「褒め忍」という言葉をご存知だろうか。
「褒め忍」とは、社会の裏に存在し、「褒めることが未来を素晴らしくする」という理念のもと、「褒めること」で世界を支え、陰ながらとにかく褒める「褒めること」のマスターたちのことだ。
今回は、そんな「褒め忍」の一人に運良くインタビューをすることができた。人を褒める上で大切にしているポイントをご教授いただいたので、ぜひ参考にしてもらいたい。
それでは早速参ろう。
『勉強犬の部屋』第三弾は、『宇宙の帝王』、『神様』に続く、超大物ゲストへインタビュー!
忍びの里を出て独立後、日本社会を「褒めること」で活性化させ続けてきたスーパー忍者氏に、独占的にお話を聞いてきた。
ぜひじっくり楽しんでもらいたい。
なお、冒頭の写真は忍者氏とは無関係だ。
褒める時に大切にしている3つのポイント
勉強犬「こ、こんにちは。はじめまして、勉強犬と申します。本日はその、よろしくお願い致します」
褒め忍「こちらこそよろしくでござる。それにしても毛並みが素晴らしいでござるね」
勉強犬「お、おお、早速ありがとうございます!」
褒め忍「いやいや、見たまま言っているだけでござる。この部屋も落ち着いて話せる感じで雰囲気が好きでござる。もしかしたら、センスや好きなものが似ているかもしれないでござるね」
勉強犬「おお、それは嬉しいお言葉!僕、ドラゴンボールや刃牙が好きです」
褒め忍「おお、そうでござるか!うむ、某は漫画は読まないのだが、では今度読んでみようかと思うでござる。貴重な情報をありがとうでござる」
勉強犬「いえいえ。いやはや冒頭からすっかり気持ちよくさせてもらっておりますが、早速質問よろしいでしょうか」
褒め忍「何でも聞いてくれでござる」
勉強犬「ありがとうございます。では、いきなりですが、褒め忍さんが褒めるときに気をつけているポイントを教えてください」
褒め忍「気をつけているポイント…自分としては思ったまま、見たままで伝えているつもりなのでござるが、それを言っても「またまたー」と言われて困るでござる」
勉強犬「(笑)そりゃそうですよね。でも、あえて言うとすればこれだなっていう感じのものはありますか?」
褒め忍「うーむ。そういえば、我が忍の里にはこんな教えがあったでござる。たしか、褒めるときの3つの極意…」
勉強犬「おお、秘伝っぽい!」
褒め忍「それは、be・do・haveだと」
勉強犬「be・do・have…」
褒め忍「beは存在承認のことでござる。be動詞のbeでござるな。あなたが居てくれてよかった、と伝えるということ。簡単なものでいえば服や髪型やセンスや好きなものを褒めるのはこのbeに当たるでござるな」
勉強犬「教育業界でもbeは大事だと言われますね。どうも日本人はbeを褒めることが苦手な印象がありますが」
褒め忍「積極的な言語化はあまり美徳とされない文化であったからでござるかな。しかし、やっぱり存在承認は嬉しいものでござる。家族間でも、夫婦間でも、友人間でも積極的にやってほしいでござる」
勉強犬「beを褒める際のコツはありますかね?」
褒め忍「うーむ、あえて言えば、【多様性を認めて、興味を持つ】ということでござるかな。人と人は違う。そのことが前提にあれば、すべてのものが承認できる対象に理論的にはなるでござる。ただ、実際は難しいでござるがな」
勉強犬「例えば自分とは反対の考えを持つ人でも、「あ、そんな考え方があるんだ」と承認ができるということですね」
褒め忍「そうでござる。しかし、それを小手先でやってしまうと皮肉や嘘っぽくなってしまうでござる。beの承認は特に、伝え方によっては、引かれたり気分を悪くさせたり気持ち悪がられたりも。だから、練習が必要でござる」
勉強犬「なるほど。気になるその練習の仕方は後ほどまた改めてお聞きしますね。続いて、doに参りましょう」
褒め忍「doとは行動承認のことでござる。ハイハイできたね、自転車乗れたね、めっちゃ早く走れたね、頑張れたね、というやつでござるな。わかりやすく効果的でござるが、存在承認とは違って、いつでも誰にでもできるわけではないのが難点でござる」
勉強犬「たしかに、できるときもあれば、できないときもある。できる子もいれば、できない子もいる」
褒め忍「そうなんでござる。それに、各々の感覚のすり合わせが難しいでござる。褒めるほうが頑張ったと思っていても、褒められる方はそうは思っていないかもしれないでござるからな」
勉強犬「doは思ったよりもデリケートな褒め方ですね。ポイントはどこでしょうか?」
褒め忍「某が気をつけているのは、【よく見る】ことでござる。よく見れば、少しの成長もちゃんと見つけてあげられるでござるし、感覚のすり合わせも容易でござる。本人の感情にも寄り添うことができるでござるな」
勉強犬「なるほど、なるほど。過程をきちんと見守って承認することが大事ということですね」
褒め忍「よく巷で、女性は【結果よりも過程を褒められたほうが嬉しい】と言われているでござるが、これは感情とセットになりやすいからだと考えられるでござる。男性よりも女性は感情に敏感でござるからな。それに、過程を褒める方がちゃんと見られている感も出るでござる。それが安心感や好意にもつながりやすい」
勉強犬「たしかに、結果を褒められるよりも過程が褒められたほうが感情的な感じがしますね」
褒め忍「そして、残ったhaveが結果承認でござる。「100点とった、すごい!」や「自己ベストタイム素晴らしい!」などでござるな」
勉強犬「これも承認としてはわかりやすいですが、ここでもやはりできる人とできない人の差が出てきますよね」
褒め忍「そうなんでござる。どこかで誰かを褒めるときは、その裏にいる誰かが聞いている可能性があることにも敏感にならねばでござる。誰かを上げることが、誰かを下げては、気持ちよくないでござるからな」
勉強犬「その通りですね」
褒め忍「基本的にはみんなHAPPYがいいでござる」
勉強犬「もうごもっともです。それでは、みんながHAPPYになるために、褒めることのオススメの練習の仕方はありますか?」
褒め忍「まずは眼を磨くことでござる。眼とは顔にある目のことではなく、心の眼のことでござる。五感をすべて使い、【いいと思うことを見つける眼】でござるな」
勉強犬「お笑い芸人があらゆるものに突っ込む練習をするみたいに、あらゆるものを褒める練習をするってことですね」
褒め忍「そうでござる。まずは自分の中で色々試してみるでござる。初めのうちは口に出しても出さなくてもいいでござる。町並みを見て、褒める。行き交う車を見て、褒める。建物の中を歩いて褒める。人と会って褒める。服を、靴を、髪型を、持っているものを、話し方を、褒める。もう見たものすべて褒める。すると、ちょっとずつちょっとずる自分の中に語彙が増えていくことが実感できて、そんな自分をも褒められるようになってくるでござる」
勉強犬「おお、自分の成長を実感して褒められる!そうなれば、楽しくなってきてどんどん続けられそうですね」
褒め忍「褒める、ということはその行動を強化するということでござる。「◯◯ができたね、すごい!」は効果的に使えば、【◯◯がもっとできるようになること】を誘発し、成長を促す言葉かけになるでござる。良き言葉には、誰かの背中を押す力が宿るでござるな」
勉強犬「おお、それは名言ですね。勉強になります」
褒め忍「いやいや、こちらこそ普段なんとなく思っていることを言語化できて、勉強になるでござる。帰ってまとめてみるでござる」
勉強犬「ここでも大変気持ちいいお言葉ありがとうございます。それでは最後に、褒めたい子どもがいるけど、今更褒めても気持ち悪がられるだけという保護者の方にアドバイスをお願い致します」
褒め忍「たしかに、そんな折いきなり褒め出すと、最初の反応は微妙かもしれないでござるな。「気持ちわりい」なんて言われることもあると思うでござる。ただ、言うなればそれは今までちゃんと承認してこなかった分の借金返済期間のようなもの。効果が現れるのは、まだまだ先。声を掛ける側も成長し、承認を続けていければ、効果、つまり褒めた時にお互いが嬉しくなる瞬間はきっと訪れるはずでござる」
勉強犬「逆にそれがなかなか訪れなければ、何かを変える必要があると」
褒め忍「その場合は、褒めることを点で見るのではなくて、普段の言動からの線で見ると、課題が発見しやすいでござる。普段「うちの子は馬鹿なんで」と言っている保護者殿が、いきなりテストの点を褒めても、子どもは「どうせ本当はすごいと思ってないんでしょ」としか思わないでござるからな」
勉強犬「そりゃそうですね。言動一致って大切ですよね」
褒め忍「うむ。普段から保護者殿がちゃんと【あなたが居てくれて嬉しいよ。それだけで私は幸せだよ】と伝えることができていれば、その上に乗っかる色んな承認は受け入れやすいものになるでござる。いや、おそらく承認だけでなくて注意や教えもそうでござるな」
勉強犬「たしかに、いい関係性が築ければ、色んな言葉がそこに積み重なっていきそうです」
褒め忍「それを願うばかりでござる」
勉強犬「お話お伺いしていると、やっぱり、beを承認することが大事なんですよね。もしかしたらそれは人によってはハードルの高いことなのかもしれないですが、うまくできない保護者の方は、ぜひ練習を、ですね」
褒め忍「思春期はただでさえ身内ではなく第三者の言葉が響きやすい時期でござるからな。もし保護者殿だけでは難しいときは、気軽に周りの大人と連携をとって、子どもたちの心の力を育てていくといいでござるな」
勉強犬「ありがとうございます」
褒め忍「ちなみに、先日ツイッターでこんなつぶやきも見つけたでござる。褒め言葉カルタ。伝え方に悩む保護者殿がいたら、きっと自身の中の語彙を増やす参考になると思うでござるよ」
勉強犬「本日は本当にありがとうございました。またぜひお話させてください」
褒め忍「こちらこそでござる。話しているうちに普段考えていることが言語化できて、某にとっても勉強になった有意義な時間であった。心から感謝でござる」
最後の最後まで人を気持ちよくさせてくれる褒め忍さんでございました。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
ござると書きすぎてタイピングが早くなったでござる。
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