以前にもまとめた「新学習指導要領」についての記事です。
いよいよ新年度が始まるということで、改めて中身を気にする熱が高まってきているように感じます。改めて、何がどう変わるのか、じっくり見ていきましょう。
改めて、学習指導要領とは、文部科学省が出している「全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするための、カリキュラムを編成する際の基準」のことです。小中高ごとにあって、大まかな教育内容を定めています。詳しくは以下のサイトで説明されています。
この学習指導要領が小学校では2020年度から、中学校では2021年度から、高校では2022年度から学年ごとに順次新しいものへと変わります。これを新学習指導要領と呼んでいます。学年途中で教科書がガラリと変わるので、現在の中1や中2なんかは注意が必要です。
それを踏まえ、現在はこの新学習指導要領への移行措置期間。場合や科目によっては、既にこの移行措置期間から教える中身などが変更になっています。その各教科の変化の内容を今日は詳しく見ていきましょう。
動画はこちら。
英語
最も注目が集まっているのが、この英語です。
以前の記事でも新教科書の中身に触れていますね。
主な変更点は以下の通り。
- 4技能(聞く・読む・話す・書く)のより一層の重要化
- 小学校での外国語教科化(小3・小4で音声メインで表現方法など学び、小5・小6が文字メインで学ぶイメージ。単語は700語ほど学ぶ)
- 中学校での英単語は1200語から1600〜1800語へ増加
- 高校から中学へ「感嘆文」「原形不定詞」「仮定法」「現在完了進行形」移行
小中高の連携が鍵です。中学会の学びでいえば、単語も文法も増えて、難易度が上がるのは間違いありません。
高校入試では、できる子とできない子の差が一番激しくなる英語。小学生での英語教育がうまくいかないと、その格差はますます広がりそうです。
算数・数学
続いては数学です。上記は学習指導要領前の系統図。
変更ポイントは以下の通りです。ここも小中であちこち単元が入り混じっているので、一緒に見ていきましょう。
- データを読み取る力の重要化
- 小4に「簡単な割合」「小数を用いた倍」追加
- 小6から小5に「メートル法(体積との関係)」「速さ」移行
- 小5から小6に「分数✕整数」「分数÷整数」移行
- 中1から小6に「平均値・中央値・最頻値・階級」移行
- 小5・中3から中1へ「素数」「素因数分解」移行
- 中2から中1に「確率」移行
- 中1に「累積度数」追加
- 中1から中3へ「誤差や近似値」移行
- 高校内容から中2に「四分位範囲」「箱ひげ図」追加
- 中2に「反例」という用語追加
素因数分解を1年でやるなど、ちょこちょことした変更が見られます。実際に中学校でも現在の一年生が「素因数分解」に触れているという報告ももらっています。
これまた小学生の負担が大きくなるようなイメージですが、大丈夫でしょうか。
理科
次は理科。これまた現在の学習系統図を載せておきます。ここからどう変わるのか。
- 中2の【電気】に「放射線」追加
- 中1での「圧力」は中2の【気象天気単元】(圧力・大気圧)と【運動とエネルギー】(水圧・浮力)へ移行
- 「植物」は中2の【生物】へ。中2の「生物の進化」は中3の【遺伝】へ移行し、各々名称変更
- 「動物の分類」は中2から中1へ
- 中3の「自然の恵みと気象災害」が中1と中2へ追加。
プログラム教育の導入もあり
なんだかちょっと慣れない感じの単元移動。最初は塾関係者混乱しそうです。
もちろん「その方が良い」という文科省の考えあってのことですから、楽しみにしていきたいと思います。今回一番上に貼ったリンクの記事でも、例えば生物の単元移動についてこう述べていますね。
生物も大きく様相を変えます。今まで中1で植物、中2で動物、中3で遺伝といった感じでしたが、中1で【生物の種類や仲間の分類】、中2で【生物の体のつくりや働き】という風になるそうです。理解しやすいように、大枠と中身で分ける感じなんですね。
どうか、子どもたちの理解が深まりますように。
社会
- 小3で市区町村について学ぶ(地図帳配布)
- 小4は都道府県を中心に学ぶ
- 小6で歴史の前に政治を学ぶ
- 中学では【地理】が5時間分減、【歴史】が5時間分増(世界史の分野が厚くなる様子)
- 「地形図」や「時差」を学ぶタイミングが早くなる
社会は単元の再構成が実施されます。例えば帝国書院さんの教科書では、現在の「世界の様々な地域」「日本の様々な地域」の二項目構成から、冒頭に「世界と日本の地域構成」が入った三項目構成になるということです。
小中高の結びつきが強くなり、しっかりと学びを積み重ねていくイメージが強くなるということです。興味を持ちながら学べると良いですよね。
国語
最後は国語です。
- 学年で習う漢字の変更(社会で都道府県を学ぶため、都道府県の漢字が前倒し)
- 「情報の扱い方」が新設
- 語彙の充実が図られていく
- 「読書」については、中1で「進んですること」、中2で「生活に役立てること」、中3で「自己を成長させること」に重点を置く
地味ですが、学ぶ語彙が増えるということが大きなポイントのように感じられます。
小学生の英語教育が本格化するにあたって、国語の持つ重要性がより高くなることは間違いないでしょう。言語は言葉を多く知ってナンボ。多くの言葉に触れて、多くの言葉に興味を持って、多くの言葉を学んでいって欲しいですね。
言葉に興味を持つということは、世界に興味を持つということとほぼ同義なのですから。
以上、5教科の変更ポイントだけまとめてみました。
既に移行措置期間ということで取り組んでいる内容も多いでしょう。学ぶ内容の変化に注意しながら、だけど変わらぬ学びを続けていきましょう。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
変化に適応するものこそが強い。
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