多くの問題の場合、答えを出すのに必要な材料は、全部文章中に書かれていますよね。
たとえば、方程式の計算ができれば、少なくとも知識的には、方程式の文章題と戦えるはずです。
でも、文章題を見た瞬間に「うわ、難しい」と謎のフィルターが発動されてしまって、多くの人はそもそも読めもしなくなるわけです。
というか、フィルターがなかったとしても、「読む」って相当難しいんです。僕らって、文章をそもそもあんまり読めないのです。この本でもそんなこと書かれています。
「読む」って、けっこう高等技術なんですよね。たとえば、
1個80円のパンと1個100円の牛乳を合計8個買うと合計700円になった。パンを何個買ったか求めなさい。
という問題でも、文章を見つめ固まってしまう子がいます。方程式自体の知識はあるのにですよ。語彙や日本語の文法自体に問題がなければ、それは「意識」が文章に向いていない証拠でしょう。
文章を読むのが苦手な子は、まずこの「意識」を問題に向ける必要があります。
そんなときに使える技が「自分と会話しながら読む」方法です。
例えば先程の文章なら、声に出したり心の中だったりで、こんな風にツッコミを入れながら読みます。例ですよ。
1個80円のパン「安いな、おい」と1個100円の牛乳「おお、牛乳のほうが高いのかい」を合計8個買うと「意外と買うな!」合計700円「やす!」になった。パンを何個買ったか求めなさい「レシート見ればいいのに」。
ちょっと絡みすぎな感じはありますが、意図は伝わるでしょうか。突っ込みを入れることで、文章に興味が持てるわけですね。
興味が持てれば、頭の中に入ってきますから、考える材料が手に入ります。そこからは方法論ですから、できなくても、なぜできないのかの課題が明確になりますよね。課題が明確になれば、解決は簡単です。知らないことは知ればいいのですから。
もっと上級の「自分との対話」はこうなります。
1個80円のパン「はいはい、パンは80円ね」と1個100円の牛乳「牛乳は100円」を合計8個買うと「合計8個ってことは、片方をx個とするともう片方は(8−x)個ってことね」合計700円「各々の金額を足したら700円になるってことね。80x+100(8-x)=700ね」になった。パンを何個買ったか求めなさい。
このぐらいで読めるようになると、立式も間違えません。どうです、慣れてきましたか?
では、次の問題にも突っ込みを入れていきましょう。
まこと君は買い物にでかけました。まず最初のお店で気に入ったのは3000ペソのジーンズと5000円のTシャツでした。まこと君は迷った上にTシャツを買いました。次に違うお店にやかんを見に行きました。黄色いやかんは800円、緑色のやかんは500円、薄紅色のやかんは1800円でした。まこと君は黄色いやかんを2つ買いました。3つ下の弟へのプレゼント用です。まこと君はここまでで持っているお金の半分を使ってしまいました。このあとお腹が減っていたので、タコスを食べて帰りました。タコスは200円でした。さて、まこと君のお金はいくら残っているでしょう。
これは文章量の多い問題。でも、大したことはありません。心の中で自分と対話しながら進めていきましょう。まずは突っ込みバージョン。粗品さんになったつもりでガンガンいきましょう。
まこと君は買い物にでかけました。「そうかそうか」まず最初のお店で気に入ったのは3000ペソ「異国スタート!」のジーンズと5000円のTシャツ「高いなTシャツ」でした。まこと君は迷った上にTシャツを買いました「そっちかい」。次に違うお店にやかんを見に行きました。「やかん!」黄色いやかんは800円、緑色のやかんは500円、薄紅色のやかんは1800円でした。「薄紅色高いな!」まこと君は黄色いやかんを2つ買いました。「謎に2つ!」3つ下の弟へのプレゼント用です。「違うプレゼントのほうがいいんじゃないですか」まこと君はここまでで持っているお金の半分を使ってしまいました。「Tシャツ高かったもんな」このあとお腹が減っていたので、タコスを食べて帰りました。タコスは200円でした。「やす!」さて、まこと君のお金はいくら残っているでしょう。
文の全体像が掴めてきましたか?では、最後にこの問題を解く用の自分との対話の一例を載せておきましょう。
まこと君は買い物にでかけました。まず最初のお店で気に入ったのは3000ペソのジーンズと5000円のTシャツでした。まこと君は迷った上にTシャツを買いました。「ここで5000円使ったってことね」次に違うお店にやかんを見に行きました。黄色いやかんは800円、緑色のやかんは500円、薄紅色のやかんは1800円でした。まこと君は黄色いやかんを2つ買いました。「ここでは1600円」3つ下の弟へのプレゼント用です。まこと君はここまでで持っているお金の半分を使ってしまいました。「5000円と1600円で6600円…これが使った金額だから、今持っているのも6600円ってことね」このあとお腹が減っていたので、タコスを食べて帰りました。タコスは200円でした。さて、まこと君のお金はいくら残っているでしょう。「6600円ー200円で6400円!」
みたいな感じね。
まぁ、これは一例です。要は、意識して読めていればいいってことです。
ちなみに、上の例題は、「どっかい算」という教材の問題を参考にいじくりました。使わない数字が出てくる文章題がいっぱいのこの教材、小学生にオススメですよ。僕もその昔知り合いの先生に教えてもらいました。
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