時は2018年度の終わり。今年も、この季節がやってきた。各高校同士が本気で闘う天下分け目の大決戦。2021年版は以下の動画をご覧ください。
各エリアで予選が行われ、それを勝ち残った最強の猛者たちが、ここ「真・天下一高校会会場」に集結した。かつて18学区あった神奈川県の超人気高校たちが、己の誇りと威信をかけて、闘う。会場は既にかつてない熱気に包まれている。
はたして今年は、どんな闘いが繰り広げられるのか。おおっと、早速選手たちが入場する模様だ。 暗闇の中で、司会兼審判のサングラスの男が叫ぶ。
「それでは、選手の入場です!!!!」
真・天下一高校会 選手入場
その声と一斉に点いたスポットライトの光を皮切りに、歓声と拍手と大音量の音楽が流れ、ゲートから次々と選手たちが入場する。各々が出てくるタイミングに合わせて、紹介のキャッチフレーズが響き渡る。ついでに、解説の勉強犬の補足も。
1914年開校「帝王」横浜翠嵐高校ぉぉぉぉお!
堂々の神奈川県偏差値トップ校。横浜エリアのチャンピオン。今年の東大進学実績は昨年と比べると振るわなかったですが、その分京大やら医学部やらが増えた模様。今年度も連覇を目指します!
1920年開校「湘南の王者」湘南高校ぉぉぉぉお!
ご存知県立偏差値トップとの呼び声も高い湘南地域の王者。今年の東大合格速報は圧巻の25名!もうすぐ100周年の超人気校。
1967年開校「夢と希望を叶える場所」柏陽高校ぉぉぉぉお!
神奈川トップ3に入る進学校。元スーパーサイエンスハイスクールで、現在も自然科学教育に力を入れている。陸上や理科部が強いイメージ。65分授業と2期制で授業時間はたっぷり。
1962年開校「I like to be a free spirit」川和高校ぉぉぉぉお!
自然に囲まれた広々とした教育環境で、自由な校風の中、各々が個性を発揮する進学校。自主運営のイベントが多い。部活動も、室内楽部やバトントワリング部など多彩。文化祭では名物まんじゅうをお楽しみに。
1923年開校「山手のびのび軍団」横浜緑ヶ丘高校ぉぉぉぉお!
中華街や横浜スタジアムからも近い山手にそびえるのびのびとした校風の進学校。晴れるとベイブリッジも見えるらしい。年3回実施の教養を深める「緑校セミナー」では有名人が講演。寝るな。もちろん実力も伸びます。
1902年開校「県央の支配者」厚木高校ぉぉぉぉお!
「質実剛健」をモットーとする学力向上進学重点校。国際社会のリーダーとして活躍できるグローバル人材の育成を目標とし、SSHにも(5年間のみ)認定される。最強の人材を育てるための探究活動「ヴェリタス」を実施している。100周年以上の伝統を持つ名門校。
1900年開校「西の将軍」小田原高校ぉぉぉぉお!
神奈川県で二番目に長い歴史を持つ単位制のトップ校。今年度から特色検査を廃止し、内申重視の方針を打ち出したことで話題となった。結果、応募者は増。今後の動きに注目だ。部活は少林寺拳法部や放送部が気になる。シンプルなHPは逆に好感が持てる。
1921年開校「Your Future Planner」平塚江南高校ぉぉぉぉお!
平塚に居を構える学力向上進学重点校。My Future Plans(将来設計書)を作成し、職業への意識を高める。後夜祭の後に作られる花道は必見。「ようこそ先輩」好き。理数教育にも力を入れ、科学的リテラシーの育成に取り組んでいる。部活は、かるた部や囲碁・将棋部、吹奏楽など文化部が強いイメージ。
1962年開校「舞姫」大和高校ぉぉぉぉお!
大和の地に君臨する女王(男女比若干女子多め)。女子が元気なイメージ。学力向上進学重点校エントリー校で、部活動も多彩。創作舞踊部が強い。学校長の言葉にある3つのキーワードはなるほどという感じ。球技大会でのPTAの豚汁が美味しいらしい。校則は割とゆるめだという。
1897年開校「伝統と希望を持つ女王」希望ヶ丘高校ぉぉぉぉお!
神奈川県最古の名門校。その割に制服はなしで髪を染めるのもokという自由な校風が素敵。詳しくは高校特集記事で説明しています。
1966年開校「光の国の覇者」光陵高校ぉぉぉぉお!
元々は横浜国立大学の付属高校として設置されたが、実現せず、40年の時を経て、横浜国立大学附属横浜中学校と連携型中高一貫校となった。普段はのんびりとしている校風だが、やるときはやるメリハリのある感じ。月・水に光陵スタディタイムがある。
1956年開校「多摩川の音が聞こえる」多摩高校ぉぉぉぉお!
県の学力向上進学重点校エントリー校であり、理数教育推進校。草木と花と緑と川に囲まれ、「自重自恃」を校訓にのびのびと成長できる。行事も豊富。俳優の三上博史やミュージシャンの小沢健二の出身校でもある。ダンスドリル部が強い。
1908年開校「空を飛ぶ黒船」横須賀高校ぉぉぉぉお!
3年間クラス替えなしのスーパーサイエンスハイスクール。理系に特化しすぎてちょっと嫌がられている一面もある。詳しくは高校紹介記事を。ちなみに小泉元首相の出身校。授業は革新的!
1963年開校「隠れた巨人」新城高校ぉぉぉぉお!
旧川崎南部学区のトップ校。のびのびと自由な雰囲気の中で牙を磨く実力者。海外帰国生も受け入れている。女子の制服はリボンやネクタイを選べる。独自の「進路の手引き」は体系だった進路指導を実現させる。
1976年開校「海近爆裂ボーイズ&ガールズ」七里ガ浜高校ぉぉぉぉお!
日本一海に近い高校で、そのロケーションは神奈川最高、いや日本最高とも言われています。ロッカーをきちんと使えないと汚くなりがちですが、明るいノリとテンション高めでてっぺんを狙います!
1969年設立「祭り好きの王様」港北高校ぉぉぉぉお!
港北区の鶴見川沿いにそびえるお祭り大国。3年間を多彩に彩る行事が魅力。王様のブランチの司会者だった谷原章介さんは本校の卒業生。「私の未来地図」の時間で、生徒たちの未来を描く。授業力向上推進重点校でもある。
1975年開校「世界を知る空の王者」鶴嶺高校ぉぉぉぉお!
国際教育研究推進校にも指定された国際交流に力を入れている強者。留学生の受け入れも行っています。ちなみに校章の「ツ」は3羽の鶴を表しており、生徒・教職員・保護者三位一体の姿と、知・徳・体を追求したものだそうです。
1979年開校「ワクワクスポーツランド」荏田高校ぉぉぉぉお!
体育科もある全国大会出場の部活が多いスポーツ大国。もちろん、吹奏楽など文化部も活躍中。大学の講義が受けられるシステムもあり。荏田高体操でチームワークを磨く。行事もいっぱい。
1977年開校「天翔る美化名人」新羽高校ぉぉぉぉお!
旧横浜東部学区のマンモス校。通学路周辺の環境整備が地域貢献として教育委員会からも表彰された。演劇部や放送部、写真部、パティシエ部などが活躍中。エスペラント語の授業がある。HPはスマホ用もちゃんと準備されている。
「さぁ、錚々たる面々が集いました、ここ真・天下一高校会会場です!今宵…予選を勝ち上がった以上の超人気校19校によって、真・天下一高校会の覇権が争われます!!!!!」
音楽がピタリと止む。暗転。
真・天下一高校会ルール説明
「天下一高校会のルールは簡単。強さを判断するのは、ただ単純に数字。そう、受検者数の数字です。倍率などの不安定な要素を排除するため、志願変更前の状態の一回目の受検者数で競っていただきます」
各地に設置してある大型オーロラビジョンに「2017年度の熱戦列選超激戦を振り返る」の文字が光る。暗闇の中で巻き起こる歓声。
真・天下一高校会昨年を振り返る
「さぁ、2018年度の闘いが、間もなく始まる模様です。その前に、昨年度の激闘を振り返ってみましょう。それでは、ちょっと早速時間も押しているので、さくっと昨年2017年度の大会の模様を振り返ってみます」
観客の目がビジョンに集中する。3位までの高校名と受検者数が映し出される。
「2017年度の優勝は、横浜翠嵐高校の760名でした。惜しくも2位は元石川高校。それでも圧巻の607名を集めています。3位は市ヶ尾高校で、574名。惜しかったですね。昨年度は横浜北エリアの強さが際立った大会でした。解説の勉強犬さん、今年度はどう見ますか?」
「そうですね、今年もやっぱりまだわかりません」
「当たり前のコメント、ありがとうございます。ちなみに、昨年の2位と3位の高校は、今年度それぞれ予選突破ならず。今年のレベルの高さを伺わせます」
バッと会場中のライトが光る。観客が湧く。
「それでは、お待たせ致しました!今年度の順位の発表です!!!!!はたしてどこが最も多く受検者数を集めたのか!!!!」
真・天下一高校会 ここに開幕!!!
空気を裂く閃光のような声。会場中に響き渡る。
「それでは、第5位の発表です!!」
手に汗握りながら、会場に100台設置されたオーロラビジョンに注目する観客たち。ドラムロールの向こう側で、そこに文字が描かれた瞬間、爆発のような歓声が巻き起こる。
「第5位は…536名の祭り好きを集めた…「祭り好きの王様」港北高校です!」
どっかん。旗を掲げた港北高校の応援団がエールを贈る。各校の応援団たちも拍手でそれに応える。
「元気で明るい雰囲気の港北高校が見事5位を獲得致しました。おめでとうございます。谷原さんもきっとお喜びでしょう」
鳴り止まない歓声をそのままに、司会者が言葉を紡ぐ。
「さぁ、それでは続いて第4位の発表です」
ふと生まれた静けさを飲み込むように、再び鳴るドラムロール。まるで永遠かのように思えるその音の向こうに、答えが、出る。
「第4位は、「天翔る美化名人」新羽高校!!圧巻の538名を集め、昨年の雪辱を果たしました!おめでとうございます!見事翼を得ましたね」
名曲「翼をください」の合唱が始まる。それが終わるとみんなでレッドブルを飲み干す。新羽高校の応援団のパフォーマンスに各応援団からも笑みが溢れる。
「おめでとうございました。それでは第三位の発表に参りましょう。オーロラビジョンにご注目ください」
しん、と静まりかえる会場。その緊張感を割るようにドラムロールが流れ出す。そして、終わる。
「栄光の第3位は、川崎の雄「多摩川の音が聞こえる」多摩高校です!!」
地響き。轟音。
「多摩高校は540名を集め、見事に横浜北エリアの牙城を崩しました。おめでとうございます。それにしても3位までが超僅差!まさしく!超!激!戦!です!」
多摩高校応援団の「川の流れのように」が落ち着いた頃、会場は異様な雰囲気に包まれていた。残すは2校。そして、その残った2校がどこなのか、観客たちの多くは既に気付いていた。
怒涛のコールが巻き起こる。
「湘南!湘南!湘南!」「翠嵐!翠嵐!翠嵐!」
荒れ狂う声たち。あちこちでぶつかり、さらに増幅していく。会場が壊れるほどのパワー。たまらず運営は、二校を舞台に上げることを決めた。
「おいおい、こんなの前代未聞だぜ」ベテラン観客がつぶやく。
並び立った両雄を見て、誰もがごくりと息を呑む。
湘南高校と、横浜翠嵐高校。
神奈川公立高校トップ校として、常に比べられる両者。東大合格実績や進学実績では毎年のように比較をされるライバルであり、トップ校の苦しみを理解し合う盟友だ。神奈川をリードする二校が、今、雌雄を決する。
「それでは、第1位と第2位の発表です!」
悲鳴にも似た絶叫が会場を埋め尽くす。今年度最後の発表。ある者は祈り、ある者は真っ直ぐに司会者を見据え、そしてまたある者は既に泣いていた。
「真・天下一高校会、天下の第2位は…」
異例につき、オーロラビジョンは黒く塗りつぶされたまま、ドラムロールも鳴らない。司会者の声だけに、誰もが全神経を傾ける。沈黙を超える沈黙。緊張を超える緊張。
「第2位は…597名の応募者を集めました…」
静かなざわめき。
「「湘南の王者」湘南高校!!絶大な東大合格実績で話題を集めた湘南高校が2位です!ということは…」
「ということは」と思わず誰もが復唱をした後、帝王の勝利が告げられる。
「第1位は、真・天下一の高校は…連覇おめでとうございます!840名という驚異的な数字を叩き出した「帝王」横浜翠嵐高校です!!!!!!!」
ビッグバン。壇上へと昇った湘南高校と横浜翠嵐高校ががっちり握手をし、さらに会場が盛り上がる。
本来は、高校に優劣などない。上も下も、良い悪いもない。それは、受験する生徒や通っている生徒たちが決めるのだ。選ばれる高校になるために、各高校は日々日々努力している。
すべては、生徒のために。
勉強犬がポツリと呟く。「あれ?解説一言も喋ってないよ」。もちろん誰も聞いていない。
「次回は、神奈川県を飛び出して、首都圏を対象とした、スーパー天下一高校会でお会いしましょう!」
2019年の激闘はこちら。
2020年の激闘はこちら。
神奈川私立高校の激闘はこちら。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
長々とお付き合いありがとうございました2。
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