ゆうき「あーあ、今回のテストもボロボロだったなぁ…」
しょぼんと肩を落としながらの帰り道。
中学二年生のゆうきくんは、本日返されたテストの得点が悪く、ひどく落ち込んでいました。
まぁ、自分でもこうなると予想ができた結果ではあるのですが、この答案をお母さんにも見せなきゃならないとなると、やっぱりひどく憂鬱でした。
ゆうき「はぁ…俺が天才だったら、こんなに悩んでないんだろうなぁ。いいなぁ、天才」
いかにも天才っぽくないつぶやきを浮かべながら、ゆうきくんは家の近くの公園のベンチに腰掛けました。いわゆる時間稼ぎというやつです。
ゆうき「いっそのこと、もうこのまま帰りたくないなぁ…」
そんな心にもない呟きをしたときでした。
空から落ちてきた隕石が、ゆうきくんに直撃します。
ゆうき「んご!」
・・・
吹き飛ばされたゆうきくんが目を覚ますと、そこは見たこともない部屋の中でした。
ゆうきくんは辺りを見回して、思わず驚きの声をあげます。
部屋の奥の方から、星型の奇妙な生命体が、こちらを見ていました。手元では何やら大層な機械をいじくっています。
スターマン「あ、起きた?」
ゆうき「え、あ、これ何?ここ、どこ?お前なんだ!?」
ゆうきくんはパニック状態。しかし、手足を動かそうにもベッドのようなものに括られていて動くことができません。ジタバタします。
宇宙人「危害は加えないから安心してよ。それにしても、なんだ!?とはひどいなぁ。せめて誰だ!?でしょ。せっかく願いを叶えてあげたのに」
願いというワードを聞いて、ゆうきくんは「ああ、これは夢なんだ」と錯覚します。頭はぼんやりしていますし、よくよく考えれば、目の前の奇妙な生命体は小学生の頃によく絵に描いていたキャラクターに似ています。
少し落ち着いたので、隕石にぶち当たる前のことを思い出してみました。えーっと、そうか、たしかに「帰りたくないなぁ」って言ったなぁ。その願いを叶えてくれたってことか。
ゆうき「だからって隕石当てるか?普通」
スターマン「これが君の願いを叶える一番の近道だったんだよ。申し遅れたね。僕は、スターマン。宇宙一の科学者で起業家で教育者で革命家でもある。そうそう、君にとっては僕は宇宙人ってことだね。人型じゃないんだけどね、ぷぷぷ」
ゆうきくんは無視して言いたいこと言います。
ゆうき「わかった、わかった。これが夢なのはわかった。どうでもいいから、早く家へ帰してくれ」
スターマン「それは、願い?」
ゆうき「そうだよ。心からの願い」
スターマン「わかった。でも、今度は僕の願いも叶えてもらおう。ちょうど地球における被験者を探していたところなんだ。僕の高尚なる宇宙規模の実験を手伝っておくれよ」
ヒケンシャ?コウショウ?ウチュウキボ?ジッケン?ああ、理科の実験を手伝ってってことか。まぁ、いいや。どうせ夢だし。
ゆうきくん「手伝う。ちゃんと手伝うから、帰してくれって」
スターマン「約束だよ」
ゆうきくんの身体が光に包まれて、消えました。
・・・
気が付くと、ゆうきくんは家のベッドの上に戻っていました。変な夢だったなぁと感じながら、ゆうきくんは思ったよりも記憶がはっきりしていることに驚きました。
ゆうきくん「何だったんだ、あの星野郎」
スターマン「だから、スターマンだって。これでも宇宙だと割と有名人なんだけど。人型じゃないんだけどね、ぷぷぷ」
ゆうきくん「ぎゃあ」
近隣三件に響くほどの悲鳴でしたが、幸い土曜日のお昼でみんな出払っていて、誰の耳にも届かなかったようです。
取り乱しているゆうきくんの様子を気にもせず、スターマンは続けます。
スターマン「やっぱり語彙って大事だよね。君がちゃんと僕の言っていることを理解していれば、この過酷な実験の被験者なんかにならなくて済んだのに。宇宙法ではさ、同意のない人体実験は違法になっちゃうんだよね。まぁ、今の君にこんなこと言っても、何言っているかわかんないか、ぷぷぷ」
ゆうきくん「ムカつくこと言っているのだけはわかる」
スターマン「おお、鋭い。まぁ、仲良くやっていこうよ、ゆうきBOY。これからしばらく一緒なんだからさ」
ゆうきくん「し、しばらく一緒?」
スターマン「そうそう。だって、長期的な実験になるからね。君の学力が宇宙最高レベルになるまでの。あ、安心して。一人きりの時間はちゃんとあげるから。あと、一緒に外出も大丈夫。このマントを被れば、ほら、僕は誰にも見えないでしょ」
ゆうきくん「いや、ちょい待て待て、話を勝手に進めるな。どういうことだ?」
スターマン「嫌でもそのうちわかるよ。これはね、僕の理論が正しいかどうかの実験なんだ。名付けて、STAR勉強法臨床実験」
ゆうきくん「よくわからんが、お前が話を聞かないやつだということはわかった」
ゆうきくんは夢の続きだと思っているようですが、もちろんこれは現実でした。この出会いの日から、二人?によるかつてない勉強物語が始まるのです。
スターマン「手始めに、そうだなぁ、恋バナでもする?」
ゆうきくん「誰がするか!」
スターマン「さぁ、これから夢のような日々が待っているぞ!」
ゆうきくん「悪夢だろ」
導入に時間がかかってしまいましたが、誰でもできる宇宙一簡単な最強の勉強法のお話、堂々開幕です。
つづく
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
改めて物語のスタートです。お楽しみください。
0コメント