「どうせ無理」が僕の口癖だった。
将来の夢は、パイロット。目が悪いからどうせ無理。
志望校は藤沢西高校。内申点が足りてないからどうせ無理。
学校のテスト。先生に嫌われてるからどうせ無理。
オンパレードだった。
友だちの紹介で、通い始めた塾。
授業中も「どうせ無理」の連発で、隣りに居る先生を困らせた。
何秒か無言になった先生は、「ちょっとここ読んでてね」と言って、
立ち上がって、どこかへ行ってしまった。
帰ってきた時、先生は、
「パイロットの資格についての資料」と「藤沢西高校の内申基準」と、
「うちの中学校の過去問」を持っていた。
「パイロットでも眼鏡やコンタクトを認めている所もあるみたいだぞ」
「藤沢西高校だと重点配点があるぞ」
「去年のこの問題だったら、ほら、できるじゃん。今年も大丈夫。
あと、人間はこっちが嫌いになると向こうも嫌いになるから、
そういう所から注意していこう。さぁ、やろう!」
先生は、次々と僕が無理じゃない理由を披露していった。
「いいか。考えてごらん」いつか先生は言った。
「宇宙へ行きたい!」って思った人が、
「どうせ無理」って研究や仕事をしなかったら、
人類は月へも辿り着かなかったかもしれない。
夢や目標、やりたいって思ったことは大事にしなくちゃ。
どうせ無理、でもいいじゃない。チャレンジする事が、まずは大事。
それにね、
僕は君なら出来るって信じてるよ。
「どうせ無理」が僕の口癖だった。
変わることはないって思ってた自分。でも変わった。
志望校に合格して、今はパイロット養成学校へ通ってる。
大変だけど、辛くて厳しいこともあるけど、
どうせ無理、なんてことはないって、
僕は先生に教えてもらったから。
僕らは月へも行けるんだから。
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