あの頃、僕らは夢中になってページをめくっていた。
セルの登場には衝撃を受けた。山王戦は最初から最後までしびれた。戸愚呂弟が前の会場からリングを持ってきたときはちょっと笑った。二重の極みを真似した。アバンストラッシュも真似した。鬼の手も。スーパースターマンに似ている友達がいた。
その雑誌の中には、夢と希望とワクワクと感動が詰まっていた。「友情・努力・勝利」の名のもとに、素晴らしい漫画が集い、僕らを虜にした。
僕は、僕らは、あの時代を忘れない。いや、忘れられない。
そんな思い出を胸に秘めた、もう結構いい歳になった大人たちが、この度、六本木で伝説の集会が開かれていることを聞きつけて、それこそ大集結したのだ。みんな少年の目をしていた。
その宴の名は『ジャンプ展』という。
まずはそこから話をせねばなるまい。
ジャンプ展に行きました
まずはジャンプの説明が必要だろうか。そもそもジャンプを知らない人はこの記事を開いていないだろうけど、一応説明をしておく。
ジャンプとは、『週刊少年ジャンプ』の略称で、集英社が発行する週刊少年漫画雑誌のことだ。2018年7月に創刊50年を迎える漫画雑誌界のレジェンドである。読者アンケートを参考に掲載順が変わるシステムが有名だ。
過去の連載陣には、『ど根性ガエル』『マジンガーZ』『キン肉マン』『北斗の拳』『こちら葛飾区亀有公園前派出所』『ドラゴンボール』『スラムダンク』『ワンピース』を始めとした錚々たる面々が集う。どんなに漫画に興味がない人でも、一つぐらいは知っているんじゃないかな。
そのジャンプの絶頂期は、まさしく90年代中頃だ。なんと発行部数は驚異の653万部。文句なしの歴代最高記録である。
今回の『ジャンプ展』は、その黄金期の作品にフォーカスをした、まさにゴールデンなジャンプ展なのだ。そりゃ行かないわけにはいくまい。というわけで、六本木ヒルズへ。
仕事で来るときより大きく見える。そして、心なしかキラキラ輝いている。誰かの宝貝で幻術を見せられているのかも。
ん?なんだかいい匂いがするぞ。宴はどうやらこっちで開かれているようだ。アウターゾーンなみのあやしい雰囲気に誘われて、奥へ。
まるでデュエル前の緊張感漂う雰囲気。大丈夫、何かあれば自慢の忍空ですっ飛ばしてやるさ。あれ?でも俺って何忍だ?戌忍は紫雨だし…
そうこうしているうちに辿り着いたワインが彩るオシャレな道の先には、東京感溢れるオシャレなお店(表現が田舎者っぽい)がありました。食事を堪能し、「いやー美味しかったねー」ってひとしきり満足した後に気付く。
あ、今日はジャンプ展を見に来たんだった。
忘れられない、なんて言っておいて早速忘れていた。誰かのスタンドのせいかもしれない。気をつけよう。
さぁ、いざ宴へ。しかし、入り口がわからずちょっとさ迷う。インフォメーションのジェーン似のやさしいお姉さんにバッチリ道を聞いた後、僕らは「同じ匂いがする…」と同志たちを数名見つけて(バレないようにこっそり後を追い)共に会場へと乗り込んだ。
おおおおおー!早速熱い顔ぶれがお出迎えだ。
ここから先も語りたいことは山ほどあるのだが、さすがにネタバレになってしまうので、詳しい内容については触れずにおきたい。ただ一言だけ言っておこう。
今までのこの記事を「ふむふむ、これはあの漫画のネタだな」なんて読めているあなたは行ったほうがいい。6月17日(日)までで終わってしまうよ。物品コーナーに気を付けろ!買ってしまうぞ!
逆に「ジャンプ知ってるけどこのおっさんが何言ってるかよくわかんないなぁ」という方は、次の7月17日(火)からの2000年台特集へ足を運ぶといい。あとおっさんって言うな(自分で言ってる)。
おちゃらけた感じの報告はここまでにしよう。せっかくのジャンプ展だ。ここで終わってしまうのは勿体ないから、勉強にだって活かさせてもらおうではないか。
ジャンプ展から学ぶ友情・努力・勝利の勉強術
再度お伝えしておこう。
ジャンプのテーマは「友情」「努力」「勝利」。熱い3つのキーワードだ。元々は「一番大切に思う言葉」や「一番心あたたまる言葉」を、子どもたちにアンケートを取って決めたらしい。この3つ、もちろん勉強においても重要である。
まずは「友情」から説明しよう。
たとえば、難関の志望校を目指す子。うちは個別の塾だが、授業以外の機会に、そういった子たちをあえて集めて今やっていることの重要性や今後の展開の話をすると刺さりが良い。また、そこでつながったことを踏まえて、お互いを意識するようになり、小テスト前の雰囲気が締まる。それに、受験前の厳しい日々の中で、彼らが言葉をかわし励まし合っている姿を見ることもある。
一人では折れてしまいそうな時も、同じように頑張っている仲間がいるだけで、人間強くなるものだ。まるで悟空とベジータのように、お互いがお互いを成長させていく。
次に「努力」である。これは言わずもがな。
努力なくして合格なし、努力なくして成長なしだ。仮に努力せずに合格したとしても、そのしっぺ返しは必ずどこかで喰らうことになる。「先生、二次関数なんて大人になったら使わないでしょ」とか言う生徒がたまにいるが、違う。二次関数よりも先に、努力するかしないかを試されているのだ。
子どものうちから、努力することには慣れておこう。大人になってから急にやろうったって、それはなかなか難しい。努力できない大人はきついぞ。そして、努力しなくていい大人なんていないことを覚えておくといい。ジャングルの王者でさえトレーニングをするのだから。
最後に「勝利」である。これは言葉を言い換えよう。「成功体験」だ。
勉強においての「成功体験」とは、ジャンプの読者アンケートにおける一位のようなものだ。継続が確約される。それは自信につながり、さらなる高みへと昇るための燃料になる。アニメ化、映画化と続けば(オール4、オール5、志望校合格と続けば)、いつの間にか君は多くの成長と選択肢を手にしているはずだ。
ジャンプはアンケート評価が悪い作家に厳しいが、勉強は大丈夫。スモールステップで自分なりのペースでやっていけばいいから楽チンである。まず誰かと比べる前に、昨日の自分と比べてみるといい。そして、とにかく多くの成功体験を手に入れよう。それにはさらに数多くの挑戦が必要だ。ちなみに、失敗の数は数えなくていい。
ジャンプには多くの物語が載っている。主人公たちは皆偉大だ。でもその中で、最初から偉大だった主人公なんてほとんどいない。
みんな困難とぶつかって、時には手痛い失敗をして、それでも、諦めず進んできたからこそ、今があるんだ。
君の物語もきっと一緒だよ。
最高の「今」に出会うために、さぁ、強いやつに会いに行こうぜ。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
君が主人公の物語の、どうか僕らがいい登場人物になれますように。
最近の「教えてくれた勉強法シリーズ」
0コメント