これは読んで学ぶRPG風のお話です。
【STUDY★QUEST 過去のお話】
1 はじまりの物語
【STUDY★QUEST 前回までのあらすじ】
これは突然異世界に飛ばされた成績オール3以下の中3男子が勇者になるお話。旅の仲間は、勉強の精霊スターマンと大賢者モンテスキューと美少女シンシア。 この世界では【勉強力】と呼ばれる力が戦いを左右する。前回、勉強力を上げる3つの修行へ身を投じた主人公。はたして勇者の勉強力は上がるのか!?そして、この謎多き世界を救うことができるのか!?
STUDY ★ QUEST
第4話「魔王城」
雷鳴轟く暗黒の世界。
そこに厳然とそびえ立つ黒い城。魔王城だ。
「最近調子に乗っているというのは奴らか」
勇者一行が映る水晶玉を覗き込みながら、魔王が低い声で呟く。
その声は暗い闇に包まれた魔王城に静かに響く。
「さようでございます。魔王様が恐れるには足らないと思いますが…」
魔王の側近の地国婆が呟く。ちなみに水晶玉は彼女の持ち物だ。
圧倒的な文字数と記述問題、漢字や文法で相手を惑わせる魔王軍最年長の強者である。
「スターマンと大賢者がパーティーを組むとは意外じゃな」
闇の中から声。魔族四天王と呼ばれる内の一人、大魔導師スウガックだ。
数多の公式を司り、計算呪文を駆使して敵を苦しめる老獪である。
「ふふん。予言の勇者様なんて馬鹿みたい。どうせ人間どもの空想よね」
四天王の紅一点、暗黒女王リカちゃんが鼻で笑う。
物理・化学・生物・地学の4つのパワーを操り魔王軍最強の呼び声も高い彼女はとっても気分屋だ。
「いかがされますか、魔王様。目障りなので私が片付けてまいりましょうか?」
四天王一のイケメンとも噂される闇の騎士エイゴリアンが魔王に伺いを立てる。
高速リスニングと英単語の舞、文法と長文の突きで相手を一蹴する彼は、少しせっかちで一番が好き。
「俺が行ってもいいっすよ。あ、でもやっぱ面倒臭いかも」
四天王最後の一人、改造人間シャカイダーがとぼけた口調でおどける。
地理・歴史・公民と呼ばれる3つの形態を備え、他の四天王とのコラボ必殺技も持つという怪人だ。
数秒の沈黙の後、魔王が口を開く。
「現時点で焦って動く必要はなかろう。今はそれよりも新世界の民の動向が心配だ」
地国婆が「そうでございますね」とすぐさま相槌を打つ。
闇の中からも再び声。闇の騎士エイゴリアンだ。
「確かに。それに、このレベルであれば勝手にモンスター共に駆逐されるでしょうな」
何人かの笑い声。大魔導師スウガックが付け加える。
「私の方で監視は怠りませんのでご安心を。魔王様は新世界の民の動きにご注意下さいませ」
そこで三度魔王。
「かまわん。監視する価値もないわ。奴らが束になったところで我々に勝てる要素などない」
魔王が溜めを作る。飛び出したのは驚愕のセリフであった。
「私の勉強力は53万だからな」誰かに似ている。
兎も角、こうして勇者たちから魔王軍の目は逸れることとなった。
これが後に、魔王軍を驚愕の事態に陥らせるに至る大きなミスとなることを、
もちろん、この時点では誰も知らない。
つづく
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
公立高校受験で生徒たちが戦う相手が彼らです。
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