「先生、学校の先生とお母さんとで教え方が違うんだけど、どうしたらいい?」
小学生でありがちなお話ですよね。算数に多いイメージです。
同じ単元の同じ問題でも、学校の先生はAという教え方をし、お家ではBという教え方をする。もしかしたら、塾でCという教え方をする場合もあるかもしれませんね。
「あ、これは別の教え方だ」とわかる生徒にとっては、それはそんなに大きな問題ではありません。むしろ様々な捉え方が学べて、より深い知識となるでしょう。知識が積み重なっていきます。
問題は、各々の理解が不十分のままの生徒です。下手すると「全部が別のお話」と捉えて、同じ単元なのに知識が積み重なっていきません。
同じ問題に対して、違う教え方をされるというのは、喩えるなら、「毎回乗り場が変わるバス乗り場」です。
「急に何を言いだしたの?」と思ったあなた、むしろ正解の反応です。少し説明をさせてください。
毎回乗り場が変わるバス乗り場があったら…
バスに乗らない方は電車でもタクシーでもいいです。
イメージしてみてください。「毎回乗り場が変わるバス乗り場」。
どこかへ行こうという時に、けっこう困りませんか?どこに並んでいいかもわからないのです。置いていかれることも日常茶飯事。
余裕があれば一本見送ったり地図や今日のバス乗り場を調べるアプリや駅員さんに連絡を取りながら対応ができそうですが、慣れていない人や朝の通勤ラッシュなど緊急な時は混乱の元ですよね。
混乱に巻き込まれる人にとってみたら「毎回乗り場が変わるバス乗り場」は、バス嫌いの原因にもなり得ます。
人間よくわからないものは嫌いになりやすいですからね。
また、「毎回乗り場が違うから乗り遅れるのも仕方ない」なんて他責の言い訳にも使いやすいですから、その後のトラブルや失敗にもつながりやすいです。
あえて絞り出すメリットは、「慣れたら対応力がつく」ぐらいでしょうか。
時間や決まりごとに細かい日本人ですから、すぐにクレームも飛んできそうです。運営側にとってもいいことはあんまりなさそうですよね。
「毎回乗り場が変わるバス乗り場」のイメージがつきましたか?
教え方が違う際の対処法
それでは、「毎回乗り場が変わるバス乗り場」の例から、先生やご家庭とで教え方が違う場合の対処法を学びましょう。
実はここでは思った以上に素早い対処が必要です。
なぜなら、上記のバスの例同様、「わからないのは(自分の責任じゃなくて)教え方が悪い(教え方がバラバラだ)から仕方がない」と他責を持ち出しやすいので、やらない理由が正当化されたように見え、やらないからわからない部分が増え、その後の算数嫌いの起源になりやすいからです。
算数・数学は積み重ね科目ですから、前の内容がわかっていないと次の内容もできないことが多いんですよね。
そうならないためにも、「ん?なんか言っていることが違う」と本人や保護者の方が気付いたら、早め早めの対応を心掛けましょう。
今回は予防策も含めてお伝えしていきます。
対処法1:頼れる大人に頼る
学校とご家庭、もしくは学校と塾で教え方が違い、それで子どもが混乱している状況を見つけたら、すぐに学校の先生や塾の先生にその旨を伝えましょう。
もちろん各々の先生方でその混乱に気付く場合もありますが、念には念を、というやつです。
それを聞いた腕に自信のある先生方でしたら、どちらの教え方も踏まえた上で、教え方が複数ある理由を説明し、本人に合った教え方で再度頭の中の解法の塗り直しをしてくれることでしょう。
さらに素晴らしい先生であれば、今回の混乱について説明しがてら、それを算数の力だけではなく、国語力やモノの見方の力まで伸ばすトレーニングの材料として、有効的に活用してくれることでしょう。
「毎回乗り場が変わるバス乗り場」の場合も、その仕組みが続いていけばいずれ、バスマスターのような人や便利なアプリが現れて、新しいアイディアや考え方を人々に授けてくれるはずです。それを受け取る権利は誰にでもあって、知っているか知らないかで日々の暮らしが変わってきます。
頼れるものに頼る。まずは手っ取り早い対応策のご紹介でした。
対処法2:教え方を合わせる
でも、「そもそも塾に通っていない」「信頼できる先生も学校にいない」という場合もあります。
教え方を合わせる必要があります。子どもの頭の中に「決まったバス乗り場」を作ってあげる必要があります。
じゃあ、家庭と学校、どちらの教え方を「決まったバス乗り場」にするのか。
それは、保護者のかけられる時間によるでしょう。しっかり説明ができ、今後も指導が続けられるということであれば、ご家庭での教え方を優先すべきかと思います。
でも、時間がない。今後の継続的な指導もいろいろな理由でできなそう。それならば仕方ありません。ご家庭で勉強を教えている方が、柔軟に学校へと教え方を寄せにいきましょう。
「どっちの教え方がいい」ということではなくて、まずは子供の頭の中に「決まったバス乗り場」を作ってあげることが優先です。
「学校でどう教えているかわからない」という場合は、お気軽に学校へ電話をしてみましょう。「家でもサポートしてあげたいので、教え方を教えて欲しい」と言われて、嫌な顔をする先生はいないはずです。
「いや、でもどうしても学校の教え方が納得できない。でも、自分も今後教えられなくなるかも」という場合は、早急に信頼できる大人探しをすることをオススメします。
対処法3:余裕を持つ
最後の対処法です。これは、予防の策になります。
毎回乗り場が違うバス乗り場同様、教え方が違う件も、前述の通り、まずは余裕を持って日々の勉強に取り組んでおくことが、そこで混乱しないための一番の対処法になります。
余裕があれば、まるで地図を見るみたいに、俯瞰で物事を見ることができますからね。この俯瞰で物事を見るというのは、勉強だけでなくお仕事でも大切なことです。
さらに余裕があれば、混乱しそうになった際の説明にも物理的に時間がかけられます。理解するまで何度も何度も指導が可能ということです。
そこでいくら説明しても理解が深まらない場合、その原因はもっと前のそこに必要な知識の理解不足にあります。さかのぼりが必要です。
余裕があれば、元々時間のかかるさかのぼりにも時間が割けます。さかのぼって、原因を発見して、その部分の問題演習を繰り返して、理解を確かなものとし、積み重ねの土台を作る。
ただ、散々「余裕が大事!」とお伝えしていますが、これは何も闇雲にガンガン予習をしてください、ということではありません。
子ども一人ひとりで適切なペースというのは違います。
理解を深めながら、そこそこの余裕を持てるペースを、保護者の方が一緒になって見つけてあげると勉強はスムーズになると思います。
どうか、自分に合ったバス停の探し方が見つかりますように。
まとめ
人生において、「毎回乗り場が変わるバス乗り場」のような困難に出会うこと自体は、とっても大事なことです。
困難は人を成長させます。特に、できるかどうかギリギリの困難が、最も人を成長させてくれます。
「先生、学校の先生とお母さんとで教え方が違うんだけど、どうしたらいい?」
そう、ここがそのちょうどいい困難です。どうかこの機会が、子どもたちにとって算数嫌いのポイントではなく、「おお、色んな見方があるって面白いな」って思える出発点になりますように。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
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