「正しいことをするか、親切なことをするか、どちらかを選ぶときは親切を選べ」
人生で大切にしておきたい「格言」が、散りばめられた宝石箱のような映画でした。あ、いや、宝石箱ではなくて、宇宙か。星いっぱいの宇宙みたいな映画。どの星もキラキラ精一杯輝いていました。
ニューヨークタイムズ・ベストセラーリスト第1位。全世界800万部突破の小説を「美女と野獣」の製作スタッフが映画化。全米で大ヒットし、Entertainment Weeklyでは「涙を流す価値のある泣ける映画」に選ばれ、日本でも公開が始まった映画『WONDER 君は太陽』を観てきました。
それはもう、感動しっぱなしの2時間でした。
そして、観終わったあと、もう少し人に親切にしようと素直に思える映画でした。
10歳のオギー・プルマン(ジェイコブ・トレンブレイ)は、普通の子には見えない。遺伝子の疾患で、人とは違う顔で生まれてきたのだ。27回もの手術を受けたせいで、一度も学校へ通わずに自宅学習を続けてきたオギーだが、母親のイザベル(ジュリア・ロバーツ)は夫のネート(オーウェン・ウィルソン)の「まだ早い」という反対を押し切って、オギーを5年生の初日から学校に行かせようと決意する。かくしてオギーは、学校というまだ見ぬ宇宙へ向かうこととなる。
他の映画を観に行ったときに、予告編でもう既にウルウルしてたんですよね。子ども、登場人物いい人ばっかり、わんちゃん、家族の成長物語、もうそんなキーワードたちで彩られていて、泣く気満々で観てきました。
- 人にやさしくなりたい方
- スターウォーズ好きな方
- 『かがみの孤城』にハマった方
- あったかい気持ちになりたい方
- 親
- 生徒
- 教育関係の方
そんな方々にオススメです。ハンカチは用意しておいた方がいいかもしれません。
とにかくね、みんないい人でした。『ルーム』の天才子役ジェイコブくんの演技は圧巻。ジュリア・ロバーツさんとオーウェン・ウィルソンさんはさすがで、パティンキンさんの校長先生が素晴らしかった。もっともっと観ていたい映画だったなぁ。
実は映画が始まる直前、席に座った時、トイレ行きたかったんですよね。「あ、これ2時間もたないかも…」と思っていましたが、ぐいぐい引き込まれて、いつの間にかトイレのことなんか忘れていました。『ジュラシック・ワールド』でもトイレ行ったのに。
そんな感じでいいところはいっぱいあったのですが、ネタバレにもなってしまうのでその多くは後半で。一つだけ言っておきたいのは、子どもたちの世界の描写がリアルだったこと。
主人公との距離感や携わり方、そして心の移り変わりが短い映画の時間の中で見事に表現されていて、「ああ、わかる」や「そうだよねぇ」の連続でした。天才子役ばっかりだな。
そして、オギーだけでなくて、お姉ちゃんやお友達にも焦点が当たって、「みんな主人公なんだよ」っていうメッセージも素敵でした。あ、一つだけと言いながら二つ言ってしまった。
とにかく繰り返しますが、もっともっと観ていたい映画でした。ありがちな感動押し付け感はなくて、テンポよく進んでいく物語。だからこそ、心にしっかりと残るものがありました。
映画を見終わった時、あなたの宇宙にも大切にしたい光り輝く太陽が見つかるはずです。
心からオススメです。すべての子どもたちと、たくさんの大人たちに観てほしい映画。小説も気になり始めたので、早速読んでみます!
それでは以下、ネタバレありの感想文です。観た人、一緒に語りましょう。
ネタバレありの映画感想文
『太陽』
ついつい、これはオギーの物語だ、と思ってみてしまった。
いや、それは間違いではないのだけれど、でもやっぱり違った。確かにオギーは太陽のようにみんなを照らしていたけど、これはそんな「みんな」の物語だった。
太陽を中心に僕らは回っている。でも、視点を変えて、その回る僕に注目すれば、太陽だって脇役に過ぎなくなる。
この映画は、だからわざとこんな風に作られているんだ、と思った。次々に変わる主人公。
お姉ちゃんの寂しさに共感してしまう。ジャックの優しさと強さを応援してしまう。ミランダの苦しみに「うんうん」と頷いてしまう。パパとママには「もっとお姉ちゃんにもかまってあげて!」なんて口出したくなりながら、「こんな家族いいなー」って思ってしまう。そして、わんちゃんにはめっちゃ泣かされる。
唯一敵役のような形で出てきたジュリアンも、最後にはやさしさの片鱗を見せていたよね。校長先生の返答、「わかっている」が素晴らしかった。ジュリアンくん、最後の表彰の会場に居たって本当?誰か答え教えてください。
ジュリアンの保護者がまたいい感じの嫌な感じだったのだけれど、我が子を愛するあまりと言えばまぁ、許せなくもない。でも、本当にああいう感じの親は、この映画を観てどんな風なことを思うのだろう。「オギーばっかりズルい」って言うんだろうか。聞いてみたいけれど、幸い僕の近くにはこういう保護者の方はいらっしゃらない。いつかのお楽しみにとっておこうと思う。
ハロウィンの日のオギーとお姉ちゃんとの話合いがすごく良かった。「お姉ちゃんには僕の気持ちはわからないよ!」というオギーに、それを肯定しつつも、自分だって悩み苦しんでいることを伝えるお姉ちゃん。そりゃそうだよね。誰でも、悩みはある。苦しむことはある。だから、一緒に歩いていこうよって、街に向かう。素敵な兄弟でした。お姉ちゃん、いい子すぎるね。
お姉ちゃんの友達や彼氏と、家族が家で談笑しているシーンも素敵だった。いつか家族ができたら、あんな風にみんなで笑える温かい場所を創りたいなぁとイメージを膨らませてみた。劇中のお父さんみたいにきっと僕はにぎやかし兼怒られ役だろうけど。
オギーのことをからかわれ、我慢できずにジュリアンを殴ったジャックへの校長先生の言葉もよかったなー。あんな教育者になりたいと思いました。「どんな話にも2面がある。ケンカのきっかけは察しがつく。
人を殴るのはよくないが、親友は守るべきものだ」。
あ、担任の先生もよかったね。子どもたちの友情もよかった。頭を打ったシーンは「何かの伏線か!?」とも思ったけど、何にもなくてよかった。お母さんとの会話もよかった。いろんな会話がユーモアと名言にあふれていてよかった。お父さんが、オギーがいつも被っている宇宙飛行士のヘルメットをコンコンと叩くシーンも、そのヘルメットを隠して「愛する息子の顔をいつも見ていたいだけなんだ」っていうシーンもよかった。最高だった。劇のシーンも、最後のシーンも、もちろんよかった。
語り出すと止まらない。次から次に良かったシーンが出てくる。展開が早くて「もっと知りたい」や「もっと見たい」もいっぱいあったけど、だからちょうどいいのかなとも思う。物語とは、想像力をかきたてるものであるべきだから。
最後に、僕が大切だと思ったことを綴っておく。
この物語の中心に在ったのは、確かに「太陽」だった。でも、それは決して主人公として描かれていただけではない。脇で光っている場面も多かったように思う。
でも、それって僕らが生きているこの世界でもおんなじだ。たとえ主人公じゃなくても、太陽はね、常にそこに在って、僕らを照らし続けていてくれる。あたたかくて、明るい世界をプレゼントしてくれる。
そして、そんな光の源は、実はあの空に浮かんでいるものだけではなくて、すぐ近くにあったりするんだ。あたたかくて、明るい世界をプレゼントしてくれるもの。きっと君の近くにもあるよ。いろんな名前があるんだけど、とてつもなくやさしくて、とてつもなく大きくて、とてつもなく大切なもの。
君は、それを中心に回っている。照らされながら、君の人生を、君の物語を生きている。太陽だからさ、隠れる日もあるね。見えなくなることもある。でも、でもね、忘れちゃならない。真ん中で、いつだって光っているもののこと。
曇天の向こう、君を照らそうと、君の世界を明るくしようと、一生懸命光り続ける、太陽。のようなもの。
え?じゃあそれが見えなくなった時にはどうすればいいかって?そんなの、とっても簡単さ。
「人をいたわれ。みんなも闘っている。相手を知りたかったらやることは1つ」
そう、答えは1つだ。
「よく見ること」
そうすれば、きっとちゃんと見える。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
感想文といいながら、原稿用紙には書けない感じですみません。
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