これは、上述もした通り、
易化
おいおい、どうしちゃったんだよ理科、と制作者の体調を心配しかけるぐらいやさしくなりました。平均点は間違いなく上がるでしょう。
相変わらず文字数は多いですが、知識だけで解ける問題が目立ちました。数学とバランス取ったのかな、と思うぐらい、先日分析した数学との計算の面倒臭さに違いがありましたね。
配点
問1 各3点 計9点
問2 各3点 計9点
問3 各3点 計9点
問4 各3点 計9点
問5 各4点 計16点
問6 各4点 計16点
問7 各4点 計16点
問8 各4点 計16点
例年通り、問1が物理の小問集合、問2が化学、問3が生物、問4が地学。そして、問5が物理の大問、問6が化学、問7が生物、問8が地学となりました。
それでは中身を確認していきましょう。各単元がいつ学ぶ分野なのかは、下記の学習系統図を使って確認できます。
大問ごとの考察
問1 物理小問集合
問1は物理分野の小問集合です。大まかに言えば、1年生が、光・音・力。2年生が、電気。3年生が、エネルギーという単元を学びます。
(ア)は、エネルギーの問題。電球って、電気を光に変えているんだよね。白熱電球が熱くなるの、生徒たちの世代の子はみんな体感したことあるのかな。
(イ)は、光の進み方の問題。光がガラスや水の中に入る時の屈折の仕方の理解が問われています。入射角と屈折角の大きさがどうなるのか、悩む方は、教科書に例もあるので確認してみましょう。
(ウ)ポンポンと来た子も、ここで一瞬立ち止まりますかね。オームの法則や直列・並列の知識を活用する問題です。同じだという電池の電圧や抵抗器の抵抗に、計算しやすい数字を使って、電流の量について解くと、何倍かがはっきりします。
昨年の問1と比べると、捻りもなくやっぱり楽チンな印象。先へ参りましょう。
問2 化学小問集合
問2は、化学の小問集合。化学分野は、1年次に身の回りの物質(ガスバーナーなど)、2年次に化学反応式、3年次にイオンなどを扱うことが多いです。
(ア)は、ガスバーナーの使い方。捻りも何もありません。知っているかどうかでしょう。むしろ「なんかひっかけが?」と何回か読んでしまいました。実際に実験で使ったことがある人は身体で覚えている記憶「手続き記憶」になっているので楽勝だったのでは。
(イ)は、質量保存の法則の問題。これもシンプル。「なんだそりゃ」という方は、化学変化の基本ルールですのでチェックを。
(ウ)は少し面倒くさいかな。中和の実験から、正しい記述を選ぶ問題です。2と6で迷った人が多い?2は、水溶液中ではClとNaが結びつかないのでほぼ同じ数にはならないということでしょうか。わかりやすいように「合格請負人」Mrサークル先生が図を書いてくれました。
問3 生物小問集合
問3は、生物の小問集合。生物分野は、1年生で植物、2年生で動物、3年生で遺伝や自然界のつながりについて学ぶことが多いです。
(ア)は、顕微鏡の操作手順。これも問2のガスバーナー同様、手続き記憶で覚えている方は楽勝かな。やっぱり体験してみるって大事なんですね。
(イ)は、自然界のつながりの問題。俗に言う食物連鎖についてですね。シンプルなピラミッドなので、ここは落としたくないところ。「僕はワニとウサギと草で想像しました」という生徒がいて、「なぜワニ!?」と思いましたが、話を聞いたら理解していたので安心しました。
(ウ)は、植物の仲間わけの問題。下記のプリントをみていた生徒は余裕のよっちゃん(古い)でした。
問4 地学小問集合
問4は、地学の小問集合。1年で、大地火山地震。2年で、天気。3年で、天体を学ぶことが多いのがこの地学分野です。
(ア)は、火山のマグマの問題。伝説の講師である勉強爺にレクチャーいただきましょう。
(イ)は、空気の重さのお話。温かい空気が軽くて、冷たい空気が重いんですよね。おかげで、吹き抜けがある家の一階はなかなか暖房が効きません。
(ウ)は、地震の計算。シンプルだからこそ、どうやって求めるか迷った人が多そうです。ちょっと解き方の例を見てみましょう。
問5 物理大問
問5は物理の大問。一年物理の浮力がテーマでしたね。
(ア)は、水圧の仕組みの問題。浮力は深さによって変わりませんが、水圧は深ければ深いほど強くなります。そのミスリードを狙った問題ですかね。よって、6が正解。藤沢市で採択している大日本図書の一年生の理科の教科書には189ページに同じような図が載っています。
(イ)は、浮力の求め方の問題。浮力(N)=物体に働く重力(N)ー水中に入れた時のばねばかりの値(N)ですからね。シンプル。
(ウ)は密度を求める問題。密度は質量を体積で割ることで求められますから、質量(aのとき)を、体積(浮力と一緒)で割って計算すれば答えがわかります。
(エ)は、「水に浮いて静止=重力と浮力がつり合った」ということがわかれば答えは出るでしょう。ただ、記述だったので苦労した方も多いのではないでしょうか。
問6 化学大問
問6は、化学の大問。化学反応についての出題でした。文中の条件を整理した上で問題に臨むとスムーズです。
上記から、②の段階ではまだ化合していないので、(ア)は塩酸と鉄の反応で水素が発生したことになります。
(イ)は、硫化水素の性質について。ちなみに、選択肢2は水素、3は酸素(ものを燃やすのを助ける)、4は塩素、の性質を表しています。
(ウ)は、モデルの問題。FeとSがくっついてFeSになるわけですからね。フェスじゃありませんよ。
(エ)に参りましょう。xは、3.5 : 2 = 7 : x で求められますね。暗算でも楽チン。Yはグラフに注目。aでピッタリなのだから、bとcのときは硫黄が多くて、dとeのときは鉄粉が多いことがわかります。磁石に引きつけられるのはどっちかというお話。
問7 生物大問
問7は生物の大問。テーマはだ液の働きでした。
(ア)は、消化酵素と各器官についての知識問題。ペプシンは胃液、トリプシンとリパーゼはすい液に含まれています。また、口では炭水化物を、胃ではタンパク質を分解し、小腸で栄養を吸収、大腸で水分を吸収する仕組みになっています。
(イ)は対照実験。情報を整理するとこんな感じ。ヨウ素液はデンプンに反応し、ベネジクト液は糖に反応して色を変えます。
(ウ)は、Kさんの記録に適するものを選ぶ問題。選択肢1は、7分後かもしれないから違う。2は、6分後にも○がついているからダメ。3は、デンプンが増えることはないのでNG。場所をとっている割には簡単でしたね。
(エ)上記の「場所取り」はここへの伏線でしたね。だ液の量を変えてわかることはどれかという問題。この実験では、時間については調査ができますが、糖の量まではわかりません。
問8 地学大問
ラストの問8は天体。今年も順番どおりの出題でしたね。
(ア)は、実験と地球の動きと星の見かけの動きについての問題。ペン先は観測者の位置と重なるように。地球の自転の向きはわかるよね?それにより見える星の動きを日周運動と言います。
(イ)は、同じ緯度であれば、日照時間は変わらないのがヒント。
(ウ)は、公式より、70.3=90ー(緯度ー23.4)というわけで、緯度は43.1。図2より北海道ということがわかります。与えられた情報を使っていけば解けました。
(エ)は、イメージで解けちゃう人もいるでしょうし、計算したい人もいるでしょう。夏至と冬至の日の南中高度は、地軸が太陽の方向を向いているので地軸の傾きが南中高度に影響します。春分と秋分の日は、太陽が真横から当たるため、地軸の傾きは影響しません。ちなみに、計算するとこうなります。
解答も見てみましょう。
解答
今年は、文字数の多い問題文に騙されなければ、単純に知識でポンポンと解いていける問題が目立ちました。これが易化の要因でしょう。数学に比べると、計算問題の難解さもほとんどありません。
理科が苦手という方は助かったかも。逆に、理科が得意で差をつける絶好のチャンス!と思っていた方にとっては少し残念なテストだったのではないでしょうか。
ただ、来年もこうとはもちろん限りません。来年度以降受験する皆さん、一つ一つの事象の「なぜ?」を説明できるような力をつけ、難しくても簡単でも高得点を取れるような状態で臨めるようにしましょうね。
また、上記の単元表と照らし合わせるとわかる通り、入試問題といえども、2年生の時点で解ける問題も沢山ありますから、ガンガンチャレンジしてみるのもいいでしょう。
さて、これで5科目の分析と解説が終わりました。受験生達の面接も今日で終わりかな。
みんな、本当にお疲れ様でした。
なんだかありきたりなことを言うようだけど、思う通りにいった人も、なかなかうまくいかなかった人も、まだまだまだまだまだここから人生が続いていきます。
たとえ、いくら悔やんでも、過去を変えることはできません。それなら、この経験をどう未来に活かすのかを考えましょう。
苦しかった日々を、手にした喜びを、抱えた無念さを、出会えた新しい自分を、暗闇の中で見つけた光を、大切にして、今これからに活用しましょう。
過去と他人は変えられない。だけど、自分と未来は変えられるのですから。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
これらの学力検査がどんな力を求めているのかについては、また稿を改めます。
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