「神奈川県の入試問題って、どんな感じですか?」
本日は、保護者面談でそう訊かれたときに僕がどんな風に答えるかをまとめた記事になります。
子どもたちが相対する入試の問題がどんなものなのか、保護者の方もある程度知っておいた方がいいかとも思います。本日はその「ある程度」を目指して書いていきます。
それでは早速参りましょう。
神奈川県公立高校入試問題の基本事項
改めて、本日は公立高校受検における「学力検査」の問題についてのお話です。
では、まず学力検査についての基本事項を箇条書きで記しておきます。
- 英数国理社5教科100点満点の問題
- 50分で解く
- 文字数が多い
- マークシート式がほとんど(記述は減っている)
- 神奈川県教育委員会としては平均点を50点ぐらいにしたいそう
以前は「日本で二番目に簡単」と言われていた神奈川県の入試問題ですが、文字数も増え、問題傾向も変わり、今では全国の中でも「難問」「良問」の声が飛び交います。
後でピックアップしてお見せしますが、ちょっと入試問題見てみたいなという方は県教委のHPでご確認を。特に理科や社会はその文字数が持つ圧力にビックリなさってください。
さてさて、ではその中身を詳しく見ていきましょう。ポイントは3点。
■教科間の格差
■問われる力〜単純な暗記ではもう無理〜
■対策
です。題材は平成30年度の入試問題です。
平均点でわかる教科間格差
まずは平成30年度の各教科の平均点を御覧下さい。
前述の通り、県教委としては、各教科の平均点は50点位を目指しているということですが、理科は毎年50点を大きく割っています。逆に国語は毎年余裕で50点台を超えています。
そう、神奈川県の入試は各教科に点数の格差があるのです。これから見ていただく各教科の一問ごとの正答率からもそれが読み取れます。
まずは比較的点数が取りやすい「英語」「数学」「国語」の3教科について説明をしていきますね。『入試当日の時間割』でも詳しく説明していますが、入試当日テストの順番もこの通りです。
右側に★印がついているのが正答率が高めの狙い目問題です。「社会」や「理科」と比べる際に使うので、各々の大体の数をなんとなくでも覚えておいてください。
一科目ずつ簡単に説明を加えておきます。
入試の日に一番最初に実施されるのは「英語」です。唯一リスニング問題もあります。リスニングは問1ですから、初っ端の初っ端ということで、ここで「やばい…」となるとその後の教科にも影響が出がちです。対策をして、落ち着いて臨めるようにしましょう。
また、偏差値上位層においては、「英語」は得点源となりやすい科目なので、高得点が取れるよう単語・文法・長文対策をみっちり行いましょう。
次の「国語」は問1漢字と文法と韻文、問2古文、問3文学的文章、問4説明的文章、問5情報整理とある程度毎年形が決まっており、対策もしやすいです。生徒たちがあんまり慣れていない古文も、高校古文とは違い割と現代文の感覚で対策ができますので、『古文対策法』などを読みながら、問題演習を繰り返すようにしてください。
5教科の中で最も平均点が高い国語は、誰もが得点源にしたいところ。また、後述しますが、文字数が多い神奈川県の入試では「国語力」はキーとなります。
「数学」も形式が決まっており、レベル別で対策する問題が準備段階でわかるので、偏差値上位層以外は、ある程度の点数が計算できる教科です。逆に上位層は、正答率10%を切る問題にどう向き合うかがポイントとなります。
まずは下記の表にもある通り、計算から固めて、徐々にできる範囲を増やしていきましょう。
続いて、社会と理科についてです。★の数の差にご注目ください。
「あれ?どこ行ったんだ?星」という感じですよね。
特に2018年度話題となった「社会」の難化は、正答率で見ても明らかです。例年平均点のワーストトップを飾っていた「理科」との「対策が難しいコンビ」は、おそらく今年も同程度以上の難易度で受検生たちを苦しめることでしょう。
では、そんな「理科」や「社会」は一体何が難しいのか、実際の問題を見ながら確認してみましょう。
神奈川県入試で問われる力〜単純な暗記ではもう無理〜
まずは2018年度「理科」の問1(ア)を御覧下さい。
これを見た多くの方が思うことでしょう。
「おい、問1の頭っから文章長いしよくわからんな」
この問題、シンプルに言えば実は「同じ高さの音のものを選びなさい(解答は2)」というものなのですが、さすが【難問の王者】「理科」、そう簡単には訊いてきてくれません。
生半可な対策をしていた生徒は、その文字数と「オシロスコープ」の時点で、「うわ、これわかんねぇ」と考えることを諦めてしまうことでしょう。
そう、まず神奈川県入試ではこれを読み取り、適切な答えを返す力が求められているのです。そして、「うわっ」と思った文を読んで考えるのを面倒臭がらずに立ち向かう「心の強さ」も。
前者の「相手の求めているものを読み取り返す力」を、このブログでは『国語力』と定義しています。
さっきも「国語」の話の際に触れましたが、こういった意味で「国語力」が重要なのです。正直、読めないと全然解けません。
後者の、難問っぽい敵や難問に対峙した時、その圧力に負けずに読む「心の力」も大切です。これは練習段階で難問っぽい問題もしくは難問に打ち勝つ成功体験を積んで育てていかねばなりません。
「理科」「社会」と戦う上で、この2つの力はデフォルトで必要です。さらに、必要なのはこれだけではありません。
その昔、「理科」や「社会」は暗記科目として、「暗記すればいい点取れるでしょ」なんていう風に言われてきました。
でも、そんな時代はもうとっくに終わりました。
これからの「理科」「社会」、いや、すべての科目は、「未来で使えること」を前提に各々の力を問われるようになるでしょう。
そこで問われる力は「活用力」や「思考力・判断力・表現力」とも呼ばれています。なんだか◯◯力ばっかりですが、要は単なる「暗記勝負」ではなく、「知識があるのは当たり前。それをどう使うか」勝負になってきているということです。
これら「国語力」や「心の力」や「活用力」を、ここでは便宜上まとめて「パンプキン力」と呼ぶことにしましょう。10月ですし、インパクトがあります。はい、怒らないでください。あくまで便宜上です。
で、ではではちょっとまた問題を見てみましょう。
怒りに震えている読者の皆様、ぜひ以下の社会の問5の(イ)を解きながら心を落ち着かせてください。
問5の(イ)は、(あ)と(い)両問正答で得点となる問題です。ちなみに、正答率は27.7%。消費税という身近な税金についての問題なのですが、正答率は低めです。
(い)は知識問題ですね。正解は、間接税。ただ、【難問のデパート】「社会」は、もちろんこれだけでは正解にしてくれません。そう、ただの知識だけではなく、「パンプキン力」が問われるんでしたね。
待ち受けるは(あ)です。各々もちろん消費税についてはなんとなく知っているはずです。でもここで間違えてしまうのは、選択肢の文が難解だからでしょう。試されてるぜ、「パンプキン力」!
これ答えはCなのですが、おそらく間違えた人はAと答えた人が多かったのではないでしょうか。「価格に占める税額の割合」の意味がうまく汲み取れなかったということですね。
知識だけでなくこういった「パンプキン力」を問う問題が随所にあるのが、神奈川県入試問題の特徴なのです。そりゃ難しいわ、ということです。
では、どういった対策が必要になるのでしょうか。
神奈川県入試の対策
もうこの時点で文字数も文字数です。
細かい各教科の中身についての対策は稿を改めるとして、ここではすべての教科に共通する対策方法について述べていきたいと思います。あくまで保護者の方用ですからね。
まとめにまとめて、最後に2つだけお伝えさせてください。まず1つ目!
①説明できるようにする
暗記じゃ太刀打ちできない問題に対抗するには、「知識」をただの「知識」にしておくのではなくて、人に説明できるぐらい「使える知識」にしておくことです。
「知識」を「使える知識」にするには、アウトプットが大事です。アウトプットとは、人に説明したり問題を解いたりすることです。スポーツで言えば、基礎練じゃなくて練習試合ってことです。
お家で勉強を助けてあげる場合は、ぜひぜひ「え、◯◯って何?」みたいな感じで子どもに質問をして、わからないようなら説明してあげたり一緒に調べたりするというのをやってみてください。あくまでフランクな感じでやるのがオススメです。
さ、最後にもう一つ!
②予期せぬ事は起こると肝に銘じておく
最後の最後にとっても大切なことを。
ここまで入試について偉そうに語ってまいりましたが、そんな僕でもきっと予期せぬことが入試では起こります。
急にリスニングが早くなったり、国語や数学の問題形式が変わったり、準備しているのと違う問題が出たり。そんな予期せぬ事はきっと起こります。
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