉しいや悲しいを与えてくれるだけではなくて、僕らが生きていく為のヒントになってくれたりするんですよね。今こうやって毎日ブログを書けているのもそのおかげかも。忘れたとしても、いつまでも、何処か片隅に残ってて、なくならない。
宮﨑駿監督にとって『君たちはどう生きるか』という小説もそんな物語の一つだったのかなと思いました。
改めてこの映画は宮﨑駿監督の「物語への想い」が溢れた作品。監督が『君たちはどう生きるか』に影響されたように、きっとこの物語に影響された者たちが、また新しい素晴らしい物語を作っていくのでしょう。そしてまたそんな物語たちが、時を超えて我々に大きな問いかけと答えを探す勇気を与えてくれる。
君たちは、どう生きるか。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
良い国語の教材になりそう。
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