久保寺健彦さんの「青少年のための小説入門」を読みました。
『ハロワ!』や『みなさん、さようなら』の久保寺さんが今回挑むのは、コンビによる小説執筆です!
HPにも載っているあらすじを確認してみましょう。
小説家となった入江一真(かずま)のもとに、一枚の葉書が届く。とぎれとぎれの字で「インチキじゃなかったぜ」とだけ書かれたその手紙は、もう20年ほど会っていない「元相棒」から送られてきたものだった――。 1982年4月、中学2年だった一真は、万引きを強要された現場で、ヤンキーの登(のぼる)と出会う。登は、いじめをやめさせる代わりに、「小説の朗読をして欲しい」と、一風変わった提案を一真に持ちかける。実は登には「小説を書きたい」という野望があった。しかし、登は幼いころから自由に読み書きができなかった。そこで、一真に小説を朗読させてコンビで作家になることを目指そうとしたのだ。はじめは嫌々だった一真だが、たくさんの小説をふたりで読むうちに、「面白い小説を創る」という想いが加速していく。しかし、次々に壁がふたりの前に立ちはだかり……。 熱い友情と挫折を描く、渾身の青春物語。書き下ろし。
ディスレクシアのヤンキーと、自分に自信のない中学生が、小説という題材を通して成長していくサクセスストーリー。
本編中には、『坊っちゃん』や『羅生門』、『老人と海』や『ライ麦畑でつかまえて』、『アルジャーノンに花束を』『変身』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』など多彩な実在の名著が登場します。筒井康隆さんの本が多かった気も。僕も知らない本がいっぱいあり、それを知っていくのも楽しみの一つでした。
時系列が飛ぶ部分があり、その点だけ多少読みにくさを感じましたが、概ね中学生や高校生でも余裕で読める作品だと思います。過激な描写がちょっとだけありますが、今時のゲームの方がよっぽど過激でしょう。
僕も昔、恥ずかしながら、漫画家や小説家を目指していた時期があるんですよね。このブログにも、創作物置き場があるぐらいです。昔よく投稿とかしていて、本に載ったこともあるんですよ。はい、プチ自慢。そんな自分ですから、いろいろ思い出しながら、大変興味深く読ませていただきました。
感想は、「やっぱり小説を書くのにも勉強って大事なんだなぁ」ということです。おやおや、「また勉強につなげるのかよ」と訝しがる読者の方もいるとは思いますが、本気でそう思ったのです。
主人公の二人は、名作に触れながら、学びを深めていきます。そのプロセスって、実はとっても理想的なんじゃないかなぁ。
目的意識を持って、能動的に、面白がって、素晴らしいものに触れる。
これに勝る勉強方法ってなかなかない気がします。
そういえば、うちの塾でもよく生徒にこんなものを読ませます。
ちょっともうボロボロですが、『声に出して読みたい日本語』という本です。『風の又三郎』や『平家物語』、『初恋』や『おくのほそ道』など、日本語の名文が載っています。
小説の中でも語られていた通り、やっぱり名文と呼ばれる文章って、リズムがいいんですよね。読んでいて気持ちがいいのです。
生徒に音読させると、それを彼らも実感します。するとだんだん、文章に興味がいき、語彙が増え、知識や考えが深まり、次々とつながっていくのです。
脱線ついでに、こんな歌もありましたね。桑田佳祐さんの『声に出して歌いたい日本文学』。
今回、この小説を読んで、僕の中で読書欲がふつふつと湧いてきました。
教室に、本が増えてしまいそうな予感です。
全国の書店さんは、この本を買わせると、それを起点にどんどん本の売り上げが伸びるのではないでしょうか。
419ページありますが、割とすぐに読めてしまうと思います。読み終わったら、語りましょう。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
もちろん、目的など関係なしに、好きな本を好きなように読むというのも読書の楽しみ方の一つですよね。
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