時は2018年度の終わり。今年も、この季節がやってきた。各高校同士が本気で闘う天下分け目の大決戦。
今年も湘南が誇る最強の猛者たちが、ここ「天下一高校会場」に集結した。藤沢地域、茅ヶ崎地域、鎌倉地域の超人気高校たちが、己の誇りと威信をかけて、闘う。会場は既にかつてない熱気に包まれている。
はたして今年は、どんな闘いが繰り広げられるのか。おおっと、早速選手たちが入場する模様だ。
暗闇の中で、司会兼審判のサングラスの男が叫ぶ。
「それでは、選手の入場です!!!!」
天下一高校会 選手入場
その声と一斉に点いたスポットライトの光を皮切りに、歓声と拍手と大音量の音楽が流れ、ゲートから次々と選手たちが入場する。各々が出てくるタイミングに合わせて、紹介のキャッチフレーズが響き渡る。ついでに、解説の勉強犬の補足も。
1920年開校「県最強の呼び声高し!」湘南高校ぉぉぉぉお!
ご存知県立偏差値トップとの呼び声も高い湘南地域の王者です。今年は連覇もかかっています。浪人生も多いのですが、期待大です。もうすぐ100周年。
1928年開校「江ノ電の支配者」鎌倉高校ぉぉぉぉお!
江ノ電の鎌倉高校前駅を根城にする血気盛んな武闘派集団。もうすぐ創立90周年。詳しくはこちらでも説明しています。今年はクラスも増やし万全の態勢で天下一高校会に臨みます!
1963年開校「星を駆ける北の帝王」茅ヶ崎北陵高校ぉぉぉぉお!
実は少し地味な場所にあるのですが、その実力は折り紙付き。宇宙飛行士の野口さんの出身校でもあり、宇宙へ向かった際は北陵の応援期もともに旅立ちました。安定感溢れる強者です。ちなみに野球部は29年度の茅ヶ崎寒川地区交流戦で優勝しています。
「続いて、人気5大中堅校SOFTSの面々の入場です!!!!」
1976年開校「海近爆裂ボーイズ&ガールズ」七里ガ浜高校ぉぉぉぉお!
日本一海に近い高校で、そのロケーションは神奈川最高、いや日本最高とも言われています。ロッカーをきちんと使えないと汚くなりがちですが、明るいノリとテンション高めでてっぺんを狙います!
1983年開校「山の神」大船高校ぉぉぉぉお!
大きな坂を昇ったその先にある霊峰富士も望める高みで勉学に励む実力者です。スマホには厳しいですが、真面目さと安定感がウリです。行事も多いです。演劇部の演劇すごくよかった。
1974年開校「嵐を巻き起こす風雲児」藤沢西高校ぉぉぉぉお!
新校舎が人気の元気あふれる強豪校。部活動も盛んで元気の良いイメージです。かるた部など文化部も強い。西高百人一首は休止中。応援歌の「西高健児」はあんまり歌われない。
1975年開校「世界を知る空の王者」鶴嶺高校ぉぉぉぉお!
国際教育研究推進校にも指定された国際交流に力を入れている強者。留学生の受け入れも行っています。ちなみに校章の「ツ」は3羽の鶴を表しており、生徒・教職員・保護者三位一体の姿と、知・徳・体を追求したものだそうです。
1985年開校「美しき旋律を奏でる真面目な隊長」湘南台高校ぉぉぉぉお!
創立30周年記念キャラクター「ショーナちゃん」が率いる精鋭部隊。日本トップクラスのマーチングが有名です。真面目でしっかり、校則も厳しいイメージから、今年は倍率を落とす一面も。湘南台駅前の発展とともに、トップを目指します!
「さらに続々と個性豊かな強者達が入場してまいります!!!!」
1948年開校「真夜中の魔法使い」茅ヶ崎高校ぉぉぉぉお!
日本に二校とも言われる「ナイトハイク」という技の使い手。自由でのんびりとした校風だが、特殊部隊員「ランサーズ」は圧倒的な実力を誇る。インクルーシブ教育にも力を入れている懐の大きい強豪です。
1986年開校「新進気鋭のダブルフェイス」深沢高校ぉぉぉぉお!
鎌倉市と藤沢市の二大ブランドを敷地に持つ誇り高き若手のエース。FUKASAWA PRIDEを掲げ、社会に活きる学力の育成を目指しています。HPも刷新。校章、私個人的に好きです。
2009年開校「I'm a PERFECT MAKER」藤沢清流高校ぉぉぉぉお!
藤沢高校と大清水高校が一致団結してできた単位制の人気者。男女ともにサッカー部が強い印象があります。湘南地域唯一の横文字学園祭「Festa清流」は楽しかった。3つの「つくる」を大切にしています。
2004年開校「自由の名のもとに」藤沢総合高校ぉぉぉぉお!
藤沢北高校と長後高校が手を組んで結成された湘南地域初の総合高校。100以上の専門学科を持ち、技のレパートリーは豊富です。ドリームサポーターの異名を持ち、幅広い人材育成を展開しています。
1980年開校「海際の巨人」茅ヶ崎西浜高校ぉぉぉぉお!
134号線沿い、海の目の前に位置し、県内最大級のマンモス校でもあります。若葉と太陽とペンをモチーフにした校章を身にまとい、強く明るく躍動します。映画研究会が休部中らしい。
1978年開校「神々が眠る場所からこんにちは」寒川高校ぉぉぉぉお!
新制服も整い新時代の幕開けを期待させるコミュニケーション豊かな古豪。近くには寒川神社もあり神のご加護も万全です。東方に陽が昇るように、新時代の覇者を狙います!
2003年開校「巨匠」藤沢工科高校ぉぉぉぉお!
大船工業技術高等学校と藤沢工業高等学校がタッグを組み、県下初の総合技術高校として開校したものづくり王国。その名の通り、ライントレーサー部やメカトロニクス部など特殊部隊が活躍中です。使われていないエレベータスペースが謎を呼ぶ。
「今宵…以上の超人気校15校によって、天下一高校会の覇権が争われます!!!!!」
音楽がピタリと止む。暗転。
天下一高校会 ルール説明
「天下一高校会のルールは簡単。強さを判断するのは、ただ単純に数字。そう、受検者数の数字です。倍率などの不安定な要素を排除するため、志願変更前の状態の一回目の受検者数で競っていただきます」
各地に設置してある大型オーロラビジョンに「2017年度の激闘を振り返る」の文字が光る。暗闇の中で巻き起こる歓声。
天下一高校会 昨年度を振り返る
「さぁ、2018年度の闘いが、間もなく始まる模様です。その前に、昨年度の激闘を振り返ってみましょう。それでは、ちょっと早速時間も押しているので、さくっと昨年2017年度の大会の模様を振り返ってみます」
観客の目がビジョンに集中する。3位までの高校名と受検者数が映し出される。
「2017年度の優勝は、湘南高校の525名でした。惜しくも2位は大船高校。それでも圧巻の512名を集めています。3位は七里ガ浜高校で、510名。惜しかったですね。昨年度も超激戦でした。解説の勉強犬さん、今年度はどう見ますか?」
「そうですね、今年はまだわかりません」
「当たり前のコメント、ありがとうございます。それでは、お待たせ致しました!今年度の順位の発表です!!!!!はたしてどこが最も多く受検者数を集めたのか!!!!」
天下一高校会 2018 ここに開幕!
空気をギュッと押し固めるかのような緊張感が走る。そこを閃光のように、声が裂く。
「まずは第5位の発表です!!!!」
「おおー」とざわつく会場。ドラムロールが始まる。リングの面々と観客たちの目がビジョンに集まる。ジャンの音とともに、表示された「第5位」の文字。
「第5位は、428名の受検者数を集めました…」
「おおー」と再び沸き立つ会場。例年と比べても悪くない数字だ。存分に溜めてから司会者が叫ぶように言い放つ。
「【真夜中の魔法使い】茅ヶ崎高校です!」
まるでうねる波のように巻き起こる大歓声。サザンオールスターズの名曲「茅ヶ崎に背を向けて」が流れ、その後校歌の大合唱が始まる。ひとしきりやって落ちついた頃、司会者が言葉を紡ぐ。
「自由な校風で人気の茅ヶ崎高校が5位にランクインしました。おめでとうございます。それでは続いてまいりましょう。第4位の発表です!!!!」
再びビジョンに集中するすべての目。さっきよりも長く感じるドラムロール。
「第4位は…445名を集めました、【Festa開催王】藤沢清流高校です!!!!」
悲鳴にも似た歓声が会場を揺るがす。「どうでもいいけどさっきとキャッチフレーズ違わね?」と勉強犬がつぶやくが誰にも聞こえない。
「受検者数を一気に伸ばした清流高校。単位制という魅力と、浪人生含めですが国公立大学への素晴らしい進学実績が響いた結果でしょうか。おめでとうございます。続いて、ベスト3の発表です。第3位は天下一高校会運営理事会会長のミスター・サタン氏から発表されます。サタンさん、お願いします」
「うぉっほん。任せたまえ。えーと、つる…第3位は、461名を集めた…鶴嶺高校だ!おめでとう!」
耳をつんざく大歓声。「ちょっと言っちゃってたし」と勉強犬は突っ込むがもちろん誰も聞いていない。
「第3位は鶴嶺高校。国際色豊かでのんびりとした校風が自慢の大規模校です。おめでとうございます。さぁ、続いて第2位の発表です。天下一高校会、栄光の第2位は…」
永遠かと思うようなドラムロール。今年度の2位ははたして。昨年2位の大船高校か。それとも他校が巻き返すか。ドラムロールが、終わる。
「出ました。第2位は、昨年のリベンジ成功、【海近爆裂ボーイズ&ガールズ】七里ガ浜高校です!圧倒的な526名の受検者を集めました!」
地響き。
「第2位の七里ガ浜高校は、昨年度は惜しくも3位。1ランクアップです。素晴らしい成果ですね、おめでとうございます。さぁ、そして…」
しん、と静まり返った会場。そうだ、誰もが王者の発表を待っているのだ。司会者が丁寧にしかし確かなる熱を持って言葉を続ける。
「第1位、すなわち天下一の高校を発表します!!!!!!!」
爆発にも似た歓声が広がる。各校の応援団が自身の高校の名前を叫ぶ。そんな音々を制圧するように司会者が厳かな空気をまとって想いを言葉へと変える。
「優勝は、597名を集めました…」
ごくり、と誰もがつばを飲む。
「湘南高校です!!!!!!!!!」
ビッグバン。
「優勝は湘南高校です!湘南高校が、神奈川最強をその手で証明してみせました!まさに異次元の強さ!湘南高校さん!本当におめでとうございます!」
今年も響いた湘南高校の校歌。みんなで合唱し、健闘を称え合う。涙する者も、笑う者も、肩を組み歌う者もいる。激闘を終え、みんな一つになっているのだ。
本来は、高校に優劣などない。上も下も、良い悪いもない。それは、受験する生徒や通っている生徒たちが決めるのだ。選ばれる高校になるために、各高校は日々日々努力している。
すべては、生徒のために。
勉強犬がポツリと呟く。「でも、これってさ、発表するだけなら別に一つの会場に集まらなくても良かったんじゃね?」もちろん、誰も聞いていないのだが。
「次回は、湘南地域を飛び出て、神奈川全域を対象とした、真・天下一高校会でお会いしましょう!」
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
長々とお付き合いありがとうございました。
0コメント